経営の健全性・効率性について
公営企業法適用(一部適用)後、2回目の決算である。平成28年度と比較して、③流動比率は手元資金の増加及び企業債の減少により、6.14%増加し、④企業債残高対事業規模比率は企業債の減少により、62.99%減少した。しかしながら、類似団体平均値と比較すると、依然として、③流動比率は低く、④企業債残高対事業規模比率は高い。なお、④企業債残高対事業規模比率が高いのは、本市の下水道整備のピークが昭和60年頃で類似団体よりも遅く、当時の企業債の残債が残っている事が原因である。また、③流動比率が低いのは、前述の企業債の残高が相応にあり、流動負債に含まれる企業債の金額が流動資産を超えているためである。
老朽化の状況について
類似団体平均値と比較すると①有形固定資産減価償却率、②管渠老朽化率及び③管渠改善率は平成28年度と同様に低い。①有形固定資産償却率が低いのは、法適用後2年しか経過しておらず、既に法適用していた類似団体と比較して決算書上償却が進んでいないためである。また、②管渠老朽化率及び③管渠改善率が低いのは、本市の公共下水道整備のピークが昭和60年頃であり、類似団体よりも遅いためである。しかしながら、本市の下水道事業は昭和35年度から開始されており、事業当初の管渠は耐用年数を超えているものもある。こうした状況を踏まえ、近年は既設管の耐震化や長寿命化などの事業も行っている。
全体総括
類似団体平均値よりも高い企業債残高対事業規模比率については、企業債残高が年々減少していく見込であり、今後改善する見込である。汚水に係る下水道整備は概成を迎えているが、浸水被害軽減対策事業や既設管の改築・更新、耐震化など今後も事業費の増大が見込まれる。その一方で、人口減少や節水意識の高まり等により使用料収入は減少傾向にある。こうした状況も踏まえ、平成29年度開始した「高槻市下水道等事業経営計画」(経営戦略)に基づき、効率的で持続可能な経営に取り組んでいる。また、平成29年度に下水道施設の維持管理と改築更新の方針と実施計画を示した「高槻市下水道施設ストックマネジメント計画」を策定した。平成30年度より、この計画のもと、予防保全型の維持管理及び施設の長寿命化対策を推進し、更なるコストの縮減を図る。