経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は、市の重要施策として位置付け、供用開始から約20年余りの比較的短期間で急速に整備拡大を図ってきたことにより、企業債の借入が多く、「④企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均値を上回っています。これに伴う地方債償還額が大きいことや、汚水処理費用である流域下水道維持管理負担金は年々増加する傾向にあり、「⑥汚水処理原価」も類似団体平均値を上回っています。平成19年に下水道事業健全化計画を策定し39.9%の使用料改定を、また平成23年度に22%の使用料改定を実施してきたものの、汚水処理費を使用料ですべて賄うまでには至らず、「⑤経費回収率」は平成28年度で86.29%となっており、平均値を大きく下回り、非常に厳しい経営状況となっています。整備普及率は平成28年度末で97.17%となりましたが、「⑧水洗化率」は90.35%と低く、使用料収入増加のためには、これまで以上の水洗化促進PRとともに、啓発活動等を強め、水洗化率を高めていくことが重要です。なお、「施設利用率」については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上しておりません。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和45年から流域関連公共下水道として下水道整備に着手し、昭和60年度より供用開始しました。現在のところ法定耐用年数50年を経過した管渠はありません。
全体総括
近年の節水意識の向上や節水機器の普及により使用料収入は伸び悩んでおり、経営改善するために必要な使用料の不足額については、依然として一般会計繰入金に依存する部分が大きい状況です。将来にわたり持続的・安定的に下水道事業を進めていくためには、実質収支の不足を早期に解消するとともに、健全な経営の実現が不可欠です。また今後、施設更新の時代を迎えるにあたって、ストックマネジメントによる効率的な施設の維持管理、適正な使用料の設定、水洗化促進による収入確保等に取り組んでいく必要があります。平成31年度から地方公営企業法を適用するとともに、経営戦略の策定に取り組み、下水道事業における財政状況の把握及び持続可能な経営に必要な施策を検討していきます。