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地方財政ダッシュボード

鹿児島県屋久島町の財政状況(2021年度)

🏠屋久島町

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2021年度)

財政力指数の分析欄

予測を上回る人口減少や全国平均を上回る高齢化率(令和4年3月末37.58%)に加え、零細企業が多いことなどから財政基盤が弱く、また、各種公共事業の財源として辺地対策事業債や過疎対策事業債などの起債を多く活用しており、多額の公債費が基準財政需要額を増大させていることから類似団体平均を大きく下回っている。また、市町村合併の際の住民サービス向上施策として、出張所6箇所設置しているほか、福祉事務所を設置するなど類似団体に比べて職員数を多く抱えている。人件費抑制に努めてきたが過度な抑制は行政サービス低下につながることから適切な職員配置による効率的な組織を目指すとともに、継続して経常経費の徹底的な見直しと抑制及び投資的事業の厳選、徴収体制の強化による税収確保等に努めて財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

会計年度任用職員制度施行及び公営企業会計制度導入から2年目となり、人件費や補助費等の経常経費に大きな変化はなかったものの、コロナ禍における経済対策の一環である臨時財政対策債等の増加が要因となって比率が減少することとなった。これは、全国的にみられる傾向であり、本町は5.8ポイント改善して前年度に引き続いて類似団体を下回った。今後は、庁舎建設や光回線敷設事業などの大規模事業の地方債の償還が始まることから、公債費の増加による比率の悪化が懸念される。自主財源が乏しい本町にとっては新規地方債発行はやむを得ないが、可能な限り発行を抑制するとともに、事務事業の見直しに取り組んで歳出予算の削減に努めるなど経常経費の縮減を図って比率の安定化を目指す。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

前年度から3,695円減少したところではあるが、類似団体平均及び県平均を大きく上回っている。これは、本町は島の周囲沿岸部に居住区域が点在しており、実質稼働距離が長いことから、行政サービス低下を招かないよう6箇所の出張所に職員を配置していることや、福祉事務所を設置して生活保護業務に携わる職員を有していることなどから類似団体平均よりも職員数が多いことが影響している。また、物件費についても6出張所の維持管理経費をはじめ、合併以後の類似施設の統廃合が進んでいないこと及び老朽化も加わって施設の維持管理経費が財政を圧迫する要因であることから、公共施設管理計画等に基づく適切な施設の配置及び維持管理が必要となっている。

ラスパイレス指数の分析欄

ここ数年は横ばいで類似団体を上回る状況が続いていたが、令和2年度に1.1ポイント減少して類似団体を下回り、3年度は類似団体を上回ったものの前年度と同値であった。本町の給与は国の制度に準じており、各年度の増減は職員構成や年齢階層の変動の影響が大きいと考えられる。小規模自治体のため、経験年数階層内の分布が変わった場合によっては数値の動きが顕著な場合がある。現状は、全体の年齢構成としては高年齢層の職員が多く、今後も引き続き適正な職員配置に心掛け、全体の年齢層のバランスを勘案しながら、退職者数に見合った新規採用、適正な給与格付けを行うとともに、昇給・昇格を人事評価に基づくものとするよう努めていきたい。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

本町は屋久島と口永良部島の二つの離島を行政区域としている。屋久島の居住区域は島の周囲沿岸部のみで行政区域が広範囲であるため本庁舎以外に5つの出張所、そして、口永良部島に1出張所を設置して行政サービスに努めている。したがって、出張所に配置する職員も相当数必要なことや屋久島と口永良部島間で町営船を運航していること、さらに、福祉事務所設置町として生活保護業務を移管されていることなどから本指数は類似団体平均を上回っている。平成19年の合併以降、職員数削減は自然減という形で年々減少傾向あった。合併から10年以上が経過して減少傾向は落ち着きつつあることから、今後は住民ニーズが複雑化、多様化する傾向にある中で適切に行政サービスを提供できるよう適正な職員配置に努めていく。

