北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

宮城県の水道事業宮城県の下水道事業宮城県の排水処理事業宮城県の交通事業宮城県の電気事業宮城県の病院事業宮城県の観光施設事業宮城県の駐車場整備事業宮城県の工業用水道事業
地方財政ダッシュボード

宮城県丸森町の財政状況(2019年度)

🏠丸森町

地方公営企業の一覧

簡易水道事業 末端給水事業 公共下水道 農業集落排水 丸森町国民健康保険丸森病院


収録データの年度

📅2023年度📅2022年度📅2021年度📅2020年度📅2019年度📅2018年度📅2017年度📅2016年度📅2015年度📅2014年度📅2013年度📅2012年度📅2011年度📅2010年度

総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

宮城県内での比較では人口密度が低く、行政効率が良いとは言えない環境にある。特に小学校は各地に遍在しており、児童数の割に学校数が多く、小学校費を引き上げている。令和4年度から小学校再編を予定しており、次第に改善されるものと思われる。また、高齢化率も県内と比較して高い状況にあり、高齢者社会福祉費が相対的に高い傾向にあるものと思われる。類似団体と比して当該指数は低い傾向にあるが、上述の小学校再編や、平成31年度からの段階的な保育所の再編を行うなど、集約化を進める事で基準財政需要額の抑制に努める。

経常収支比率の分析欄

類似団体との比較では同等の水準ではあるが令和1では0.3ポイント高く、当町の推移では平成28から1.4ポイント上昇するなど、僅かながら悪化の傾向にある。税収や地方交付税額、臨時財政対策債等の経常一般財源が年々減少傾向にある事が要因の一つであると考えられる。経常一般財源の確保のため、税収の収納率向上に努めると伴に、支出については事業の見直しを行い、補助制度等を積極的に活用したい。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

令和1の増の要因は、令和元年東日本台風の対応に起因するものである。人件費については、被災状況の把握や災害復旧のみならず、2ヶ月以上開設していた避難所での対応や、罹災証明の対応等で時間外手当が膨らんだ事が要因である。物件費については、災害廃棄物処理事業で約18億円の支出があったため、支出額が大きく膨らんだ。上述のとおり災害起因であるため避けられない増である。

ラスパイレス指数の分析欄

給与構造改革の確実な推進と、昇給の抑制等により、他団体よりも低い水準となっている。また、令和1については、災害対応のため査定昇給は行わず、すべての職員に「良好」とし、「特に良好」、「極めて良好」を適用する職員がいなかったため、ラスパイレス指数のさらなる低下の要因となった。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

当町は人口の割に面積が広いため、農林土木の部署等では人口に対して職員数の確保が必要である。一方で、行政効率を高めるために、指定管理や業務委託等のアウトソーシングを進めている。令和1については2.17ポイントの増ととなったが、令和1の職員数(令和2.4.1現在)で台風被害やそれに関連する業務に対応するための任期付き職員を18名採用したためである。

実質公債費比率の分析欄

三ヵ年平均(平成29~令和1)で比した前年度との差は0.4ポイントの増となったが、単年度で比較すれば直近3ヵ年で最小値である。平成28単年度と直近三ヵ年を比較すると、準元利償還金に該当する水道事業への繰出金の増が影響している。平成28から始まった水道未普及対策事業において、繰出金額が平成28は39,507千円だったが、平成29から本格的な工事が始まった事で令和1は107,954千円と繰出金額が多くなっている。また、分母である普通交付税について、平成28年度は国調人口切替りの年であり人口急減補正の働きが一番高かった年であり、その補正は年々小さくなるため、それに比例して比率が上昇した事も要因と考える。将来負担比率でも明記した改善策に加え、繰出先の事業者との連携を深め、繰出額の抑制に努める。

将来負担比率の分析欄

当町は人口に対して面積が広いため、町内に遍在する施設や道路の整備に対する地方債発行の割合が類似団体と比して高いものと思われる。町中心部に新設した保育施設に充当する地方債を平成28から平成30にかけて合計約5億円発行した事も比率を引上げる要因であるが、これは施設の集約化を図るためであるため、町内施設の適正な管理に繋がるものである。また、令和1は前年度比で7.3ポイントの増となったが、これは令和元年東日本台風に起因する災害対応で928,100千円の地方債を発行したためである。加えて、臨時財政対策債の発行額が年々減少傾向にある事から、分母が減少している事も比率の増加傾向の要因と思われる。今後の地方債発行においても、上述のような必要不可欠な事業や、交付税措置率の高い事業債を優先させる等、比率上昇を抑えるように努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

