経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、75.56%と、前年度と比べ1.3ポイントの減少となっている。地方債償還費が増加していることが原因と考えられる。地方債償還金については、2034年度まで逓増していくため、今後も数値の低下が予想される。⑤経費回収率は、前年度と比べ、約2ポイントの減少した56.28%となり、類似団体と比較しても約7ポイント低い数値となった。未納分の増加による使用料収入の大幅な減少が原因と考えられる。収入を確保するため、未納分を減らしていく対策が必要と思われる。⑥汚水処理原価は、前年度と比べ約10円の増加となった。これは、使用人口の減少に伴い使用浄化槽基数が減少しているのに対し、汚水処理費用が増加していることが原因と考えられる。ただ、汚水処理費用の増加は、設置から15年以上が経過した浄化槽の修繕費の増加が大きな要因であるとともに、今後も増加傾向が想定されるため、原価は上昇していくと思われる。⑦施設利用率は、前年度と同水準での推移となったが、過去5年での推移を見ると減少傾向となっている。休止浄化槽基数が増加し、処理水量が減少していることが原因と考えられる。⑧水洗化率は、100%となっている。
老朽化の状況について
現在市で維持管理を行っている市町村設置型浄化槽は、長いもので設置から16年が経過している。そのため、ブロワなどの外部機器だけでなく、担体流出といった浄化槽内部の修繕が近年増加傾向にある。今後は更なる年数経過に伴い、修繕費用の増加が想定されるので、策定した修繕計画に基づき計画的に対応する必要がある。
全体総括
本市の特定地域生活排水処理事業は、中里地区において平成15年から平成24年の期間で整備を実施した。事業終了後の平成25年度以降は維持管理を行っている。近年の傾向としては、休止浄化槽基数の増加と、修繕費用の増加が見られる状況である。休止浄化槽基数が増加することにより、使用料収入や有収水量が減少し、収益全体が減少する結果となっている。一方、修繕費用の増加は、設置から15年以上が経過している浄化槽が約半数を占めている状況に対応するものであり、今後も年数が経過するにつれ対応の必要が出てくるため、費用面では増加となっていくと思われる。今後は、上記の内容を踏まえた適正な維持管理の運用を検討する必要がある。