実質公債費比率の分析欄

平成22年度に策定した公債費負担適正化計画に基づき、事業の厳選等により新規地方債の発行抑制に努め、平成24年度決算で18%を下回り、令和3年度決算で11.6%と前年度から1.5ポイント減少した。これは、これまで実施した大規模な基盤整備等の償還が終了したことによる地方債残高の減少とともに、地方交付税において新たな算定項目が追加されたことなどによるものである。しかし、減少傾向にはあるものの、現状では類似団体平均を上回っており、県内でも依然として高い水準にあることから、当該年度の起債額を元金償還額以下に抑制するなど、普通建設事業の適正な計画・管理・厳選を行い、長期的視点に立った財政計画による適切な公債費管理に努める。

将来負担比率の分析欄

財政基盤がぜい弱で自主財源が乏しいために一定程度は地方債に頼らざるを得ない状況において、事業の厳選に努めた発行抑制とともに、経常経費の見直しなどの歳出抑制を行って財政健全化に努めてきたところであり、その効果により改善が進みつつあるといえる。前年度に引き続いての減少(8.5ポイント減)は、これまで実施した大規模な基盤整備の償還が終了したことなどによる地方債残高の減少とともに、老朽化の進行が著しい公共施設の大規模改修等を見据えての公共施設整備基金の積立てによるものである。今後、新たなごみ処理施設建設等による地方債発行と整備基金の取崩しなどにより比率の悪化が見込まれることから、財政健全化の推進に配慮しながら、併せて適切な事業執行による町勢発展に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2021年度)

人件費の分析欄

令和2年度に施行された会計年度任用職員制度の影響が落ち着き、前年度から1.7ポイントの減少であった。例年同様に類似団体平均を下回っているものの、当町は本庁舎以外に6か所の出張所を設置するとともに、屋久島と口永良部島間で町営船を運航しており、さらには福祉事務所を設置するなど類似団体に比べて職員数が多くなる要因を抱えており、経常人件費は高い状況にある。住民ニーズが複雑化、多様化する傾向にある中で、適切に行政サービスを提供できるような組織再編や人員配置の見直し等を行い、適正な職員定数管理に努めていきたい。

物件費の分析欄

前年度より1.7ポイント減少したところではあるが、類似団体平均及び県平均を依然として上回っている。これは、本庁舎のほか6つの出張所を抱えていることや、旧町で整備した類似施設の統廃合が住民感情への配慮もあって進んでいないこと、ごみ処理施設及びし尿処理施設において環境に配慮したリサイクル費用(島外搬出費用含む)が多額であることなどが要因として挙げられる。これまで継続して経常経費削減に取り組んでおり、事務的経費の大きな削減は見込めないことから、今後は公共施設総合管理計画に基づいた個別計画の実践による施設の統廃合等を進めて適正規模の施設管理による物件費の削減に努めたい。

扶助費の分析欄

生活保護扶助費における医療費は増加傾向にあり、生活費及び住宅費も高止まりの状況にある。また、自立支援給付費の増加も顕著であり、さらに、コロナ禍における子育て世帯への支援などにより、前年度から0.6ポイント増加した。扶助費は時代の流れや社会の様子が反映されることから、社会情勢の変化や保護者のニーズになどに応じたサービスを的確に捉えて実施していくとともに、抑制に向けて介護予防や健康づくりなどのサービス等の充実を図り、予防段階での取組みをしっかりと進めていく。

その他の分析欄

昨年度と同値であるが、内訳としては繰出金が減少し、維持補修費が増加しており、類似団体平均との比較は4.1ポイントの差となった。本町は公債費及び物件費の割合が高いことから、他の費目が総じて低く抑えられている状況にある。特別会計の運営については、少子高齢化の進展などにより総じて厳しい状況にあるため、医療費抑制のための健康づくりなどの各種サービスの一層の推進に努める必要がある。また、維持補修費については、旧町において整備された施設の老朽化等が進んで増加傾向にあることから、公共施設総合管理計画に基づいた統廃合等を進めて削減に努めていく。

補助費等の分析欄

類似団体平均を下回っているものの、これは本町では公債費及び物件費の割合が高いことから、他の費目が総じて低く抑えられていることに起因する。公債費の占める割合が高い当町では、他の経常経費の削減に努めなければならず、各種団体への補助金等については、これまで重点的に精査及び見直しを実施してきたところである。今後も継続的に必要性の低い補助金は見直しや廃止を行う方針であるが、生活環境の向上に資するなどの真に必要なものについては、住民ニーズを的確に捉えて適切な行政サービスを提供できるよう努めていく。

