経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は、市の重要施策として位置付け、供用開始から約20年余りの比較的短期間で急速に整備拡大を図りました。事業の進捗に伴い企業債の借入も多くなり、経営の均衡を保つため、内部の行政改革(人件費の削減や委託業務の拡大等)と一般会計からの繰入を行い使用料の市民負担の軽減を図ってきましたが、平成16年度に実質収支不足となりました。平成19年に下水道事業健全化計画を策定し39.9%の使用料改定を、また平成23年度に22%の使用料改定を実施してきましたが、「⑤経費回収率」は平成27年度で87.18%となっており、汚水処理費を使用料ですべて賄うまでには至らず、独立採算を原則とする公営企業として健全な経営とはいえない状況です。また、整備拡大での資本費の残高「債務残高」が大きく、「④企業債残高対事業規模比率」は類似団体平均値を上回っています。これに影響され「⑥汚水処理原価」も類似団体平均値を上回っています。なお、「施設利用率」については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上しておりません。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和45年から流域関連公共下水道として下水道整備に着手し、昭和60年度より供用開始しました。現在のところ法定耐用年数50年を経過した管渠はありません。
全体総括
近年の節水意識の向上や節水機器の普及により使用料収入は伸び悩んでおり、経営改善するために必要な使用料の不足額については、依然として一般会計繰入金に依存する部分が大きい状況です。将来にわたり持続的・安定的に下水道事業を進めていくためには、実質収支の不足を早期に解消するとともに、健全な経営の実現が不可欠です。また今後、施設更新の時代を迎えるにあたって、ストックマネジメントによる効率的な施設の維持管理、適正な使用料の設定、水洗化促進による収入確保等に取り組んでいく必要があります。平成31年度法適化にむけて、中期的な収支計画を見直し、下水道事業における財政状況の把握及び持続可能な経営に必要な施策を検討していきます。