経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率については、概ね堅調に推移していますが、平成28年度においては平成29年度からの企業会計化に伴い打切り決算となった影響から、下水道使用料等の一部が当該年度の決算に計上されず、一時的に低下しています。また、平成25年度は、3か所あった下水処理場の一つを機能停止し、残債を一部繰上げ償還したため、地方債償還金が一時的に増加したことにより低下しています。④企業債残高対事業規模比率については、事業着手年度が比較的早く企業債の償還が進んでいることや、近年は安全を確保しつつ事業の必要性、緊急性を精査し毎年度の新規借入額が元金償還額を超えないよう事業を実施することで企業債残高を減らしていることにより、全国平均より低い比率を保っているものと考えています。⑤平成28年度の経費回収率の低下は、平成29年度からの企業会計化に伴う打切り決算により、平成28年度分の下水道使用料の一部が当該年度の決算に計上されていないことによるものです。⑥汚水処理原価は、平成27年度には資本費平準化債を借入れたことにより大きく減少しましたが、平成28年度は資金収支の状況から資本費平準化債を借入れなかったため平成27年度に比べて上昇しています。しかしながら、平成25年10月に分流式の下水処理場を廃止し対象処理区を流域下水道に編入したことによる汚水処理費の削減や、退職者不補充等による人件費の抑制、企業債借入の抑制による公債費の軽減などにより、全体的には減少傾向にあります。
老朽化の状況について
管渠の老朽化状況については、管渠延長約867kmのうち約19.97%が標準耐用年数を超えており、今後も増加が見込まれます。
全体総括
普及率と⑧水洗化率がともに99%を超えているため、今後新たな供用開始による下水道使用料の大幅な増収は見込めないことから、経費を抑制することで汚水処理原価を適正に保ち、現在の経費回収率を維持する必要があります。本市ではこれまで施設の効率的な運営、適正な人員配置、公債費の抑制などで経費の抑制を図るとともに、複数ある下水処理場のうち1処理場を廃止し流域下水道に編入するなど効率化に努めています。施設の老朽化に対しては、各々の緊急度を勘案した効果的な対策を行うため、長寿命化計画に基づき改築更新等を進めています。また、管渠においては、ストックマネジメントの導入、実践を進め、適正な維持管理と効果的な改築更新を実施します。管渠改善率は、長期的なスパンで増減しますが、年間1%未満の範囲で推移する見込みです。今後は施設の老朽化に伴う改築更新や統廃合を含む投資計画をもとにした経営戦略を立てる必要があり、概ね平成30年度の完成を目標と考えています。また、平成29年度には地方公営企業法の一部(財務規定等)を適用し、経営のより一層の透明化と安定化を図っています。