公債費の分析欄

平成19年10月の合併後、公債費は平成20年度にピークとなった。さらに平成22年度には実質公債費比率が18%を超えたため、公債費負担適正化計画を策定し、新規地方債の発行抑制等による公債費削減に取り組んできた。その成果もあって公債費は年次的に減少を続け、令和3年度は類似団体と3.7ポイント差までになった。しかし、ごみ処理施設建設や老朽施設の大規模改修など、多額の地方債を必要とする大型事業を計画していることから、長期定な視点に立った財政見通しにより類似団体との格差に注視しつつ、生活環境の向上に向けた公共施設の整備等と財政健全化のバランスを図った行財政運営に努める。

公債費以外の分析欄

昨年度と比較して3.4ポイント減少しているものの、類似団体平均は4.8ポイント減少しており、比率の減少は全国的なものであったといえる。これまで同様に健全な財政運営に向けて努めているが、取り組みが類似団体に及ばなかったと考えられる。今後も住民ニーズに迅速に応えることができる柔軟な財政運営を目指して、経常収支比率増加の要因となる公債費や物件費の抑制に努めるとともに、人件費の推移にも注視しながら、長期的視点に立って公債費の水準を低減させつつ、必要な行政サービスの提供に努めながら適正水準に向けた取組みを継続していくこととする。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

・総務費については、新型コロナウイルス感染症対策の特別定額給付金事業の減少の影響が大きく、屋久島町だいすき基金(ふるさと納税)や公共施設整備基金への積立てによる増額を上回って、住民一人当たりのコストを減少させることとなった。・民生費が類似団体平均に比べて高止まりしている要因は、福祉事務所設置町であることから生活保護業務等を移管されており、生活保護費や児童扶養手当などの扶助費支出があること、さらに、非課税世帯への支援金や子育て世帯への給付金などにより増加することとなった。・衛生費も類似団体平均に比べ高止まりしているが、これは、世界自然遺産登録地であることによる自然環境(山岳部)保全対策による影響が大きく、山岳部からの人力によるし尿搬出を継続的に行うことは屋久島の観光面及び衛生面に重要である。また、廃棄物対策においてもゼロエミッションの推進から生ごみの堆肥化に取り組むとともに、プラスチック類や紙類など再資源化が可能であるものは島外へ搬出して再資源化を図っていることなどから、その島外搬出費用及び処理費用が多額となっていることによるものである。・農林水産業費については、類似団体の約2倍以上となっているが、これは離島である本町と本土の格差是正のために事業者の費用負担軽減策として林産品等の戦略産品の輸送費支援や農水産物の輸送コスト支援事業を実施していることや、漁港の大規模な基盤整備事業などが影響している。・消防費が類似団体に比べて高い傾向にあるのは、住民の居住区域が島の周囲沿岸部であり、消防・救急活動が非常に広範囲にわたることから消防分遣所を2箇所設置しているため、相応の人件費・物件費等(熊毛地区消防組合への負担金)が必要となることが要因となっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2021年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、住民一人当たり1,057,047円となっている。本町は2町合併により誕生した町であり、また、離島という地理的条件等により、類似団体と比較して住民一人当たりのコストは高い傾向にあることが推察される。以下に特徴的な要因を持つ費目を分析する。・人件費は、新規採用者数を前年度退職者数より抑制するなどして決算額としては減少したが、人口減少の割合が大きく住民一人当たりのコストは増加する結果となった。また、本庁舎以外に6出張所を設置していることや福祉事務所を設置して生活保護業務を移管されていることなどにより類似団体より職員数は多くなっていることからコストは割高となっている。・物件費については、公共施設を多数保有していることによる維持管理経費や、ごみ・し尿処理施設において環境に配慮したリサイクル費用(島外搬出費用含む)が多額であること、公共施設個別計画等に基づく公共施設の除却費用が影響するなどして高止まりの状況となっている。・扶助費については、福祉事務所設置町であることから生活保護業務及び児童扶養手当支給事務等が影響して類似団体と比較すると突出している。また、生活保護扶助費や身体障害者自立支援給付費は増加傾向にあり、さらに、コロナ禍における子育て世帯への支援などにより決算額が増加したことから住民一人当たりコストも上昇した。・災害復旧費については、離島でありさらに台風常襲地帯であることなどが影響して港湾施設が被災しやすく、近年は永田港や湯泊港の大規模な復旧工事を実施していることから高水準で推移している。台風や豪雨が激甚化・頻発化していることから今後も年度間の大きな増減や高水準での推移が予想される。・公債費については、平成19年10月の2町合併時から削減に努めており、令和3年度においても人口減少の割合を超えて住民一人当たりのコストを減少させることとなった。しかし、依然として高い水準にあることから、財政健全化と町勢発展との均衡を図りながら削減に努めていくこととする。

