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財政力指数の分析欄本市の令和3年度における財政力指数は、0.67(対類似団体比+0.11)となり、類似団体と比較すると、比較的上位に位置している。しかし、人口減少の進展や、市内大手製造業の事業縮小などに加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、市税収入の大幅な増加は見込めない。現状としては、財政力指数は横ばいの状況が続くものと思われる。今後は、事務事業の選択と集中により、需要額の抑制と併せて、子育て支援事業や企業誘致により若年層の人口の流出を防ぎ、税収増に努めていくほか、公共施設等の施設命名権収入(ネーミングライツ)や市有財産の売払いの推進により財源の確保を目指す。 | 経常収支比率の分析欄本市の令和3年度における経常収支比率85.0%(対類似団体比-2.0pt)は、令和2年度の89.4%から4.4ポイント改善し、3年連続で類似団体平均を下回った。公債費の増加などにより分子となる経常経費充当一般財源等は増加したが、国の補正予算により追加交付があった普通交付税の増加により経常一般財源額(分母)が大幅に増加したことにより、結果として経常収支比率が改善した。ただし、今回の改善は国や県から交付される経常一般財源が一時的に増加した結果に過ぎず、市税収入等の市が自主的に収入する経常一般財源の減少傾向が変わった訳ではない。今後も、定住人口、市税収入の確保に努め、さらなる歳出削減により改善を図る。 | 人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄本市の令和3年度における人口1人当たり人件費・物件費等決算額130,067円(対類似団体比-42,018円)は、令和2年度の121,360円から8,707円増加した。人件費・物件費が増加した主な要因としては、どちらも新型コロナウイルスワクチン接種会場運営に係る経費が増加したことが挙げられる。維持補修費についても、河川浚渫事業や市道の維持管理事業に係る工事費等により近年増加傾向にある。人口が減少し続ける中、感染症対応や老朽化した公共施設の維持補修等の増加が予想されるため、人口1人当たり人件費・物件費等の増加傾向は今後も続く可能性がある。 | ラスパイレス指数の分析欄本市の令和3年度におけるラスパイレス指数99.6は、令和2年度と同値であり、類似団体平均を2.1ポイント上回った。本市のラスパイレス指数が類似団体平均を上回る状況が続いている要因としては、社会人経験者を採用していた期間や、新規採用を抑制した時期があり、経験年数階層内における職員の分布が若年層と比較すると中堅職員以上が大きく占め、そうした影響により平均給料月額が高くなったためと考えられる。 | 人口1,000人当たり職員数の分析欄本市の令和3年度における人口1,000人当たり職員数7.20人(対類似団体比-1.65人)は、令和2年度の7.13人から、0.07人の増でほぼ横ばいとなった。類似団体の中で比べても、少ない職員により市政を運営しているといえる。令和3年12月に策定した矢板市定員適正化計画では、令和7年度までの5年間で職員数を22人(8.5%)削減することを掲げている。自然災害の増加や、権限移譲等により業務量は増大しているが、行政サービスを低下させることなく、各種研修等を継続的に実施し、少数精鋭による職員配置を行っていく。 | 実質公債費比率の分析欄本市の令和3年度における実質公債費比率8.8%(対類似団体比+0.5pt)は、令和2年度の9.1%から0.3ポイント減少した。この値は3か年の平均値であり、令和3年度単年度でみると、元利償還金が過去3か年で最大となったが、普通交付税が増加した影響などで7.8%となった。今後、矢板北スマートIC整備や塩谷広域行政組合のエコパークしおや建設、旧環境施設解体などの大型公共事業に係る地方債の元金償還が長期間に及ぶため、元利償還金や組合負担金が高水準で推移することが予想され、実質公債費比率が悪化する懸念がある。財政規模とのバランスがとれた中長期的な償還計画に基づいた市債の借入れを行う必要がある。 | 将来負担比率の分析欄令和3年度における将来負担比率29.1%(対類似団体比+4.0pt)は、令和2年度の52.0%から22.9ポイント減少し、3年振りに減少に転じた。これは、大型公共事業が一段落した一般会計等に係る地方債の現在高が減少したことと、令和2年度決算剰余金を財政調整基金に積み立てたことで、充当可能基金が大幅に増加したことが主な要因と考えられる。一時的に将来負担は減少しているが、今後も老朽公共施設の更新、長寿命化などが見込まれるため、将来に過度な負担とならないよう中長期的な計画に基づき市債の借入れを行う必要がある。 |