面積の広さ故にこれまでは類似団体よりも比率が高い傾向にあったが、給与構造改革の実施や昇給の抑制により、年々改善している。令和1については、災害対応のため査定昇給を行わなかった事もあり、類似団体費で0.3ポイント差、前年度比で-0.6ポイントの減となった。

物件費の分析欄

経常的かつ一般財源を充当する支出については特異な変化は見られないが、物件費に充当している過疎対策事業債ソフト分の配分額が年々減少している(平成28:27,300千円、平成29:18,700千円、平成30:13,400千円、令和1:9,800千円)ため特定財源が減少傾向にあり、その裏返しとして一般財源の充当が増える事から、結果として経常収支比率が年々悪化している要因の一つと考えられる。今後については、特定財源に頼ることなく、光熱水費やコピー用紙の減に努めるなど、経常的な支出自体の抑制に努める。

扶助費の分析欄

町内保育施設の再編により、公立保育所数が平成30の4箇所から令和1は1ヵ所となった事で扶助費に充てた経常一般財源が減少した事もあり、平成30と比較して-1.3ポイントの減となった。一方で、高齢化率の高さ故老人保護費が増加傾向にあるため、保健予防の啓発に努めたい。

その他の分析欄

類似団体平均を上回っている経緯としては、次の2点が挙げられる。●これまでに整備した下水道施設に係る地方債償還等に係る繰出金が多額である事。●生産人口の減と高齢化率の上昇に伴う国民健康保険・後期高齢者医療への医療費負担の高さや、介護保険給付に係る繰出金が増加傾向にある事。

補助費等の分析欄

平成29と平成30では類似団体の平均を下回ったが、令和1については前年度比2.9ポイントの増、類似団体比で1.7ポイント上回った。経緯としては、大きく次の2点が挙げられる。●町内保育施設の再編により公立保育数が平成30の4ヵ所から1ヵ所となった事で廃止した3ヵ所分の児童が私立保育所へ移る事となった。それにより教育・保育給付費の支出が増となり町負担額が前年度比で37,314千円の増となった事。●地域おこし協力隊員の増による報償費の増(前年度比で50,922千円の増)。1点目の増要因については補助費等に限れば増の要因であるが、反対に扶助費は減となっている。集約化によるものであるため、止むを得ない増である。2点目については、全額が特別交付税で措置され、当該事業に限ってみれば収支がゼロに近いものである。これら以外の補助費等については、補助金の見直しを中心に、引き続き改善に努める。

公債費の分析欄

過去に発行した道路整備等の地方債の償還終了等により、平成29以降は比率及び実額共に減少傾向にある。一方で、今後は令和元年東日本台風に起因する災害復旧等の地方債の発行が続く事から、公債費の比率は増となると見込まれるが、地方交付税参入率の高い地方債が多い事から経常一般財源も比例して増となるため、影響は少ないと考えられる。災害復旧に絡む発行が増える事から、今後は事業の重点化により、発行額の抑制に努める。

公債費以外の分析欄

類似団体との比較では、「その他」の高さが顕著である。その他の比率の高さについては、上述のとおり繰出金の多さが要因と思われる。ただ、下水道施設に係る地方債の発行が盛んであった1990年代と比較すれば近年の発行額は小規模であり、過去の地方債の償還が終了となるにつれて繰出金額は減少するものと考えられる。一方で、繰出金以外は基本的に類似団体よりも比率が低いか改善の傾向にあるため、引き続き特定財源の少ない事業の見直し及び改善に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

●総務費:令和元年東日本台風の災害復旧事業に係る地方債の後年度負担を想定した町債管理基金の積立や、災害対応のための中長期派遣職員負担金の増。●民生費:平成29と平成30については、保育施設の再編に伴うこども園建設費用が嵩んだため類似団体よりも高い水準にあり、令和1については災害救助費(応急仮設住宅付与や職員時間外等)により類似団体よりも高い数値となった。●衛生費:災害廃棄物処理事業だけで約18億円の支出があるため、コストを引上げる要因となった。●農林水産業費:和牛農家の生産拡大に寄与するための施設の建設費用が平成30から約1.3億円の増となった事や、台風被害による被災農家への支援のための補助金が発生したため、前年度から増となった。●商工費:平成29よりインバウンドプロモーション事業を実施しており(平成29:約1.1億円、平成30・令和1:約0.7億円)、類似団体と比較して高い水準にある。●教育費:年々上昇傾向にあるが、平成30及び令和1については小中学校の空調設備の整備を実施した事が増の要因である。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

