経営の健全性・効率性について
管きょ建設において発行した起債額について,着実に減少しており、類似団体と比較しても起債残高は非常に少ない。また、新規起債もここ数年発行が抑えられているが、今後施設更新に係り事業債の発行が見込められるため、推移を注意深く確認していく必要がある。経費回収率も安定的に推移し、また、全てにおいて類似団体並びに全国平均値を上回り健全な経営であると判断される。汚水処理原価についても非常に低い数値をもって推移しており、微細ながら原価の抑制傾向が見受けられる。しかし、当市の場合、管きょ以外に施設を特に有していない為、原価が低く抑えられていると推測されるため、今後同様な団体との詳細な分析が必要とされる。他方、水洗化率は若干ながら100%に届かず、使用料の完全補足に足りていない。また、収益的収支比率は全体として右肩下がりに推移していると分析される。これは節水等による下水道使用料の減少とリンクされていると考えられる。今後も同様に推移する場合、少なからず経営に影響を与え始めると考えられるため、早期における改善方法の検討並びに対応が必要である。
老朽化の状況について
当市においては、昭和44年より整備計画に着手し昭和62年に完了している。計画当初に敷設した管きょについては、47年を経過しており、まもなく平均寿命を迎える状態となっている。現在は、特に改善を必要とされることは無い状態であるが、ここ数年において施設更新事業に着手することは必須である。
全体総括
小金井市公共下水道事業は、昭和62年に普及率100%を達成し、その後維持管理の時代へと推移した。現在、当初敷設した管きょが併用開始後50年を迎えようとしており、今後施設更新にかかる維持管理費の増大が十分見込まれている。他方、一般会計からの繰入金は、市財政状態を鑑み限りなく抑えられ、収益的収入の減少は少なからず公共下水道事業に影響を与える。今後、長期的な財政見通し、使用料・事務事業の定期的な見直し、事務手数料導入等収入増への取組など、長期的な視点を持った経営努力による、安定的な経営を行わなければならない。