人件費の分析欄本市の令和3年度における人件費に係る経常収支比率22.9%(対類似団体比-0.6pt)は、令和2年度の23.6%から0.7ポイント減少し、2年連続で類似団体平均よりも低い水準となった。人口当たりの職員数が少ない(上位である)ことに加え、令和3年度は新型コロナウイルスワクチン接種会場運営に係る経費や、国体開催準備にかかる経費など、人件費全体に占める臨時的経費の割合が上昇したことが、類似団体平均を下回った要因と考えられる。 | 物件費の分析欄本市の令和3年度の物件費に係る経常収支比率14.0%(対類似団体比-0.5pt)は、令和2年度の14.6%から0.6ポイント減少したが、類似団体平均を0.5ポイント上回った。これは前年度土曜新型コロナウイルス感染症対策の交付金を各種施策に充当したこと、再算定があった普通交付税の増加などにより経常一般財源額が増加したことなどにより、比率としては減少したと考えられる。今回の改善は臨時的な財源の増加による改善なので、今後の変動に注視していく必要がある。物件費を含む経常経費については、徹底した削減に取り組んでいるが、今後も事務事業の見直しや委託施設等の整理などにより一層の圧縮を図っていく。 | 扶助費の分析欄本市の令和3年度における扶助費に係る経常収支比率8.3%(対類似団体比+0.6pt)は、令和2年度の8.7%から0.4ポイント減少したが、依然として類似団体平均よりも高い状況が続いている。令和2年度から令和3年度にかけて、経常的扶助費総額は微減で推移したが、再算定があった普通交付税の増加などにより経常一般財源が増加したため比率としては減少したと考えられる。本市では、障害福祉サービス給付費等が増加傾向にあり、今後もこの傾向が続くことが考えられる。資格審査等の適正化や各種手当への独自加算等の見直しを進めていくことで、財政を圧迫する上昇傾向に歯止めをかけるよう努める。 | その他の分析欄本市の令和3年度におけるその他の経費に係る経常収支比率11.9%(対類似団体比-0.5pt)は、令和2年度の12.3%から0.4ポイント減少し、類似団体平均を下回った。類似団体と共通した動きを見せていることから、再算定があった普通交付税の増加などにより経常一般財源額が増加したため、比率としては減少したと考えられる。国民健康保険特別会計繰出金などの増加傾向は変わっておらず、社会保障費の増加が続く限りそれらに係る繰出金も増加が続くと思われる。また、老朽化した公共施設の維持補修費の増加が見込まれることから、その他費用について引き続き注視が必要である。 | 補助費等の分析欄本市の令和3年度における補助費等に係る経常収支比率13.8%は、令和2年度の15.8%から2.0ポイント減少し、類似団体平均を0.1ポイント上回った。令和2年度の比率上昇に影響した下水道事業会計への補助金額が減少したため、比率としては減少したと考えられる。今後は、各種団体への運営費補助金等について、社会情勢の変化等を踏まえ、個々の団体ごとに十分な精査と検証を行い、積極的に見直しを行っていく予定である。 | 公債費の分析欄本市における令和3年度の公債費に係る経常収支比率14.1%(対類似団体比-2.1pt)は、令和2年度の14.4%から0.3ポイント減少し、類似団体平均よりも少ない水準である。今後については、大型公共事業に係る起債の元金の償還が始まり、また、今後は老朽公共施設の維持補修等に係る起債事業が予定されるため、公債費に係る経常収支比率は上昇するものと思われる。 | 公債費以外の分析欄本市の令和3年度の公債費以外の経費に係る経常収支比率70.9%は、令和2年度の75.0%から4.1ポイント減少し、類似団体平均程度の水準となった。公債費以外の経常収支比率は、前年度同様新型コロナウイルス感染症対策の交付金を各種事業に充当したこと、再算定があった普通交付税の増加により経常一般財源額が増加したことにより改善した。ただし、今回の改善は国や県から交付される財源が一時的に増加した結果に過ぎず、市税収入等の市が自主的に収入する経常一般財源の減少傾向が変わった訳ではなく、今後も企業誘致や定住促進等による税収確保策に加え、経常的収入増に向けての取組みを推進していく必要がある。 |