実質収支比率等に係る経年分析(2021年度)

分析欄

平成19年10月の合併当時、財政調整基金残高は標準財政規模の5.3%程度であったが、これまで歳入確保や歳出削減に努めた結果、平成28年度に30%を超えるに至った。今後も財政健全化と基金の活用による町勢発展とのバランスを図りながら、安定した財政運営に努めることとする。実質収支額は、コロナ禍による物流の停滞により普通建設事業等において繰越事業が増加したことなどが影響して1.67ポイント減少した。しかし、望ましいとされる3~5%程度の範囲内にあることから今後も大きな年度間のばらつきが生じないよう健全な財政運営に努めることとする。実質単年度収支については、新型感染症の影響による繰越事業等の財源調整が難航し、財政調整基金で対応したことから取崩額が積立額を大きく上回って-3.45%となった。大規模な事業実施にあたっては、関係機関と連携を密にして適切な財政運営に心がけることとする。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2021年度)

分析欄

特別会計事業のうち、上水道事業(屋久島内の簡易水道事業が移行)、農業集落排水事業及び船舶事業が地方公営企業法を適用して2年目である。公営企業会計へ移行した各会計については、船舶事業0.20%、上水道事業0.06%、農業集落排水事業0.04%と全会計が黒字となってはいるものの、内情は一般会計からの補助金で赤字を解消している状況にある。各事業とも経営基盤の強化や財政マネジメントの向上に努めることとしているものの、事業規模等から大きな増収増益を見込むことは困難であり、厳しい運営を強いられている。その他の黒字となっている介護保険事業及び国民健康保険事業、0.00%となっている診療所事業、後期高齢者医療事業についても、例年、一般会計から事務費分の繰入れや赤字補てんを実施している状況にある。また、その他会計(黒字)については、口永良部島内の簡易水道事業を従前どおり法非適用事業として実施しているものであり、他の会計同様に一般会計からの繰入金により歳入歳出決算額の調整がなされている。特別会計においては、特に公営企業会計には独立採算による事業実施を望むところではあるが、事業規模から考えると非常に困難であるといわざるを得ない。今後も引き続き、一般会計をはじめとして町全体で健全な財政運営を図るよう取り組んでいくとともに、各公営企業及び公営事業については経営状況を精査し、過度な一般会計の負担とならないよう努めることとする。

実質公債費比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

平成22年度に公債費負担適正化計画を策定以降、新規地方債の抑制に努めたことにより、元利償還金が減少してきたことによる分子の減少で実質公債費比率は減少傾向にある。また、ここ数年1,500~1,600百万円台の横ばいで推移してきた元利償還金は、令和2年度に大型事業の償還が終了したことで1,300百万円台、令和3年度には1,200百万円台となっている。今後は、令和7年度稼働を目指すごみ処理施設をはじめとして、老朽施設の大規模改修等の大型事業実施など、元利償還金の増加要因が見込まれている。分母となる普通交付税は、一本算定となった令和2年度以降、予測していたような大幅な減額とはなっていないものの、今後の状況は不透明であることから、長期的視点に立った計画的な財政運営により実質公債費比率に注視していく。

将来負担比率(分子)の構造(2021年度)

