経営の健全性・効率性について
経常収支比率が100%を越え、累積欠損金比率が0%であること、加えて経費回収率が100%を超えていることから、経営の健全性は保たれていると考えられる。流動比率は、平成26年度からの会計基準見直しによる借入資本金制度の廃止に伴い、1年以内に償還する企業債が流動負債へ計上されたことにより、極端に下がったものの、平成27年度で420.58%と短期の支払能力である100%を維持している。企業債残高対事業規模比率は、企業債の償還により年々減少していることから償還が順調であることが窺え、必要な更新を行いつつ、適正な使用料収入を維持する必要がある。汚水処理原価は、減価償却費と支払利息の減により年々減少傾向にあるが、施設の老朽化が進む中、今後の更新による汚水処理原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等社会情勢の変化により、人口や処理水量について、計画と現状にかい離が発生し、30%台を推移しており、処理能力に余剰が生じている。水洗化率は、毎年度、類似団体平均値を大幅に上回り、堅調に続伸している。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、みなし償却制度廃止に伴い、平成26年度から大幅な増加となった。平成27年度の26.89%を管渠と処理場別に有形固定資産減価償却率を見ると、管渠は約20%、処理場は約40%で、処理場の機械設備の方が管渠より法定耐用年数が短いため、老朽化が進んでいる。管渠は法定耐用年数に達していないため、管渠老朽化率は0%。管渠改善率0.13%も他工事に伴う布設替えによるものである。
全体総括
現状は総じて健全経営を維持しているが、今後、人口減少による使用料収入の減少、老朽化の進んだ施設の更新費用、修繕費用が見込まれる。限りある財源の下、老朽化の進んだ施設は長寿命化計画に基づき計画的な更新を行う。処理能力に余剰が生じている施設は農業集落排水事業と一体とした施設の統廃合を検討し、施設運営の効率化を図り、一層の費用圧縮を図る。