【令和元年東日本台風に起因するもの】●人件費:避難所対応、罹災証明等に対応する職員の時間外手当の増。●災害復旧事業費:被災した道路や農地、各施設の災害復旧事業費と、当該事業に従事する職員の事業費支弁となる人件費。●物件費:災害廃棄物処理事業に係る経費の増。【その他】●補助費等:保育施設の再編による教育・保育給付の増や、地域おこし協力隊員の増による報償費の増。●投資及び出資金:水道事業における水道未普及対策のための建設事業が平成28年度から着手された事に伴い、一般会計からの繰出金(決算上は投資及び出資金扱い)が多い事から、類似団体と比較して金額が高い傾向にある。●維持補修費:道路や学校、公営住宅、庁舎の冷暖房機器等の老朽化に伴う修繕費用の高さが要因である。個別施設計画を策定し、それに基づいた適正な管理に努める。●積立金:災害ルール分により特別交付税の収入額が大きかった事から、災害復旧のために発行する地方債の償還に備えて、町債管理基金に積立てを行ったため、令和1は積立金が増となった。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

令和元年東日本台風に起因する特別交付税の災害ルール分の交付により、地方交付税額が約31億円増(H30:約37億円⇒R1:約68億円)となった事で財政調整基金からの取崩が無く、前年度決算余剰金の積増分が基金残高を引上げたため、残高比率が上昇した。実質収支についても、特別交付税の影響で大幅な増となった。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

水道事業会計と病院事業会計については、令和元年東日本台風の影響で黒字比率は減少したものの、いずれの会計でも赤字は発生していない。一般会計については、令和元年東日本台風の起因する特別交付税の増により、黒字比率が大きく上昇した。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

●元利償還金については、道路整備等で発行していた一般単独事業債の償還終了により、H30から約20,000千円の減となった。H11~H20に盛んに発行されており、以降は目立った発行が無い事から、当該事業債の償還金は減少傾向にある。また、災害復旧事業債で約18,000千円の減となったが、令和元年東日本台風に対応するための発行額が増となるため、今後は償還額が増える事となる。過疎対策事業債ハード分では33,000千円の減となったものの、発行額は年度単位の比較で統一性が無いため、一時的な減と思われる。●準元利償還金については、水道事業においてH28から水道未普及対策事業が始まり、H29から本格的な工事着工となった事で繰出金額が増となったため、近年では増の傾向にある。特にH30は工事が集中したため、繰出額が膨らんだ。●算入公債費等については、交付税措置率の高い過疎対策事業債や災害復旧事業の元金償還額減に比例して減少しているものと考えられる。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

令和元年東日本台風に起因する災害復旧事業のために発行した地方債が約10億円であった事から、地方債残高が大きく増となった。事業繰越まで考慮するとR4まで発行が続くものと思われ、特に災害廃棄物処理事業に係る地方債でR2についても10億円規模の発行を予定している。また、被災した公営住宅整備等のための地方債発行も予定しており、R4に残高のピークを迎えると想定される。一方で、災害復旧事業に係る地方債は交付税算入率が高い事から、基準財政需要額算入額も同等に増となるため、分子の増は抑えられる。さらに、特別交付税において災害ルール分の措置があった事で地方交付税額が前年比で約31億円の増となったため、R1は財政調整基金の取崩が無く、減債基金については積立をする事ができたため、充当可能基金が増となった。加えて、上述の経緯によりR1は実質収支で約28億円の黒字となった事でR2以降に剰余金として影響し、基金への積立へと繋がるため、基金残高の増が見込まれる。上述のとおり充当可能基金残高の増が見込まれる事から、交付税措置の無い公営住宅整備のための地方債の償還額についてもある程度の財源が見込まれるため、トータルでみれば分子の増の幅が抑えられるものと思われる。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)令和元年東日本台風に起因する特別交付税の災害ルール分により、R1は地方交付税額が約31億円の増となったため、財政調整基金については取崩が不要であった事や、減債基金については後年度負担に備えた積立ができたため、基金全体で31,900万円の残高増となった。一方で、その他特定目的基金については、基本的には利子以外の積立が無いため取崩す一方となっている。(今後の方針)令和元年東日本台風に起因する災害復旧事業への充当を中心に取崩す予定であり、特別交付税の関係で一時的に残高は増となるものの、今後は減少傾向で推移する見込みである。

