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平成30年度は、県費負担教職員の給与負担の移譲に伴い、指数算定上の入れ替わりとなる平成27年度と比較し、基準財政収入額及び基準財政需要額ともに減少となったものの、東日本大震災に係る復興需要等から法人事業税などが増加したことから、財政力指数は改善傾向にある。宮城県地方税滞納整理機構等の取組により、地方税の徴収率は増加傾向にあるが(平成29:98.7%→平成30:98.8%)、復旧・復興事業の進展に伴い、復興需要は今後減少することが見込まれることから、歳入確保・歳出削減策について検討していく必要がある。
平成30年度は、臨時財政対策債等に係る経常的な公債費の増加等があった一方、分母の要素となる地方譲与税や諸支出金控除後の地方税が増加したことにより、前年度より0.4ポイント改善し96.8%となった。依然として、グループ内平均を上回る傾向にあり、財政の硬直化が継続しているため、経常的な経費の計画的な抑制や県税収入等の一般財源の確保に努めていく必要がある。
平成26年度から平成28年度までの人口1人あたり人件費・物件費等決算額がグループ内平均を大きく上回っているのは、東日本大震災に対応した物件費や人件費が主因である。平成29年度以降は、応急救助費等の東日本大震災に対応する物件費の減少に加え、県費負担教職員の給与負担の政令市への移譲等に伴う人件費の減少により大幅に減少している。
平成26年度は、国の給料削減の終了等の影響で国よりも低い水準となったが、平成27年度は、人事委員会勧告に基づき、民間格差解消のため国の給料月額に一定率を上乗せする水準調整の実施等により上昇した。平成28年度以降は、平成27年度と同様に水準調整を実施しており、退職と採用による職員構成の変動等の影響で国より高い水準で推移しているが、平成30年度は再び国よりも低い水準となっている。依然としてグループ内平均を下回る状況だが、今後も人事委員会勧告を踏まえ、国及び他都道府県の動向を分析して適切に対応する。
本県数値がグループ内平均よりも高いのは、東日本大震災からの復旧・復興事業に対応するため、平成23年度以降、任期付職員を採用するなどして職員数が増加していることが主な要因である。平成26年度以降の本県数値の推移は、平成28年度の県費負担教職員の政令市への権限委譲による減少以外、ほぼ前年並みで推移している。今後も、東日本大震災及び東日本台風からの復旧・復興業務量等を勘案しながら適正かつ合理的な定員管理に努めていく。
平成26年度から平成28年度にかけて、満期一括償還地方債の元金償還金の増加等により増加傾向にあったが、平成29年度からは元利償還金の減少や公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還に充てた一般会計等からの繰入金の減少等により、減少傾向にある。依然として、グループ内平均を上回っており、今後も県債発行の抑制や公債費の平準化に努め、適正な水準となるよう配慮していく。
平成30年度は、退職手当の引き下げによる退職手当負担見込み額の減や地方債現在高の減、充当可能基金額の増などにより、前年度から7.1ポイント改善し、164.6%となった。平成26年度以降、グループ内平均を下回って推移しており、引き続き将来負担に配慮した財政運営に継続して努めていく必要がある。
東日本大震災の復旧・復興に関連する人件費の増加により、平成23年度以降の比率はグループ内平均を上回っている。平成30年度は、職員の新陳代謝に伴い職員給等が減少したことから、前年度から0.8ポイント減少している。復旧・復興事業の進捗により、震災関連の人件費の比率は今後も減少すると見込まれる。
物件費は、一貫してグループ内平均を上回る比率で推移しており、グループ内順位も低い状況である。その主な要因はシステムや公共施設等の維持管理費などであることから、それらの効率的な予算執行に努めていく。
扶助費は、各年度ともグループ内平均とほぼ同水準の比率であることから、本県の社会保障関係の需要が全国的なトレンドと同様の傾向で推移していることが分かる。今後も引き続き社会保障関係経費が増加していくことを想定し、各種制度の適切な運用に努めていく。
平成30年度は国民健康保険の都道府県単位化に伴い、国民健康保険特別会計への繰出金が皆増したことから、平成29年度から2.6ポイント増加している。今後は、東日本大震災の復旧・復興事業により整備した施設の維持補修費の増加が見込まれるため、経費の必要性について引き続き検討を行い、適切な財政運営に努めていく。
補助費等は、平成30年度は教職員の給与負担の政令市への権限移譲に伴う県民税所得割臨時交付金の減や国民健康保険の都道府県単位化に伴う補助費等の減により、平成29年度から2.4ポイント減少した。なお、今後は少子高齢化の影響により社会保障関係経費の増加が見込まれることから、各種制度の適切な運用に努めていく。