議会費労働費消防費諸支出金総務費農林水産業費教育費前年度繰上充用金民生費商工費災害復旧費衛生費土木費公債費 |
目的別歳出の分析欄本市の令和3年度歳出決算総額に対する住民一人当たりコスト47万8千円の内訳を目的別で見てみると、令和2年度に引き続き、民生費に係るコストが173,407円と最も大きく、コスト全体の約3分の1を占めている。令和3年度は、老人福祉費が減少した一方、子育て世帯や住民税非課税世帯等への臨時特別給付金の支給により児童福祉費や社会福祉費が大きく増加した。次いで大きなコストは、総務費に係るコストで、85,147円となった。対象者1人あたり10万円を支給する特別定額給付金が減少した一方、令和2年度決算剰余金を財政調整基金に積み立てたことなどが主な要因である。結果的には、民生費と総務費の2つで経費の全体の半分以上を占めることとなった。そのほか、衛生費に係るコストは、新型コロナウイルスワクチン接種事業費の増により、対前年度比22.5ポイント増の31,260円となった。一方、土木費に係るコストは、矢板北スマートIC整備が完了したことにより、コストは35,095円、対前年度比33.4ポイントの大幅減となった。また、災害復旧費については、令和元年東日本台風による被害からの復旧工事が令和2年度までに完了したことから、3年ぶりにコストが発生しなかった。 |
人件費補助費等災害復旧事業費投資及び出資金物件費普通建設事業費失業対策事業費貸付金維持補修費普通建設事業費(うち新規整備)公債費繰出金普通建設事業費(うち更新整備)積立金前年度繰上充用金 |
性質別歳出の分析欄本市の令和3年度における歳出決算総額は、住民一人当たり47万8千円となり、令和2年度の58万7千円から10万9千円(対前年度比-18.6pt)と大幅に減少した。これらのうち大きなウエイトを占めているのは、扶助費であり、住民一人当たり110,350円、対前年度比22.7ポイントの大幅増となった。子育て世帯や住民税非課税世帯等への臨時特別給付金の支給などが大幅に増加した主な要因である。次に大きいのは人件費であり、新型コロナウイルスワクチン接種会場運営に係る人件費の増などにより住民一人当たり68,358円、対前年度比1.1ポイントの増となったが、類似団体平均は大きく下回っている。令和2年度、最も大きなウエイトを占めていた補助費等は、対象者1人あたり10万円を支給する特別定額給付金の減少により住民一人当たり67,216円、対前年度比60.0ポイントの大幅減となり、コロナ禍直前の令和元年度の水準を下回る結果となった。物件費のコストは住民一人当たり60,063円、対前年度比14.7ポイントの増となった。新型コロナウイルスワクチン接種事業費といった臨時的経費の増が大きな要因で、類似団体平均を大きく下回っている状況ではあるが、今後も経常費用の削減に一層努める。積立金は、令和2年度決算剰余金を財政調整基金に積み立てたことなどにより、住民一人当たり46,070円、対前年度比324.0ポイントの大幅増となった。 |
基金全体(増減理由)R01は、基金全体の残高合計が前年度比10.9%減の1,781百万円であり、うち財政調整基金は全体の44.6%に増加した。特定目的基金は、前年度比27.6%減の820百万円となり、うち、交通施設整備基金が23.2%減の292百万円、ふるさと納税基金が71.4%減の108百万円となった。また、R01から譲与が開始された森林環境譲与税の一部を後年に活用することを目的に、未来の森づくり基金を新たに造成し、11百万円を積み立てた。R02は、基金全体の残高合計が前年度比2.0%増の1,817百万円であり、うち財政調整基金は全体の39.8%に減少した。特定目的基金は、前年度比12.9%増の926百万円となり、うち、公共施設整備基金が67.8%増の297百万円、子ども未来基金が57.6%増の52百万円となった。R03は、基金全体の残高合計が前年度比68.2%増の3,056百万円であり、うち財政調整基金は全体の51.8%に増加した。特定目的基金は、前年度比19.0%増の1,102百万円となり、うち、ふるさと納税基金が163.2%増の308百万円、子ども未来基金が53.8%増の80百万円となった。(今後の方針)財政調整基金については、標準財政規模の10%程度の残高を目標としてきたが、令和3年度に20%弱まで積み立てることができたため、この水準を維持していく。特定目的基金については、庁舎等整備基金は5億円を目標に積み立て、公共施設整備基金は新たに整備する文化スポーツ複合施設整備事業に充当しつつも老朽公共施設の維持や改修等に備えて可能な範囲で積み立て、ふるさと納税基金は充当が必要な事業を精査して取崩しを行い、その他の基金については、基金の趣旨に該当する事業に随時取り崩していく。 | 財政調整基金(増減理由)R01は、積立額(143百万円)と取崩額(47百万円)の差分増(96百万円)により、年度末残高795百万円となった。R02は、年度末時点で歳出超過となったことから、71百万円の取崩しを行い、年度末残高724百万円となった。R03は、当初予算編成時に繰入金をゼロとし、最終的にも取崩額をゼロとした。加えて、前年度の決算剰余金の一部の積立て(860百万円)を行い、年度末残高1,584百万円となった。(今後の方針)財政調整基金は、当初予算編成及び年度間調整に必要不可欠な基金であるため、当面の間は標準財政規模の20%程度の残高を確保する。 | 減債基金(増減理由)R01は、不用額の補正減を積極的に行い、当初繰入見込(60百万円)を最終的に取崩額ゼロとした。R02は、不用額の補正減を積極的に行い、当初繰入見込(60百万円)を最終的に取崩額ゼロとした。R03は、不用額の補正減を積極的に行い、当初繰入見込(60百万円)を最終的に取崩額ゼロとした。加えて、前年度の決算剰余金の一部(100百万円)と普通交付税の再算定で措置された臨時財政対策債償還基金費(103百万円)の積立てを行い、年度末残高370百万円となった。(今後の方針)やむを得ない事情による繰上償還等に対応するため、現状規模の金額を保持していく。令和3年度に積み立てた臨時財政対策債償還基金費については、令和3年度の臨時財政対策債に係る元金償還が開始する令和6年度以降、償還財源として取崩しを行う。 | その他特定目的基金(基金の使途)・ふるさと納税基金:ふるさと納税制度を活用し、魅力あるまちづくりを推進するための基金。・公共施設整備基金:公共施設の整備に要する経費に充てるための基金。・庁舎等整備基金:庁舎等の整備に要する経費に充てるための基金。・交通施設整備基金:交通施設の整備に要する経費に充てるための基金。・子ども未来基金:子育て支援に要する経費に充てるための基金。(増減理由)・ふるさと納税基金:(積立)R0166百万円R02119百万円R03308百万円(繰入)R01~R03各種事業へ充当(R01336百万円R02110百万円R03117百万円)・公共施設整備基金:(積立)R035百万円(繰入)R03文化スポーツ複合施設整備事業7百万円・庁舎等整備基金:(積立)R0150百万円R0220百万円R03利子のみ(繰入)無し・交通施設整備基金:(積立)利子のみ(繰入)H29~R02スマートIC整備事業(H297百万円H3041百万円R0126百万円R0234百万円)、H30~R03道路新設改良事業(H3014百万円R0150百万円R0249百万円R0350百万円)、R01片岡地区市街地整備事業12百万円・子ども未来基金:(積立)R0116百万円R0249百万円R0355百万円(繰入)R01~R03各種事業へ充当(R0128百万円R0230百万円R0328百万円)(今後の方針)・ふるさと納税基金:充当事業を精査し、寄附者の充当希望先へ随時充当する。・公共施設整備基金:文化会館、市体育館等を複合化した文化スポーツ複合施設整備事業へ充当しつつも、老朽公共施設の維持や改修等に備えて可能な範囲で積立てを実施する。・庁舎等整備基金:庁舎整備に向け、当該年度末時点で可能な限り積立てを実施する。・交通施設整備基金:交通施設事業への随時充当する。積立予定なし。・子ども未来基金:年45百万円の積立てを継続的に実施。子育て支援に要する事業へ柔軟に対応する。 |
有形固定資産減価償却率の分析欄本市の有形固定資産減価償却率は、耐用年数を一部修正した令和元年度、矢板北スマートIC周辺道路などの新たな固定資産を取得した令和2年度を除き、対前年度比約2.0%の増で推移している状況であり、いずれの年度も類似団体平均値を上回っている。公共施設等の老朽化が年々進行し、利用者の安全確保の観点から、施設更新を速やかに進める必要があることを示唆している。本市においては、平成28年度に公共施設等総合管理計画、平成29年度に同再配置計画、令和2年度に同個別施設計画を策定しており、これらの計画を順次見直しながら施設更新等のマネジメントを進めることになる。 | 債務償還比率の分析欄本市の令和3年度債務償還比率444.9%(類似団体比-68.7%)は、令和2年度の575.4%から130.5%減少した。地方債現在高など将来負担額が減少しており、追加交付のあった普通交付税や市税などの経常一般財源の増加に加え、財政調整基金等保有する現金の増加などにより債務償還に充当できる財源が大きく増加した結果、比率が大きく減少した。文化・スポーツ複合施設整備や公共施設の長寿命化・更新など、地方債現在高の増加の要因となる大型公共事業も控えており、今後も市の財政規模を考慮した債務管理を行っていく必要がある。 |