分析欄

平成19年10月の合併以降、これまで歳入確保の努力と徹底した歳出削減、事業の厳選等による財政健全化に取り組んできた。その効果により、地方債残高は着実に減少し、令和2年度から120億円を切るなど将来負担額の減少へとつながった。また、併せて、普通交付税が一本算定となる令和2年度以降の財政不安に備えて基金の積立てに取り組んできたことにより、充当可能財源等における充当可能基金の額が年々増加し、将来負担比率を年次的に改善させることとなった。今後の見通しとしては、ごみ処理施設整備をはじめとして老朽施設の大規模改修等の大型事業に伴う多額の地方債発行を見込むことから地方債残高が増加し、一方で、地方債発行抑制のために基金の取崩しを行う必要があることから分子の増加が予想され、3~5年の短期的な見通しとしては将来負担比率は増加する懸念がある。これらを踏まえ、今後も継続して歳出削減や事業の厳選とともに、新規地方債発行額を元金償還額以下に抑えることなどにより、財政健全化への歩みを止めることのないよう努めることとする。

基金残高に係る経年分析(2021年度)

基金全体

(増減理由)・令和3年度末の基金残高は約49.2億円であり、前年度から約5.5億円の増となっている。これは、財政調整基金は約1.3億円の減となったものの、公共施設整備基金で約2.0億円、だいすき基金で約1.1億円、令和3年度に造成した旧支所周辺にぎわい創出事業基金3.0億円の積立てが増加したことが主な要因である。・財政調整基金については、例年取り組んでいる歳入確保と事務事業の精査及び事業の選択などの歳出削減による決算剰余金を中心として積み立てたが、次年度への繰越事業の財源としたことなどが影響して取崩額が上回ったことから減額となった。・公共施設整備基金は、令和7年度稼働を目指すごみ処理施設整備を見据えるとともに、老朽施設の大規模改修等に備えて積極的に積立てを行ったことにより増加した。・屋久島町だいすき基金は寄附金を財源としているため、寄附金の増減により基金の積立額が変動するものの、ここ数年は増加傾向にある。・新たに造成した旧支所周辺にぎわい創出事業基金は、旧町の本庁舎(旧支所)の取壊しに伴い、閑散となることが予想される跡地のにぎわいを創出する事業の財源にするため、令和3年度に積み立てたものである。(今後の方針)・基金総額は、財政健全化への継続した取り組みによって年々増加しており、令和3年度決算では標準財政規模の76.7%となっている。財政調整基金は年度間の財源の不均衡を調整するためのもので、また、特定目的基金は定めた目的のために造成されているものであることから、それぞれの目的を達成するよう慎重かつ効果的な基金の活用に努める必要がある。これまで総じて財政安定化を最優先にして積立てを重視してきたところであるが、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えるとともに、複雑化かつ多様化する住民ニーズ、さらには、喫緊の対応が求められている少子高齢化対策等への効果的な取り組みのため、それぞれの目的に応じて適切に基金の活用を図っていくこととする。

財政調整基金

(増減理由)・令和3年度末の基金残高は約23.4億円となり、前年度から約1.3億円の減少となっている。・当初予算編成においては、基金からの取崩しを見込んでの編成となった。基金の減少額は当初予算における取崩見込額よりは少なかったものの、繰越事業の財源としたことなどから、これまで同様に積立てることができず、平成19年10月の屋久島町誕生以降、令和元年度に続いて2度目の減額となった。(今後の方針)・予測を上回る人口減少や少子高齢化等により扶助費や補助費といった経常経費の増高が予想されるなど、基金の目的である年度間の財源の不均衡の調整の必要が強く見込まれることから、これまで同様に歳入確保と歳出削減に努めながら、概ね20億円程度(12,000人×170千円)の残高を確保しながらの行財政運営に努めることとする。・基金残高が標準財政規模の36.4%になっていることを踏まえ、これまで財政安定化を最優先にして事業の厳選に努めてきたところであるが、複雑化かつ多様化する住民ニーズを的確にとらえるとともに、喫緊の対応が求められている少子高齢化対策等について、これまでより高い質の取り組みを実施することとして基金残高に注視しながらの活用を図る。

