経営の健全性・効率性について
本市では、沿岸部1施設・離島部3施設を保有する漁業集落排水処理施設事業を経営している。①収益的収支比率については、収益不足を一般会計からの繰入金にて賄っているため100を超える状況にある。④企業債残高対事業規模比率については、繰出基準及び同運用通知に基づき、経営に伴う収入をもって充てることができない資本費分として地方債の元利償還金全額を一般会計からの繰入金(分流式下水道等に要する経費)にて賄っているため値がゼロとなっている。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価については、ほぼ横ばいであるが、施設の更新を行っている関係で、今後修繕費相当の維持管理費は減少する見込だが、元利償還金は増加する見込である。⑦施設利用率については、ほぼ横ばいとなっており、また類似団体より数値は高く効率的な経営ができていると判断できるが、⑧水洗化率を見ると、類似団体より高いため新規のつなぎ込みもさほどなく、また将来的に有収水量や使用料収入も減少する見込であることから、いっそうの経営努力が必要である。沿岸部1施設については、令和2年度から公共下水道の終末処理場への接続を行い汚水処理を行うこととしているが、離島部3施設については、地理的な要因等もあり施設の統合は不可能な状況である。本市が離島の活性化・定住化を進めている中で、離島部のみの使用料値上げも困難であり、できる限りの経費削減に日々努めている。
老朽化の状況について
海に近い立地から塩害による損傷が著しく、施設の更新が急務である。マンホール蓋については、防食蓋への更新が必要な状況であり、平成27年度から取替工事を行っている。また、供用開始(平成元年)以降、25年以上経過し老朽化が進む大島下水処理場については、平成28年度より改修工事を実施している。
全体総括
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群と世界遺産登録を受けている本市においては、海洋資源と自然を守る上で重要な施設であり必要不可欠な施設であると言える。しかしながら、経営面では使用料収入では賄えておらず、一般会計からの繰入金に依存をしている状況である。令和2年度から公営企業会計方式への法適化を行い、引き続き、維持管理費等の経費や施設規模の適正化など踏まえ、事業運営を行っていく。