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析本市の令和3年度における将来負担比率29.1%(対類似団体比+4.0%)は、令和2年度から22.9%改善した。財政調整基金等の充当可能基金の増加や追加交付された普通交付税の増による標準財政規模の増加が主な要因である。文化・スポーツ複合施設整備や公共施設の長寿命化・更新などの大型公共事業等今後予定される事業実施に当たっては、事業の平準化を図るとともに将来負担の推移についても注視する必要がある。一方、令和3年度における有形固定資産減価償却率は、維持補修関連の工事が中心であったことから、令和2年度から1.7%悪化した。類似団体内平均値を上回っている状況が続いているため、今後より一層計画的に施設更新等のマネジメントを進めていく必要がある。 |
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分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析本市の令和3年度における将来負担比率29.1%(対類似団体比+4.0%)は、令和2年度から22.9%改善し、類似団体内平均値を3年連続上回った。また、実質公債費比率8.8%(対類似団体比+0.5%)は、令和2年度の9.1%から0.3%改善し、類似団体内平均値を2年連続で上回った。矢板市としては改善傾向ではあるが、文化・スポーツ複合施設整備や公共施設の長寿命化・更新などの大型公共事業により地方債現在高及び元利償還金が増加する可能性があることを考慮すると、将来負担及び実質公債費比率の推移については今後も注視し、事業の平準化など計画的に事業を実施する必要がある。 |
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道路橋りょう・トンネル公営住宅港湾・漁港認定こども園・幼稚園・保育所学校施設児童館公民館 |
施設情報の分析欄インフラについて、道路の有形固定資産減価償却率は、令和2年度から令和3年度にかけて1.9ポイント増加、橋りょうの有形固定資産減価償却率は、令和2年度から令和3年度にかけて1.6ポイント増加しており、新設工事よりも維持補修関連の工事が多い状況が反映された結果と言える。一方で、児童館の有形固定資産減価償却率は、令和3年度に新しい生活様式に対応した改修工事を実施したことにより、4.0ポイント減少した。新たな施設整備がない保育所、公営住宅、公民館については、有形固定資産減価償却率が類似団体の平均値よりも大幅に上回る状況が続いている。これらの施設の更新には、多額の財政負担が必要となるため、公共施設個別施設計画に基づいたマネジメントに沿って、計画的に進めることが必須である。一例としては、公営住宅については、一人あたり面積が類似団体の平均値よりも大きく、適正規模に是正する観点から、一部建物について除却を進めていく予定である。そのほかの施設の更新の検討についても、公共施設個別施設計画に基づいたマネジメントに沿って、廃止や集約化・複合化などによる適正管理を順次進めていく。 |
図書館体育館・プール福祉施設市民会館一般廃棄物処理施設保健センター・保健所消防施設庁舎 |
施設情報の分析欄有形固定資産減価償却率は、いずれの施設も類似団体の平均値を大きく下回り、施設の老朽化が進んでいることが示唆される。福祉施設の有形固定資産減価償却率が12.1ポイント増加したのは、片岡デイサービスセンターの売却により、相対的に老朽化の進んだ施設を保有することとなったためである。庁舎については、防災拠点としての役割があることから、施設更新の検討が必要である。これらの施設の更新には、多額の財政負担が必要となるため、公共施設個別施設計画に基づいたマネジメントに沿って、計画的に進めることが必須である。一例としては、体育館・プールと市民会館については、既存の矢板市体育館と矢板市文化会館を、文化スポーツ複合施設として新たに整備する事業に着手しており、数値の改善が期待される。そのほかの施設の更新の検討についても、公共施設個別施設計画に基づいたマネジメントに沿って、廃止や集約化・複合化などによる適正管理を順次進めていく。 |