財政調整基金

(増減理由)・増要因:前年度繰越金として17,000万円、加えて利子等で306万円を積立。・減要因:特別交付税の増により、取崩しは実施しなかった。(今後の方針)・積立:特別交付税の増により実質収支の黒字額が大きかったR1からの剰余金145,000万円をR2に積立てする予定である。・取崩:災害復旧事業に際して施越で実施する事業があるため、今後も取崩しを行う予定である。ただ、施越事業については後年度に交付金が交付される事から、補助率が90%代後半である事もあり、年度を跨いで考慮すれば、凡その取崩分を賄う事ができる。一方で、災害復旧事業に際しては特定財源の無い支出も多々ある事から、特別交付税の増による積み増し後については、減少傾向で推移する見込み。

減債基金

(増減理由)・増要因:災害ルール分に基づき交付された特別交付税を原資とし、災害復旧事業に際して発行する地方債の償還を見越して、27,550万円を積立。・減要因:例年に引き続き、地方債の償還の財源とするため、6,000万円を取崩した。(今後の方針)・積立:特別交付税の増により実質収支の黒字額が大きかったR1からの前年度繰越金を原資として、災害復旧事業に際して発行する地方債の後年度負担を見越して140,000万円を積立。・取崩:今後も年6,000万円を取崩す予定であり、災害廃棄物処理事業に際して発行した地方債の元金償還が始まるR6以降はさらに取崩額を増やす見込みである。

その他特定目的基金

(基金の使途)・地域福祉基金:社会福祉事業の振興及び地域の保健福祉の推進。・定住促進住宅基金:定住促進住宅の整備充実を図る。・子育て支援対策推進基金:子育て支援対策を推進することにより、町内の若者定住と地域の活性化を図る。・長寿社会対策基金:地域における福祉活動の促進、快適な生活環境の形成等、本格的な高齢化社会の到来に対応した施策を推進し、地域の振興と住民福祉の向上を図る。・みどりの森創生基金:羽出庭地区林野火災により焼失した山林の緑の回復並びに森林の有する公益的機能を維持増進する。(増減理由)・地域福祉基金:保育所再編にあたって公立保育施設1ヵ所を解体するための工事に充当するため、3,172万円を充当した事等による減。・定住促進住宅基金:令和元年東日本台風による住宅使用料減を補てんするため、693万円を取崩した事による減。・子育て支援対策推進基金:保育士の人件費に充てるため、3,000万円を充当した事による減。・みどりの森創生基金:町有林造林事業のために1,000万円を充当した事による減。(今後の方針)・地域福祉基金:緊急通報システム委託料に充当するため、R2、R3ともに200万円程度の取崩を予定している。・定住促進住宅基金:R1に引続き、R2についても住宅使用料の減を補うために200万円の取崩を予定している。・子育て支援対策推進基金:公立保育を廃止した後も、認定こども園へ派遣する保育士の人件費に充てるため、次年度以降も基金を取崩す見込みである。・みどりの森創生基金:町有林造林事業の財源とするため、次年度以降も基金を取崩す見込みである。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率の推移の程度は、類似団体と同等の水準にある。当然に年数が経過するごとに比率は上昇するため、類似団体と同様に上昇の傾向にある。公共施設個別施設計画を令和2年度に策定し、令和3年度には公共施設等総合管理計画の見直しを行う事から、それらの計画を基に施設の維持管理を適切に進めていく。