減債基金

(増減理由)・令和3年度末の基金残高は約3.8億円であり、前年度から約0.7億円の増加となっている。これは、国の補正予算第1号における財政措置に対応したもので、後年度、臨時財政対策債償還費に算入されない分の備えとして積み立てたものである。(今後の方針)・平成19年度の合併以降、事業の厳選などによる地方債残高の削減及び公債費の抑制に努めており、さらに、事業実施にあたっては、辺地債や過疎債などの交付税措置の割合が高く、公的資金が利用できる地方債を主として利用しており、今後も同様の方針により取り組んでいく。・公債費の償還については、公的資金が主であることから金利変動等のリスクは比較的小さく、また、平成20年度をピークとして年々減少傾向にある。満期一括償還方式の地方債の発行をしていない現状を踏まえ、毎年度3億円程度(標準財政規模の5%)を確保することとし、公債費比率改善や過度な後年度負担とすることのないように状況に応じて繰上償還を検討する。

その他特定目的基金

(基金の使途)・屋久島町公共施設整備基金:公共施設の新設や改修などに要する経費の財源に充てることを目的として設置。大規模な施設整備や長寿命化整備などを行う場合に、国県補助金や地方債発行では賄えない建設事業費の財源として活用。・屋久島町だいすき基金:本町へ寄附された「だいすき寄附金」(ふるさと納税)を適正に管理運用するために設置。環境保全対策や活性化に関する事業の財源として活用。・屋久島町旧支所周辺にぎわい創出事業基金:旧町の本庁舎(旧支所)取壊しに伴って閑散とする跡地周辺地域に新たなにぎわいを創出するための事業の財源として活用。・屋久島町岩崎育英奨学基金:育英奨学資金としての貸与又は青少年研修費として運用する事業の財源として活用。・屋久島町未来につなぐ森林づくり基金:間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進を図るための事業の財源として活用。(増減理由)・屋久島町公共施設整備基金:公共施設改修等のための財源として予定したが、令和7年度稼働を目指すごみ処理施設の整備等を考慮して積立てを行ったことから増加。・屋久島町だいすき基金:基金活用事業の財源としたが、寄付金額が活用額を上回ったことから増加。・屋久島町旧支所周辺にぎわい創出事業基金:旧町の本庁舎(旧支所)取壊しに伴って閑散とする跡地周辺地域に新たなにぎわいを創出するために新たに造成。・屋久島町岩崎育英奨学基金:当基金の活用までには至らなかったために預金利子のみ増加。・屋久島町未来につなぐ森林づくり基金:基金活用事業の財源としたが、コロナ禍により事業執行が想定通りに進まず、森林環境譲与税の額が活用額を上回ったことから増加。(今後の方針)・屋久島町公共施設整備基金:令和7年度稼働を目指すごみ処理施設の整備事業及び老朽施設等の整備、改修等に活用。・屋久島町だいすき基金:全国から寄せられる好意に応えるべく、基金活用事業の積極的な拡大を行っていく。寄附金の額に応じて今後も活用を行う。・屋久島町旧支所周辺にぎわい創出事業基金:旧町本庁舎(旧支所)跡地周辺地域のにぎわい創出のため、充当すべき事業を実施する際の財源として活用。・岩崎育英奨学基金:基金充当すべき事業を実施する際に財源として活用。・屋久島町未来につなぐ森林づくり基金:林業振興に資するよう充当すべき事業について積極的に活用。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2021年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

令和3年3月に策定した公共施設個別計画により、延べ床面積を令和6年度までに7.7%削減(計画期間(令和3~令和16)内合計16%)する整備方針を掲げるなどして老朽施設等への取り組みを進めている。有形固定資産減価償却率は、令和3年度は旧役場庁舎の解体等の影響もあって減少に転じた。今後も計画実行への不断の取り組みにより、他の団体と同程度の水準となるよう努めることとする。

債務償還比率の分析欄

平成19年10月の合併からこれまで実施事業の厳選や基金積立てなどに努めて、比率は減少傾向にあったが、令和元年5月に供用を開始した新庁舎建設の地方債発行の影響などもあり、類似団体平均を上回っている。さらに、今後はごみ処理施設整備やし尿処理施設の更新などの大型事業の実施などを予定していることから、効率的かつ効果的な財政運営に努めて数値の上昇に注視する必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率は、平成19年10月の合併から取り組んできた事業の厳選による地方債の発行抑制や基金への積立てなどの効果によって年々減少傾向にあり、令和3年度は「0.0」となった。一方で、有形固定資産減価償却率は類似団体との差は縮小したものの依然として上回っている状況にある。今後も町民生活に支障を来すことのないよう配慮しながら、公共施設個別計画に定めた令和6年度を目標とする延べ床面積の7.7%削減の実施により、有形固定資産減価償却率の一層の低減に努めることとしたい。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