公債費は、償還計画に基づく元利償還金の計上による変動が見られ、平成30年度はグループ内平均を0.1ポイント上回った。これまで新発債を伴う投資的経費の抑制を図っていることから、この取組を継続していけば、長期的には公債費は減少傾向になると見込まれる。さらに、今後も公債費の平準化や金利負担の軽減に努めていく。
平成30年度は、人件費の減少等により平成29年度から0.6ポイント減少しているものの、依然グループ内平均を上回る状況が続いている。今後は少子高齢化の影響により社会保障関係経費が増加する見込みであることから、引き続き経常的経費の計画的な抑制や安定的な一般財源の確保に一層努めていく必要がある。
(増減理由)財政調整基金や減債基金は、ほぼ横ばいであり、その他特定目的基金では東日本大震災からの復旧・復興事業の進捗に伴い「地域整備推進基金」を153億円、「東日本大震災復興交付金基金」を239億円、「東日本大震災復興基金」を42億円それぞれ取崩しを行ったことなどにより、基金全体の残高は198億円の減少となった。(今後の方針)東日本大震災からの復旧・復興事業の進捗に伴い「地域整備推進基金」や「東日本大震災復興交付金基金」、「東日本大震災復興基金」等の東日本大震災関連の基金残高は、減少していく見込みである。また、県有施設の老朽化等の将来の財政負担に備え、県庁舎等の長寿命化対策に要する経費として「県庁舎等整備基金」等に積立を行い、引き続き残高の確保に努めていく。
(増減理由)平成30年度当初予算では、120億円の取崩を見込んでいたが、東大震災からの復旧・復興事業等による景気の回復基調を反映した県税収入などの歳入変動や歳出抑制等により、取崩が76億円にとどまったこと、平成29年度決算剰余金等を74億円積み立てたことにより、前年度残高から2億円の減少となった。(今後の方針)増大する社会保障関係経費等の将来の財政負担に備え、引き続き残高の確保に努める。
(増減理由)預金利子等の果実1億円の積立及び県債償還のための1億円の取崩による。(今後の方針)適切な運用・管理を行い、引き続き残高の確保に努める。
(基金の使途)・地域整備推進基金:県内各地域における県勢発展の基盤となる公共施設等の整備その他の地域の振興に資する施策の円滑な推進・富県宮城推進基金:富県宮城の実現に向けた県経済の成長を図るための産業振興に関する施策及び大規模な地震による被害の最小化に関する施策の推進(増減理由)・地域整備推進基金、東日本大震災復興交付金基金、東日本大震災復興基金:東日本大震災からの復旧・復興事業の進捗に伴い「地域整備推進基金」を153億円、「東日本大震災復興交付金基金」を239億円、「東日本大震災復興基金」を42億円それぞれ取崩したことなどにより、その他特定目的基金全体では197億円の減少となった。(今後の方針)・東日本大震災復興基金等の震災関連の基金:復旧・復興事業の進捗に伴い残高は減少していく見込みである。・県庁舎等整備基金:将来の財政負担に備え、県庁舎等の長寿命化対策に要する経費として積み立てを行い、引き続き残高の確保に努める。
グループ内の他府県に比し,有形固定資産減価償却率は低く維持されており,老朽化が極端に進んでいる状態ではないと見ることができ,要因の一つとしては,東日本大震災で被災した施設等を復旧・建替等していることが考えられる。なお,本県では,平成28年度に策定した宮城県公共施設等総合管理方針に基づき,施設新築に当たり将来の人口構造の変化等を踏まえた,長期的・総合的な観点から検討を行うとともに,既存施設については,長寿命化や施設の積極的な統廃合による施設総量の適正化を検討しており,財政負担軽減に努めている。
債務償還比率は,類似団体を下回っており,主な要因は地方債の新規発行を抑制していることによる地方債現在高の減少,東日本大震災からの復旧・復興等による充当可能基金額の増加等が考えられる。今後も債務償還比率に配慮した財政運営に努めていく必要がある。
将来負担比率は,類似団体と比べて低い水準となっており,平成29年度比でも改善している。この主な要因は,地方債の新規発行抑制による地方債現在高の減である。また,有形固定資産減価償却率は,類似団体と比べて低い水準となっており,主な要因は東日本大震災で被災した施設等を復旧・建替等をしていることである。今後,復旧・建替等を行った施設が有形固定資産減価償却率を上昇させる要素となるが,その他の既存施設の長寿命化や施設の積極的な統廃合による施設総量の適正化等により,将来負担の上昇を抑えながら,適切な財政運営に努めていく必要がある。
将来負担比率は平成26年度以降,類似団体と比較して低い水準にある。平成29年度比でも低下しているが,この主な要因は,地方債の新規発行抑制による地方債現在高の減である。実質公債費比率は,平成26年度は類似団体と比較して低くなっているが,それ以降の年度は類似団体を上回っている。このことの主要因は過去の地方債発行に伴う償還経費の変動である。将来負担比率の低下に応じ今後の傾向としては低下していくものと見込まれ,平成29年度比においても0.9ポイント低下している。今後も公債費負担の平準化に努めた上で、適正な水準となるよう配慮していく。
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