経営の健全性・効率性について
裾野市下水道事業の会計方法は、法非適用企業であり、特別事業会計にて処理されています。平成29年度末で総収益(基準内一般会計繰入金のみ計上)から総費用と元利償還金の和を除した①収益的収支比率は約90%と指標から判断すると単年度収支が赤字の状況です。そのため、基準外の一般会計繰入金を補填し、収支均衡させ事業を実施しております。これは、普及率が平成29年度末で41.9%と低く、経営基盤が確立されていないことが主な原因であり、今後とも早急な未普及解消事業を行うことが必要です。④企業債残高対事業規模比率が類似団体と比較すると依然として高い状況であり、企業債の償還残高に対し、使用料収益が少ない状況であると判断できます。そのため、早急に料金水準を再検討する必要があると考えられます。なお、平成29年度の数値が前年度より低くなった理由は、企業債元金償還金に対する一般会計の繰出割合の変更によるものです。⑤経費回収率については、前述しておりますが、普及率が低水準であることから、使用料で回収すべき費用について、使用料収入で賄え切れていない状況です。なお、平成29年度については、処理場の維持管理負担金単価が上昇したため経費回収率は若干低下しております。⑥汚水処理原価については、類似団体より若干低い数値ですが、処理場を保有しない当市下水道事業については、静岡県の流域処理場を利用することで効率的な汚水処理が行われており、適正な汚水処理原価となっていると判断できます。⑧水洗化率については、90%弱と類似団体とほぼ同水準でありますが、水洗化率向上のために、引き続き職員が説明会や未接続世帯を戸別訪問し接続啓発を行うことが必要です。
老朽化の状況について
裾野市下水道事業は、平成3年度から資本費投資を開始しており、老朽管(法定耐用年数に近づいている管)は現時点ではありません。ただし、老朽化する時期より前にストックマネジメント手法を取り入れた管路等更新計画を策定することが必要であることから、平成31年度に社会資本整備総合交付金を利用し、ストックマネジメント策定基礎調査を行う予定です。
全体総括
裾野市下水道事業は、供用開始が平成10年度と下水道事業としてはかなり若い(普及率が低い)分類に入ります。事業の性質上、普及率が低い水準であることは、経営基盤の整備が進んでいないことを意味しており、本来必要となる使用料収入が不足し、一般会計からの基準外繰入金を充当し事業実施している状況を示しております。今後、一般会計からの基準外繰入金をなくし、使用料収入で経営することを目指さなければなりません。最終的には、適正な使用料の設定が必要であると考えます。そのために当市下水道事業では、平成30年度から地方公営企業法を会計適用し、営業活動の数値化や資産の把握を厳格化しております。また、将来にわたり、市民に下水道事業の安定的なサービス提供し続けることを可能とするため、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を平成32年度までに策定する見込みです。これらの計画をもとにこれまで以上に効率的、効果的な事業を実施していくことが重要です。