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東日本大震災の復興事業の影響もあり、県民税、法人事業税、地方消費税及び地方法人特別譲与税が増加したことにより、基準財政収入額が増加し、単年度及び3か年平均ともに財政力指数は改善傾向にある。法人事業税については、次年度も増加することが見込まれる。宮城県滞納整理機構などの取組により、地方税の徴収率は増加傾向にあるが(平成26:97.9%→平成27:98.3%)、復旧・復興事業の進展に伴い、復興需要は今後減少することが見込まれることから、歳入確保策について検討していく必要がある。
平成23年度から平成24年度は、税収や臨時財政対策債の微増により0.2ポイント改善し、グループ内平均を上回っていたが、平成25年度、平成26年度は臨時財政対策債発行額が減少した一方、公債費の増加等が影響し、平成24年度から平成26年度で5.5ポイントの上昇となった。平成27年度は臨時財政対策債が前年度から54億円増加したほか、税収等の伸びにより経常一般財源のうち臨財債を除いた一般財源が140億円増加したことなどから、対前年度比で2.3ポイント改善した。しかしながら、未だ95%を超過し、財政の硬直化が継続しており、経常的経費の計画的な抑制や安定的な一般財源の確保に一層努めていく必要がある。
人口1人当たり人件費・物件費等決算額がグループ内平均を大きく上回っているのは、主に東日本大震災に対応した物件費が要因であり、がれき処理に要する経費である災害等廃棄物処理事業費や応急救助費等の大幅な増加によるものである。復旧期から再生期への移行の表れとして、震災対応分の物件費の大宗を占めていた災害廃棄物処理事業費は平成25年度をピークに減少に転じ、平成27年度には皆減となったことにより、本決算額は、平成25年度から平成27年度にかけて大幅に減少している。それでもなお、震災対応経費によりグループ内平均を上回る状況となっている。震災対応に要する経費は財政的観点からの抑制対象ではないが、その合理化については、今後とも一定の配慮が必要である。
平成23年度~平成24年度の高指数の状況は、平成25年度の国の給料削減の終了等のほか、一般職員よりも平均給料が低い特定業務等従事任期付職員の増加等の影響で解消された。平成27年度は給料水準を引き下げる「給与制度の総合的見直し」を国と同じく実施したが、平成27年給与改定では人事委員会勧告に基づき民間給料との格差0.31%を解消する目的から、国の給料月額に一定率を上乗せした給料表に改定する水準調整を実施し平成26年度よりも数値が上昇した。依然グループ内平均を下回る状況だが、今後も人事委員会勧告を踏まえ、国及び他都道府県の動向を分析して適切に対応する。
平成23年2月に策定した「宮城県新定員管理計画」(平成23~平成26年度)の目標を達成すべく、年度毎の目標値を設定して適正な定員管理に取り組むこととしていた。しかしながら、東日本大震災の発生により、膨大な復旧・復興事業を推進するための職員数を確保する必要が生じたことから、計画に基づく職員総数の削減は行わず、その削減予定分であった人員を復旧・復興業務に充てた。なお、通常業務に係る人員は更なる効率化等により予定どおり削減している。また、平成27年2月に「宮城県定員管理計画【再生期】」(平成27~平成29年度)を策定し、平成27年4月1日現在を基準として増減なしの現状維持を目標としたところである(復旧・復興に必要な土木職については30人増を目標としてるが、平成30年度以降の次期計画で採用数を削減し、調整することとしている)。今後も復旧・復興に必要な職員数を確保しつつ、引き続き適正かつ合理的な定員の管理に努めていく。
平成23年度、平成24年度はほぼ横ばいに推移していたが、平成25年度に定時償還に係る元利償還金が減少したこと、臨時財政特例債等の交付税額が増加し基準財政需要額が増加したことを原因として0.8ポイント減少し、グループ内平均と同一となった。平成26年度も、標準財政規模の拡大や、災害復旧事業費等に係る元利償還金等の増加により基準財政需要額が増加したことから、0.3ポイント減少とわずかながら改善が図られたが、平成27年度は満期一括償還地方債の償還額の増加等の影響により0.4ポイント上昇した。今後も償還計画に基づいた一定の償還額を維持しつつ、公債費負担の平準化に努め、適正な水準となるよう配慮していく。
