経営の健全性・効率性について
当市は,地形的要因(谷・窪地・崖線)による溢水対策を緊急に行う必要から集中的に下水道建設を進めてきた。しかし施行時点の経済状況は高金利時代と重なり公債費の負担が重く残っている状況である。市内の特殊事情のある土地(史跡公園等)を除き一定範囲の整備が終わったため,毎年公債費の減少が認められる。これに対し事業規模の観点からは,市内に通る都市計画道路(都施行)及び都道整備に付随する事業並びに独自調査における異常個所等の面的整備(取付管布設替)・地震対策程度の事業を中心に実施しているのが現状である。この間公債費返済を続けてきたことで,収益的収支比率は向上し,H26から95%以上となり,経費回収率は90%前後で推移している。収益的収支比率は,以前から100%に満たない状況である。下水道使用料の改定は行わなかったが,下水使用人口は微増しており,H27の収益的収支比率は97%を超えた。今後も経営努力が必要な状況である。汚水処理単価は年度差はあるもののほぼ適正なものになっていると考えている。水洗化率は,全国平均と比べて高い水準となっているが,集合住宅の所有者に係るものが多く,今後も水洗化促進の文書送付等普及啓発活動を行っていく。
老朽化の状況について
公共下水道は、昭和46(1971)年から下水道事業に着手した。「管渠改善率」では,全国及び類似団体の改善率よりも低い値を示す。現在は,人孔目視調査・テレビカメラ調査を計画的に行い,必要に応じて布設替え等を行っている。長寿命化・液状化に向けた本格的な取り組みは,地方公営企業法適用移行業務にともない実施する管きょの財産調査を待ってからとなる見込みである。「管渠改善率」の指標における当該値が0.00につき前述の工事をいかに事業費の平準化を図りつつ実施していくのか,管渠の調査を継続実施していく中で対応したい。
全体総括
平成27年度に国分寺駅北口再開発に伴う下水道建設が終了したことで,一部(史跡公園等)を除き面整備は99%を超えている。法適用前ではあるが,平成30年度に作成する予定である経営戦略の結果を踏まえ使用料の改定の検討,更生に向けた工事を検討したい。中期的には,平成32年4月の法適化後に作成する経営戦略と,先の経営戦略との比較を行い両者の整合性を検証し,計画を立てて着手したい。