実質公債費比率は、類似団体と比較して依然として高い状況にあるものの減少傾向が続いており、将来負担比率については「0.0」となった。これらは平成19年10月の合併から取り組んできた財政健全化の効果が現れたきたものと考えられる。しかし、今後は令和元年5月に開庁した本庁舎の元金償還が令和2年度から始まったことによる公債費の増加や、ごみ処理施設及びし尿処理施設の整備等による地方債発行額の増加、さらには、基金の取崩しなどによる数値の上昇が予測されることから、これまで以上に長期的視点に立った公債費の適正化等に取り組んでいく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2021年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

人口一人当たりに対する各種施設の延長や面積、有形固定資産(償却資産)額等の状況については、【認定こども園・幼稚園・保育所】を除いていずれも類似団体を上回っており、これまでに実施した積極的なインフラ整備の影響によるものと考えられる。しかし、有形固定資産減価償却率においては、すべての項目で類似団体を上回っており、既存施設の老朽化が進んでいることがうかがえる。今後は、各施設がそれぞれ定める長寿命化計画等に基づいて計画的な更新、整備を図るとともに、学校施設や公営住宅の大規模改修、公民館施設の避難所施設としての機能強化を含めた改修等による老朽化対策に取り組み、有形固定資産減価償却率の上昇の抑制に努めることとする。併せて、人口一人当たりの延長や面積が類似団体を上回る各種施設の老朽化の進行による維持管理費の増加が予想されることから、類似施設等の適切な規模への整理統合を進める必要があると考えられる。なお、【認定こども園・幼稚園・保育所】の一人当たり面積については、民間の保育園(所)等が充実しており、町立幼稚園は1園の設置であることから極めて低い数値となっているが、園児数の減少によりここ数年は毎年10名程度の園児数の状況が続いていることなど、施設の更新等にあたっては幼稚園の存続を含めた難しい判断が必要となっている。

施設類型別ストック情報分析表②(2021年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

有形固定資産減価償却率及び一人当たり面積ともに類似団体を上回った項目は【庁舎】のみであった。これは、平成30年度に本庁舎が完成し、令和元年5月に開庁したことによるものである。【庁舎】を除く各種施設における有形固定資産減価償却率は、類似団体を下回っていることから老朽化が進んでいることがうかがえる。これは、島の沿岸部地域が居住可能という本町の地域特性などを考慮し、旧町において整備された施設は類似する施設であっても適切な維持管理に努めながら有効活用を図ってきたことが影響している。今後は、屋久島町公共施設等総合管理計画及び公共施設個別計画等に基づいて、老朽施設や類似施設については、集約化、複合化及び除却などにより維持管理経費の削減を図るとともに、利用可能施設については計画的かつ適切に更新・整備に努めながら住民福祉の向上に取り組んでいくこととする。また、一人当たり面積についても類似団体の水準を参考としつつ、本町の地域特性を踏まえた適切な水準を模索しながら施設整備を図ることとする。