資産合計負債合計 |
1.資産・負債の状況一般会計等においては、資産総額が前年度末から186百万円の減少(△0.3%)となった。財政調整基金残高の増(+860百万円)により流動資産は増加(+841百万円)したものの、減価償却になどにより固定資産は減少(△1,028百万円)した。負債は、地方債の減少(△199百万円)等の影響から、前年度末から225百万円減少(△.1.5%)した。介護保険特別会計等4会計、水道事業及び下水道事業会計を加えた全体も同様に、資産総額は前年度末から57百万円減少(△0.1%)し、負債総額は前年度末から555百万円減少(2.0%)した。矢板市農業公社、栃木県後期高齢者医療広域連合等を加えた連結でも、資産総額は前年度末から353百万円減少(△0.4%)し、負債総額は前年度末から377百万円減少(△1.3%)した。塩谷広域行政組合については、資産総額が環境衛生センター解体に伴う建物及び工作物の減により減少(△283百万円)し、負債総額は地方債の増などにより増加(+167百万円)した。 |
純経常行政コスト純行政コスト |
2.行政コストの状況一般会計等においては、経常費用は13,704百万円となり、前年度比2,401百万円の大幅減(△14.9%)となった。そのうち、人件費等の業務費用は6,691百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は7,013百万円であり、移転費用の方が業務費用よりも多い。令和2年度に実施された特別定額給付金の減少により補助金等(3,101百万円、前年度比△53.6%)が大きく減少したものの、社会保障給付は増加し(+571百万円、前年度比+19.7%)、両者で純行政コストの48.3%を占めている。矢板市行財政改革プランに掲げる補助金の見直しや介護予防の推進等による社会保障給付費の抑制等により経費の抑制に努める。全体では、一般会計等に比べて、水道料金、下水道使用料等を使用料及び手数料に計上しているため、経常収益が1,394百万円多くなっている一方、国民健康保険や介護保険の負担金を補助金等に計上しているため、移転費用が5,412百万円多くなり、純行政コストは5,716百万円多くなっている。連結では、一般会計等に比べて、連結対象企業等の事業収益を計上し、経常収益が1,616百万円多くなっている一方、人件費が861百万円多くなっているなど、経常費用が10,915百万円多くなり、純行政コストは9,298百万円多くなっている |
本年度差額本年度末純資産残高本年度純資産変動額 |
3.純資産変動の状況一般会計等においては、税収等の財源(13,323百万円)が純行政コスト(13,293百万円)を上回ったことから、本年度差額は30百万円(前年度比+556百万円)となり、純資産残高は39百万円の増加となった。企業誘致や定住促進、子育て環境の充実などの施策により更なる税収等の増加に努める。全体では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計等の国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が2,458百万円多くなっているが、本年度差額は490百万円であり、純資産残高は498百万円の増加となった。連結では、栃木県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が9,521百万円多くなっているが、本年度差額は△7百万円であり、純資産残高は24百万円の増となった。 |
業務活動収支投資活動収支財務活動収支 |
4.資金収支の状況一般会計等においては、ふるさと納税寄附金や普通交付税の追加交付等の業務収入の増加により業務活動収支は1,947百万円(前年度比1,058百万円)となった。投資活動収支については、防災行政無線整備事業や小中学校体育館空調設備設置工事を実施したことに加え、財政調整基金や減債基金への積立を行ったことにより△1,741百万円となった。財務活動収支については、地方債発行収入が地方債償還支出を下回ったことから△165百万円となっており、本年度末資金残高は期首から41百万円増加し、1,061百万円となった。引き続き、公共施設等総合管理計画等に基づく計画的な事業実施や市債発行額の平準化に努める。全体では、国民健康保険税や介護保険料が税収等収入に含まれ、水道料金・下水道使用料等の使用料及び手数料収入があることから、業務活動収支は一般会計等より805百万円多い2,752百万円となっている。