経営の健全性・効率性について
①単年度の収支比率を示す収益的収支比率は、5年間を通じて100%を超えており、年々上昇傾向にあり、経営改善が進んでいます。④使用料収入に対する市債(借金)残高の割合を示す企業債残高対事業規模比率は、類似団体の平均が707.80%となっているのに対して、本市では140.76%と低い割合になっていますが、今後事業費の増加とともに市債残高も増額が見込まれるため、平成27年度より、市債の抑制をおこない、将来負担を軽減する取組みを進めています。⑤使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを示す経費回収率は、類似団体の平均が88.09%となっているのに対して、本市では111.91%と100%を超えていますが、事業費が増大する将来に備え、平成28年度4月に使用料の改定を予定しています。⑥有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用である汚水処理原価は、類似団体の平均が128.49円となっているのに対して、本市では69.94円とかなり低い金額に抑えられていますが、有収水量が減少傾向にあり、消費税の増税後に汚水の処理単価が増額する予定であるため、今後増額することが見込まれます。⑧下水道の処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表している水洗化率は、類似団体の平均が96.46%であるのに対して、本市では99.99%とほぼ100%を達成しています。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、5年間を通じて類似団体平均値を超えています。しかし、本市の管きょ整備は、昭和40年代に集中的に整備されたため、初期に布設したものは、管きょの標準耐用年数である50年を経過しており、今後も多くの管きょが更新時期を迎えることが予想されます。そのため、平成23年度に「武蔵野市下水道長寿化計画」を策定し、従来の対処療法的な手法から予防保全型の維持管理に基づく修繕等を実施することで管きょの延命化を図っています。長寿命化計画は市内全域の口径φ800㎜以上の幹線管きょ47kmについて、TVカメラ調査・目視調査を実施し、その内、当面対策が必要とされた約4.2kmを対象としています。短期計画とし、本市の広範囲の処理区を受け持つ主要な管きょである女子大通り幹線管きょの更生工事を平成25年度から29年度の5か年計画で実施し、女子大通り幹線以外の管きょについては、平成30年度以降に実施する予定です。
全体総括
武蔵野市の下水道事業の経営状況は、各指標が示す通り、現段階では健全であると考えています。ただし、本市では下水道の整備時期が早かったこともあり、今後施設の更新等で建設事業費が大幅に増加する見込みです。このため、平成20年度に武蔵野市下水道総合計画を策定し、平成25年度に見直しを行いました。20年間の事業計画をたて、将来の事業費を試算し、よりコストの低い工法や維持管理手法の検討、急激な使用料の値上げを避けるために段階的に使用料率を改定すること、一般会計からの繰入基準の厳格化、市債の抑制によって将来負担を軽減することなどに取り組んできています。平成28年度からは地方公営企業法の適用に向けて、移行準備に取り組みます。より健全な下水道経営を目指し、今後も経営改善努力に努めていきます。