財務書類に関する情報①(2021年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額49,881百万円で、そのうち固定資産が46,335百万円で92.9%を占めている。固定資産のうち92.8%に当たる有形固定資産の減価償却率が70.8%となっており、これらの資産の老朽化対策のため、令和2年度に策定した「公共施設個別計画」に基づき、適正な管理に努める。また、負債総額は12,563百万円で、そのうち地方債が83.8%を占めている。今後も一般廃棄物処理施設整備事業や、多目的アリーナ整備事業など大型事業による多額の地方債の発行が見込まれるため、普通建設事業の適正な計画・管理・縮小を行い、財政計画を綿密に立てることにより、適正な公債費管理に努める。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用11,505百万円となり、前年度比503百万円の減(4%)となった。そのうち人件費等の業務費用は7,181百万円、補助金等や社会保障給付費等の移転費用は4,325百万円となり、業務費用の方が移転費用よりも多い状況となっている。その業務費用の中でも金額が大きいものは減価償却費(2,506百万円)を含む物件費等であり、経常費用の43.1%を占めている。今後は、令和2年度に策定した「公共施設個別計画」に基づき、施設の統廃合や、譲渡・売却等を行い、適正規模の施設管理に努める。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(10,444百万円)が純行政コスト(11,584百万円)を下回っており、本年度差額は1,141百万円(前年度▲47百万円、▲4.2%)、本年度純資産変動額は1,145百万円となり、本年度末純資産残高は37,318百万円となった。全体会計では、国民健康保険事業特別会計の国民健康保険税や介護保険事業特別会計の介護保険料が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等の財源が3,243百万円多くなっているが、財源が純行政コストを下回っていることから本年度差額は▲1,245百万円、本年度純資産変動額は1,249百万円となり、本年度末純資産残高は38,631百万円となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は1,234百万円となったが、投資活動収支については、栗生漁港機能保全工事や口永良部島火山避難施設トイレ増築事業等の各種施設整備に取り組んだことで▲1,058百万円となった。また、財務活動収支については、地方債の償還額等が地方債発行収入を下回ったことから10百万円となった。本年度末資金残高は前年度から186百万円増加し、1,080百万円となった。しかし、行政活動に必要な資金を基金の取崩しと地方債の発行収入によって確保している状況であり、行財政改革を更に推進する必要がある。

財務書類に関する情報②(2021年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額については、類似団体平均値を大きく上回っている。要因の一つとして本町の地理的要因から、道路・橋梁・港湾・漁港等のインフラ資産が他団体と比較して多いことが考えられる。また、合併前に旧町ごとに整備した公共施設等の集約化が進んでいないことも要因であると考えられる。有形固定資産減価償却率については、特に事業用資産において築40年以上経過しているものが約4割を占めていることから類似団体より高い水準にある。また、これらの公共施設等の老朽化に伴い、前年度より1.7%上昇している。今後は公共施設等総合管理計画及び公共施設個別計画に基づき施設の統廃合や、譲渡・売却等を行い、適正規模の施設管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率については、類似団体平均と同程度であるが、純行政コストが税収等の財源を上回ったことから、純資産が昨年度から3.1%減少している。また、将来世代負担比率についても、類似団体平均と同程度となっている。これは、本町は類似団体の中でも地方債残高が比較的多くなっているが、同様に有形・無形固定資産も多いことが要因であると考えられる。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは、昨年度に比べ減少しているが、類似団体平均を大きく上回っている。純行政コストの内、人件費、物件費等については本町の地理的な特性から6か所の出張所を設置していることや、集約化が進んでいない公共施設の維持管理経費等が多額であることが要因であると考えられる。また、令和3年度に純行政コストが減少した要因としては、昨年度実施した特別定額給付金事業の終了に伴い、移転費用の補助金等が減少したことによるものと考えられる。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額については、類似団体を大きく上回っている。負債の83.4%に当たる地方債については、新規地方債の発行抑制等により徐々に改善されているが、今後も大型事業(一般廃棄物処理施設整備事業や、多目的アリーナ整備事業等)による多額の地方債の発行が見込まれるため、普通建設事業の適正な計画・管理・縮小を行い、財政計画を綿密に立てることにより、適正な公債費管理に努める。基礎的財政収支については、業務活動収支の黒字により投資活動収支の赤字分を補っているため777百万円となっている。また投資活動収支の赤字の要因は、公共施設等整備費支出に地方債を発行し充当しているためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は比較的低くなっている。使用料を徴収している公共施設においては、使用料の見直しを行うとともに、利用回数を上げるための取組を行い、受益者負担の適正化に努める。また、経常費用は昨年度に比べ減少しているが、これは「3.行政コストの状況」にも記載したとおり、移転費用の補助金等が減少したことによるものであるが、一方で維持補修費は、昨年度から193百万円増加しているため、「公共施設個別計画」に基づき、施設の統廃合や、譲渡・売却等を行い、経常費用の削減に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,