債務償還比率の分析欄

平成30までは年々改善の傾向にあり、類似団体と比較しても同等の数値であったが、令和1では前年度から79.2ポイント悪化し、類似団体よりも90.8ポイント高い状況となった。要因としては、令和元年東日本台風被害に対応するための地方債の発行が多く、地方債現在高が平成30から約10億円の増となった事が挙げられる。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率が類似団体と比較して高い傾向は続いている。H30年度は水道未普及対策事業に係る一般会計出資債の発行等により地方債現在高が膨らんだ事や、基金取崩の増による充当可能基金残高が減少した事が挙げられる。R1については、令和元年東日本台風に起因する地方債発行によりさらに地方債現在高が膨らみH30から約10億円の増となったが、災害関係の地方債は基準財政需要額算入率が高い事で、将来負担比率の増の幅は前年度よりも緩やかであった。(H29⇒H30:16.1%増、H30⇒R1:7.3%増)なお、一般会計出資債及び災害関係の地方債は一時的なものであるため、それらの事業の完了後は段階的に改善されていくものと思われる。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率については前述のとおり類似団体と乖離し、かつ年々上昇傾向にあるが、実質公債費比率についても類似団体との乖離が大きく、さらに年々上昇傾向にある。いずれの比率にも影響を与えている要因としては、H28から始まった水道未普及対策事業が挙げられる。一般会計からの繰出金は実質公債費比率の算定上は準元利償還金として扱われるため分子が増となり、実質公債費比率の上昇傾向の要因となっている。さらに、児童数の減により基準財政需要額の小学校費と中学校費が減少する等により、普通交付税の算定額がH28と比べて2.3%減となる事で分子が減となった事も、比率上昇の要因である。水道未普及対策事業についてはR3までの一時的な事業であるため、この事業の完了以後については、いずれの比率も改善していくものと思われる。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は「認定こども園・幼稚園・保育所」と「学校施設」である。「認定こども園・幼稚園・保育所」については、昭和50年代前半に取得した公立保育所2施設分が耐用年数47年に対して稼働年数が35年以上となっており、減価償却率を引き上げる要因となっている。一方で、一部保育所を令和1に解体した事で、平成30と比較して2.1ポイントの改善となった。「学校施設」については、耐用年数47年に対して稼働年数が30年間を越える施設が多いため、比率が高い傾向にある。いずれの施設についても、再編が進んでいる事から、今後は改善するものと思われる。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

「図書館」については、耐用年数47年に対して稼働年数が43年となっており、建物自体の有形固定資産減価償却率は94.6%と非常に高い数値である。直近では小規模な修繕しか行われていないため、高止まりとなっている。「保健センター・保健所」と「庁舎」については、稼働年数が30年あまりとなっているが、設置以降に大きな改修が行われていない事から、類似団体と比較して比率が高い傾向にあるものと思われる。令和2に策定した公共施設個別施設計画や、令和3年度中に改訂予定の公共施設等総合管理計画に基づき、今後は施設の維持管理を適切に進めていく。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等の資産について前年度からの変動が大きく、10,547百万円の増(対前年度比+25.06%)となった。細分化すると、流動資産のうち現金預金と未収金が大幅な増となっており、要因としては令和元年東日本台風による国県支出金及び交付税の増が挙げられる。現金預金については2,803百万円の増(+566.26%)となっており、主な要因としては特別交付税のうち災害ルール分で2,783百万円の増となり、実質収支で大幅な黒字となったことが考えられる。未収金については8,486百万円の増(+3984.04%)となっており、災害復旧に絡む国庫支出金で7,378百万円の繰越となった事が要因と思われる。一方の固定資産については、有形固定資産の減が続いており、前年度から1,138百万円の減(▲2.95%)となった。主な要因としては、インフラ試算の工作物の影響が大きく、765百万円の減であった。特に、工作物の中でも資産額の割合が高い道路について、本年度中の取得額299百万円に対して、減価償却額は972百万円と差引で▲673百万円となっており、固定資産の減の要因となっている。固定資産は維持管理や更新等の将来にわたる支出が伴うものであることから、公共施設等総合管理計画に基づき適正管理に努める。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等の純行政コストは、前年度から2,690百万円の増(+33.57%)となった。要因としては令和元年東日本台風に絡み、大きく分け次の2点が考えられる。業務費用のうち、物件費が1,893百万円の増(+139.60%)となったが、これは災害廃棄物処理委託料だけで1,807百万円の増となった事が挙げられる。また、臨時損失に計上される災害復旧事業費について、台風被害への対応のため986百万円の増(+912.96%)となった。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

財源(20,471百万円)が純行政コスト(10,702百万円)を本年度差額で9,769百万円の増となり、本年度末純資産残高は41,286百万円となった。本年度差額が大幅なプラスに転じた経緯については、以下の2点により財源が大幅に増となったことが挙げられる。税収等については前年度から3,343百万円の増(+61.84%)となったが、令和元年東日本台風の影響で特別交付税が前年度から3,213百万円増えたことが要因である。国県等補助金については前年度から10,362百万円の増(+761.91%)と、台風被害に対処するための災害復旧に係る国庫支出金が大きく影響している。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

