経営の健全性・効率性について
※平成30年度より地方公営企業法を一部適用したため、平成29年度以前の数値は計上していません。①②約2,400万円の赤字(純損失)が発生したため、経常収支比率が100%を下回るとともに、累積欠損金比率が発生しています。これは、本市の下水道普及率が51.97%と大阪府内でも低いため、経常収益の主である下水道使用料も低く、経常費用の維持管理費は負担できても、資本費(減価償却費+企業債利息)は一部しか賄えていないからであり、残額については一般会計からの繰入金に依存している状況です。③流動比率が類似団体平均値と比べて低い理由は、下水道使用料が低く、現預金が少ないため、また、過去の下水道整備への投資や事業費を補うために借り入れた企業債の償還金が大きいためです。④企業債残高対事業規模比率が類似団体平均値よりも低いのは、平成15年度以降、行財政改革により、下水道整備への投資及び企業債の借入を抑制したためと考えられます。⑤経費回収率は100%を下回っており、下水道使用料で汚水処理費を賄えていない状況です。本要因は、前述のとおり普及率の低さから下水道使用料が低く、汚水処理費の資本費については一部しか賄えていないこと、また、地方公営企業法一部適用に伴い、算出数値の違いなどにより汚水処理原価が増加したことなどが考えられます。⑥汚水処理原価については、一般会計より分流式下水道等に要する経費を受け入れているため、類似団体平均値よりも低い数値となっていますが、当該経費を除くと267.58円と非常に高い数値となります。これは、前述のとおり過去の投資などにより減価償却費や企業債利息の資本費が高いためです。⑦施設利用率は、単独処理場を設置していないため、当該値を計上していません。⑧水洗化率については、未接続世帯への各戸訪問によるアンケート調査など水洗化率向上に努め、類似団体平均値と同水準にありますが、今後、本市処理区域内の高齢化や人口減少等の影響により減少傾向に転じる恐れがあります。
老朽化の状況について
本市の下水道施設は、経過年数が50年に満たないため、本格的な老朽化対策の時期は到来していませんが、一部民間企業から移管された施設は40年を超えるところもあり、維持管理費の抑制を図るため、長寿命化計画を策定し、平成28年度より民間企業から移管された管の更正事業を行うなど予防保全対策を実施しており、③管渠改善率については類似団体平均値と同水準となっています。なお、①有形固定資産減価償却率については、地方公営企業法適用後初年度のため、類似団体平均値よりも低くなっています。・平成26年度一部地域の老朽した下水道管渠にて長寿命化計画を策定・平成27年度長寿命化計画にて得た調査結果より改善が必要とされる管渠を抽出し年度計画を策定・平成28年度~平成30年度民間企業から移管された昭和50年布設の下水道本管の更正事業を実施
全体総括
独自の終末処理場を有しない本市は、大阪府南部水みらいセンターにて下水の処理を行い、その運営経費を負担しています。また、供用開始前後の施設建設経費の財源に充てた企業債の償還額が未だ高額であり、今後2~3年度中に償還額のピークを迎えることから、阪南市行政経営計画に基づき、効率的な手法、箇所を選定した施設整備の実施に努め、下水道人口の普及率、下水道接続率向上に取り組んでいます。さらに、高齢化の進展や人口減少、節水機器の普及などにより有収水量は減少傾向にあり、今後も下水道使用料の減少が予想される一方で、近い将来、公共下水道の整備及び老朽管の更新の事業を並行して進める必要が生じるなど多額の投資額が見込まれ、非常に厳しい下水道事業経営になると予測しています。そこで、平成31年4月より手数料の見直し、令和元年10月より平均改定率8%の下水道使用料の値上げの実施、令和元年度末に下水道施設を効率的・計画的に管理するための「ストックマネジメント」の策定、令和2年度末に「経営戦略」の策定を予定しており、計画的な建設・更新工事、下水道施設の効率的な維持管理、費用対効果を踏まえた経費の節減など経営の効率化に努めるとともに、下水道使用料の適正化を含め将来を見据えつつ、経営基盤の強化を図り、健全な下水道経営を目指していきます。