平成23年度、平成24年度は主立った変動要因もなく横ばいで推移していたが、平成25年度に退職手当の減及び特別会計の県債残高の減少等に伴う繰入見込額の減により10.1ポイント減少した。平成26年度は、地方債現在高の減やそれに伴う公営企業債等繰入見込額の減、支給水準の引き下げによる退職手当額の減等により、前年度から54.2ポイント減少となりグループ内平均を下回るまで改善した。平成27年度も平成26年度と同様、地方債現在高の減やそれに伴う公営企業債等繰入見込額の減等により前年度から15.4ポイント減少した。今後も継続して将来負担に配慮した財政運営に努めていく必要がある。
人件費は、東日本大震災の復旧・復興に関連する人件費の増加の影響により、平成23年度以降の比率はグループ内平均を常に上回っており、グループ内でも低い順位となっている。平成23年度は震災対応に係る時間外手当等の増加により、比率が47.1%と高い水準となったが、それ以降の比率は減少傾向にあり、復旧・復興事業の進捗により、震災関連の人件費の比率は今後も減少していくと見込まれる。給与制度の在り方やその運用の一層の合理化を進めながら、人件費の適正化に努めていく。
物件費は、平成23年度以降、一貫してグループ内平均を上回る比率で推移しており、グループ内順位も低い状況である。その主な経費はシステムや公共施設等の管理運営費などであることから、消費的経費の効率的な予算執行に努めていく。
扶助費は、各年度ともグループ内平均・都道府県平均とほぼ同水準の比率であることから、本県の社会保障関係の需要が全国的なトレンドと同様の傾向で推移していることがわかる。今後も引き続き社会保障関係経費が増加していくことを想定し、各種制度の適切な運用に努めていく。
その他の経費は、維持補修費と貸付金である。平成23年度以降は、東日本大震災の復旧・復興に要する経費執行のため、その他の経費の執行は抑制傾向にあったが、平成26年度以降は都道府県平均に近い水準となっており、平成27年度はグループ内平均と同水準となった。その主な要因の一つとしては、維持補修費の増加が挙げられるが、経費の必要性については、引き続き検討を行い、適切な財政運営に努めていく。
補助費等は、平成23年度以降、各年度ともグループ内平均を下回っているが、決算額及び比率とも年々増加している。主たる要因は社会保障関係経費の増大であり、特に平成23年度から平成24年度では、国民健康保険事業や介護保険事業等の増加により前年度比3.2ポイントの大きな増加となった。平成25年度以降はほぼ横ばいであるが、平成27年度は25.8%で都道府県平均と同水準となっている。今後も引き続き社会保障関係経費が増加していくことを想定し、各種制度の適切な運用に努めていく。
公債費は、平成23年度以降は常にグループ内平均を下回る比率で推移しているものの、償還計画に基づく元利償還金の計上により、平成23年度から平成27年度にかけては償還額は増加の基調にある。一方、これまで新発債を伴う投資的経費の抑制を図っていることから、その傾向がこれからも変わらず継続すれば、長期的には公債費の減少に寄与すると見込まれる。今後も引き続き金利負担の軽減対策や公債費負担の平準化に努めていく。
公債費以外の経費は、平成24年度を境として、グループ内平均を上回る比率で推移しており、特に平成25年度及び平成26年度においては、グループ内平均との乖離が大きい。各歳出項目において際立った増減が見受けられないことから、分母における臨時財政対策債発行額減少が比率に与える影響として大きいと考えられる。平成27年度は0.8ポイント改善したとはいえ、依然財政の硬直化は継続しており、人件費、物件費などグループ内平均を上回るものをはじめとして経常的経費の計画的な抑制や安定的な一般財源の確保に一層努めていく必要がある。
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