業務活動収支については、プラス2,469百万円となった。令和元年東日本台風の関係もあり、収入と支出のいずれも大きく増となっているが、収支がプラスとなった主要因は、災害ルール分による2,783百万円増を筆頭に特別交付税が前年度から3,213百万円増えたことが挙げられる。特別交付税の増により、財政調整基金取崩しが無かったことで基金取崩収入が減となり、一方で特別交付税収入の一部を積立したことから、結果として投資活動収支はマイナスとなった。財務活動収支については、災害復旧事業債で928百万円の発行があり、概ね災害復旧事業債の発行分と同等規模のプラス996百万円となった。しかし、この収支のプラスの規模は令和元年度の発行額による一時的なものであり、今後は当該災害復旧事業債の償還があることから、今後はマイナスになるものと思われる。業務活動収支を筆頭に全体の収支はプラス2,797百万円と大幅に黒字となったが、地方債の償還や公営住宅建設事業等による多額の支出が見込まれることから、財政計画等を踏まえた長期的な視点による財政運営が求められる。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

令和元年東日本台風に絡み、特別交付税が3,213百万円増、災害復旧に係る国庫支出金が7,358百万円の繰越となり、流動資産が増となったことで、資産合計で前年度から10,547百万円の増となった。分子である資産が大幅な増となったことで、住民一人あたり資産額が昨年度から87.5万円の増となった。住民一人あたり資産額は前年度以前から類似団体平均値を上回っているが、流動資産の大幅増は一次的なものであり、資産額の基本となる固定資産については減が続いていることから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の集約や除却を行い、適正に管理を進める。なお、歳入額対資産比率については、前年度から▲1.23ポイントの減となり、さらに類似団体平均値を下回った。その要因としては、上述のとおり流動資産には国庫支出金等の繰越による未収金が含まれていることから、実収入額と比較した際に比率が悪化することとなる。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

将来世代負担比率については前年度から3.3ポイントの増となり、類似団体平均値を上回った。有形固定資産については老朽化したものが多く、前年度から1,138百万円の減(▲2.95%)と分子が減となる一方、災害復旧に絡む地方債の発行額が928百万円となり分母の地方債残高が嵩んだことから、比率が悪化した。純資産比率については、前年度から3.5ポイントの増となった。資産合計額を大きく引き上げる要因となった台風被害に係る災害復旧事業等の財源については、大きく分けて国庫支出金と地方債の2つで構成されているが、補助率が高いことから国庫支出金の方が多く占めている。負債よりも純資産が増えたことで、相対的に純資産比率の分子が増となったことが要因と考える。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは80.5%と前年度から21.8ポイント増となり、類似団体平均値と比して大きく離れている。分子要因の行政コストが前年度から269,058万円の増となり、その要因は台風被害によるところが大きく、災害廃棄物処理委託料で180,762万円、災害復旧事業で110,228万円の増となった。この分子の大幅な増要因は一時的なものであり、復旧事業が完了すれば改善するものと思われるが、例年の行政コストについては、引き続き事業の見直しを行い、経費の削減に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人あたり負債額については、H28以降、類似団体平均値を上回っている。H27年度国勢調査人口を基に独自に計算した、宮城県内の市町村の中での人口密度については、県内で3番目に小さいこともあり(51.15人/km)、道路整備や水道事業への繰出金などのインフラ整備に要する費用が嵩みやすい状況にある。このようなインフラ整備には基本的に地方債を充当する事となるため、必然的に住民一人当たりの地方債(≒負債額)が大きくなる傾向にある。また、本年度については災害復旧事業に係る地方債発行(928百万円)により負債が嵩み、当該値は前年度から7.8ポイント増となった。基礎的財政収支はプラス2,157百万円と大幅に改善した。その要因については、令和元年東日本台風による災害ルール分等で特別交付税が前年度から3,213百万円の増となったことで、大きな財源が確保できていたため、台風被害に要する応急費用等が嵩みながらも、収支がプラスとなったものである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

災害見舞金の106百万円等により収益は117百万円の増(+46.61%)、災害廃棄物処理委託料の1,807百万円等により費用は1,769百万円の増(+21.56%)であり、分子の方が増減率が高いことから、受益者負担比率は前年度から0.6%の増となった。これらの増要因は令和元年東日本台風による一時的なものであり、例年の行政コストでの比較とはならない。しかし、台風関連以外のコストでみても、こども園施設整備事業補助金で前年度から▲433百万円の皆減となる一方で、草地畜産基盤総合整備事業への補助金及び負担金で前年度から127百万円の増となる等、移転費用については年度間での増減が大きいことから、毎年度、事業の見直し等によるコストの削減について検討する必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,