経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、地方債償還金が圧迫しているため、①収益的収支比率及び⑤経費回収率が100%を割り込み、単年度収支や料金水準について課題となっている。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値に近づいているため、今後も適切な投資規模を保っていく。効率性についても地方債償還金の影響により⑥汚水処理原価が類似団体に比して、高水準を推移し続けているため、課題となっている。それぞれの数値に関連性の強い資本費(地方債償還金及び支払利息)は、起債の償還がすすみ減少傾向であり、また下水道使用料は増加傾向にあることから、経営の健全性・効率性は今後、改善していくと考えられる。⑦施設利用率については、単独処理場の処理能力に対する流域分と単独分を合計した処理水量の割合のため、100%を超えている。⑧水洗化率については、整備中ということもあり100%に至ってないが、年々増加傾向にある。
老朽化の状況について
老朽化した汚水管渠については、布設後20年を経過した鉄筋コンクリート管の1巡目の調査及び改築が完了したため、③管渠改善率に影響する管渠の改築(スパンライニング)は減少傾向にあるが、管渠の劣化は、埋設環境に大きく影響され、調査地域によって改築の対象となる管渠延長が異なるため単年度ベースでの投資規模は、各年度によって増減がある。今後はストックマネジメント計画の策定により、計画的な調査・改築を実施し、管きょの健全度を維持していく必要がある。
全体総括
下水道整備のピークは過ぎ、普及率は84%を超えたものの、引き続き未普及地域の解消を図る。現在、財政規模全体としては、ほぼ横ばいではあるが、今後は資本費が減少していくなかで維持管理費の増加が見込まれる。維持管理費は、⑤経費回収率、⑥汚水処理原価との関連性が深いため、計画的・効率的な維持管理が必須である。また、早期接続の啓発活動等により⑧水洗化率の向上、有収水量の増加及び下水道事業の主たる目的である水質の保全を図る。今後も経営分析を通じて把握した課題の解決に努め、経営基盤の強化に向けて取り組むものとする。