投資活動収支では、水道管の老朽化対策や下水道管の築造などを行い、△2,291百万円となっている。財務活動収支は、地方債発行収入が地方債償還支出を下回ったことから△293百万円となったものの、本年度末資金残高は期首から167百万円増加の2,139百万円となった。連結では、業務活動収支は一般会計等より660百万円多い2,607百万円、投資活動収支は△2,338百万円となっている。財務活動収支は、地方債発行収入が地方債償還支出を下回ったことから、118百万円となり、本年度末資金残高は期首から122百万円増加し、2,600百万円となった。 |
①住民一人当たり資産額(万円)②歳入額対資産比率(年)③有形固定資産減価償却率(%) |
1.資産の状況住民一人当たり資産額は180.0万円であり、前年度比+1.4万円(+0.8%)と3年連続増加した。しかし、資産総額は減少しているため、今回の増加は人口減少が反映された結果と思われる。また、当該値は類似団体平均より46.6万円(25.9%)少ない。歳入額対資産比率は3.52年であり、前年度比+0.48年と増加に転じた。これは、資産総額の減少よりも新型コロナウイルス感染症対策等に係る国庫支出金の減少による歳入総額の減少幅が大きかったことによるものである。また、当該値は、4年連続で類似団体平均を下回った。有形固定資産減価償却率については、類似団体より高い水準で推移しており、依然として老朽化した施設が多いものと考えられる。今後も公共施設等総合管理計画に基づき、施設の複合化、転用を含めた統廃合や計画的な長寿命化を進めていくことにより、公共施設等の適正管理に努める。 |
④純資産比率(%)⑤将来世代負担比率(%) |
2.資産と負債の比率純資産比率は、類似団体平均より高い水準で推移している。前年度と比べ0.3ポイント増加しているが、類似団体平均に近づいているため、将来世代が利用可能な資源を残すため、一層の行政コストの削減に努める。将来世代負担比率は、前年度同値の11.9ポイントで、類似団体平均値を下回っている。公共施設の複合化や更新等、地方債残高の増加が見込まれる事業も控えているため、当該比率については今後も注視する必要がある。 |
⑥住民一人当たり行政コスト(万円) |
3.行政コストの状況住民一人当たり行政コストは、42.4万円であり、前年度に比べ△6.9万円と大幅に減少した。類似団体の平均値が同様に大幅に減少していることから、特別定額給付金の支給が終了したことが大きな要因として考えられる。しかしながら、コロナ後の社会経済活動正常化へ向けた経済対策に要する経費や、物価高騰等の影響が長期にわたって予想され、加えて従来からの社会保障給付の増加も相まって、住民一人当たりの行政コストは今後も高水準で推移すると考えられる。 |
⑦住民一人当たり負債額(万円)⑧基礎的財政収支(百万円) |
4.負債の状況住民一人当たり負債額は類似団体平均を下回っている。今後とも、将来負担を減らすため、健全な財政運営に努めていく。基礎的財政収支は、基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を下回っため、1,500百万円と大きく増加した。業務活動収支が大きく増加しているのは、ふるさと納税寄附金の増(+190百万円)や令和元年東日本台風に係る災害対応に伴う災害復旧事業費の減(△85百万円)などが要因である。投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行して防災行政無線、市道109号線等の必要な整備を行ったためである。 |
⑨受益者負担比率(%) |
5.受益者負担の状況受益者負担比率は、特別定額給付金の給付費用の減少などにより経常費用が大幅に減少し、対前年度比△1.1ポイントの3.1%となり、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合が減少する結果となった。今年度実施した公共施設等の使用料の見直しを継続的に実施するとともに、公共施設等の利用回数を上げるための取組を行うなどにより、引き続き受益者負担の適正化に努める。 |
出典:
財政状況資料集
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統一的な基準による財務書類に関する情報
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