経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率処理区域拡大による使用料収入の増加が見られるものの、平成26年度には初めて有収水量が前年度割れするなど、使用料収入の自然増は難しい状況である。支出面では処理場維持管理費用が増加傾向にあるため、比率の減少が見られる。④企業債残高対事業規模比率債務残高は減少傾向にあるが、今後は処理場増設に伴い減少幅は鈍る見込みである。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価本表は、汚水処理原価150円/㎥を超える費用を公費負担とした場合での数値である。当組合では、総務省自治財政局通知「下水道事業繰出基準の運用について」に基づき、汚水資本費のうち3割相当を公費負担とする算定方式を採用しており、その場合の経費回収率は75.8%となっている。残りの24.2%は坂戸市及び鶴ヶ島市からの負担金で賄っている現状から、利用者が経費を全額負担することとしている「受益者負担の原則」に基づき、使用料の見直しが必要な状態である。⑦施設利用率類似団体より数%低いものの、処理区域拡大により増加傾向にある。年間平均では施設利用率は約7割だが、下水道事業計画における晴天時一日最大処理水量を見込むと、適切な施設増設が必要な時期となっている。⑧水洗化率引き続き普及活動が必要である。
老朽化の状況について
管渠長寿命化計画により、経年劣化した汚水管について計画的に管更生工事を実施し、管渠の延命化を実施している。今回の計画区域では当年度が最終年度であったが、国庫補助金の交付決定額が要望額の48.0%と少なかったことから財源が確保できず、翌年度へ延期することとしたため、管渠改善率は前年度比で6割近く減となった。なお、法定耐用年数を経過した管はまだない。
全体総括
既存施設の老朽化対策及び処理区域拡大の整備が同時並行で実施されている本組合においては、収益的収支比率あるいは経費回収率を改善するために、普及活動による水洗化率の向上はもとより、中・長期的に自立・安定した経営基盤を築くために使用料を含めた収支計画の検討が必要である。この状態を改善するために、平成29年6月から平均改定率15.7%の使用料改定を実施することが決定しており、坂戸市及び鶴ヶ島市負担金による補てん割合は改善される見込みである。