経営の健全性・効率性について
単年度の収支の状況を表す「収益的収支比率」は110~120%の範囲で推移しており、年度において歳入が上回る健全経営がされていると判断されます。また、「汚水処理原価」は60~70円程度で推移し、類似団体平均の1/2程度、「経費回収率」も120%を越え類似団体の平均90%程度を大きく上回っています。債務残高を示す「企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均を大きく下回り且つ着実に減少しているため、現状は健全な経営が継続していると分析できます。他方、水洗化率は若干ながら100%には届かず、使用料の完全補足には足りていません。また、「収益的収支比率」「経費回収率」も凹凸はあるものの、右肩下がりに推移しているものと判断されるため、今後の推移に注視し、必要な対策の検討並びに事業の効率性向上の推進が必要であると考えます。
老朽化の状況について
小金井市においては、昭和44年に公共下水道整備計画に着手し昭和62年に普及率100%に達しました。計画当初に布設した管きょは、布設後48年を経過しコンクリート製管きょの平均寿命年数である50年に達しようとしています。現在、小金井市の「管渠改善率」は0%となっていますが、平成27年より老朽化対策に着手し、計画策定をしているもので、今後幹線より順に調査並びに必要な改善を図っていきます。
全体総括
小金井市公共下水道事業は、昭和62年に普及率100%を達成し、その後維持管理の時代へと推移しました。現在、当初敷設した管きょが供用開始後50年を迎えようとしており、今後施設更新に係る維持管理費の増大が十分見込まれます。他方、使用者の節水意識の向上等収益的収入の減少、汚水処理原価の上昇、使用料徴収に係る事務経費は公共下水道事業に影響を与えています。今後は、資産・経理の明確化はもとより長期的な財政見通し、使用料・事務事業の定期的な分析、ストックの利活用、新たな収入確保への取り組みなど、安定的な経営を行えるよう努力する必要があることを踏まえ、平成32年度地方公営企業法適用への着実な推進及び経営戦略の策定推進を図っていきます。