経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、100%未満となっており、単年度の収支が赤字となっている。主な要因として、維持管理費の増加及び平成4年から平成21年まで公共下水道事業の集中的な整備を実施(第二京阪道路事業に伴う幹線管渠整備など)したため、地方債残高が大きく増加したことが主な原因であるといえる。④企業債残高対象事業規模比率は、企業会計適用に伴う打切決算により、前年度よりも比率は36.45ポイント増加しているが、出納整理期間を考慮した値では前年度より比率は減少する。しかし、類似団体と比較しても高い水準であるため、今後も収益確保への取組み、経営改善が必要であるといえる。⑤経費回収率は、100%超を維持しており、汚水処理費に係る下水道使用料を高い徴収率で確保できているといえる。出納整理期間が無かった影響を考慮しても前年度より比率は増加する。⑥汚水処理原価は、類似団体と比較して低い水準である。出納整理期間が無かった影響を考慮しても前年度より比率は減少する。⑦公共下水道の処理施設を保有していないため、数値の計上無しとなっている。⑧水洗化率は、類似団体と比較して高い水準となっており、100%に近い数値となっている。
老朽化の状況について
昭和42年に整備(事業着手)した地域を対象として平成24年度から、老朽管の長寿命化対策に取り組んでいる。一方、管内TVカメラ及び潜行目視調査の結果、緊急度の判定を行い、通常の維持管理では対応できないと判断した管渠は調査対象の約1.7%にとどまる。このため、耐用年数の迫る管渠があるものの、現状で改築更新が必要な管渠は少ないと分析している。平成28年度は、マンホール蓋の長寿命化を実施している。
全体総括
経営状況は、下水道使用料が増加傾向であるが、維持管理費や企業債残高も増加傾向のため、健全な状況とはいえない。しかし、下水道普及率が88.94%(平成28年度末)と低く、今後も継続して未普及地域の汚水整備をする必要がある。さらに、現状では、改築更新が必要な管渠は少ないものの、将来的には管渠の老朽化に伴う改築更新が必要となり、今後の事業費の把握や収入の確保が課題となっている。今後、将来に渡り安定的に必要な住民サービスの提供を維持するため、ストックマネジメント計画による事業費の平準化を行うなど、維持管理費及び投資的経費の最大限の合理化図る。平成31年度には、経営戦略の策定を行い、料金体系の見直しについても随時検討をしていく。