経営の健全性・効率性について
平成27年度から地方公営企業法の全部を適用したため、平成26年度以前のデータはない。平成28年度は、経常収支比率が100%を上回り、累積欠損金比率が改善したものの、流動比率とともに類似団体と比べて厳しい数値となっている。これは、現時点の普及率が92.95%であり、今なお下水道建設に取り組んでいることから、多額の設備投資・公債費の償還を要する状況であり、早期に整備を完了した類似団体と比較して、企業債残高対事業規模比率、汚水処理原価は高く、経費回収率、水洗化率は低い状況となっている。一方、下水道使用料水準は平成18年の料金改定以後、使用料単価は1㎥あたり170円を超えており、20㎥あたり下水道使用料3,026円と同じく一定の水準に達している。施設利用率に関しては、類似団体平均値よりやや低い値となっているが、現在も下水道整備中であり、今後の流量増加が見込まれることから、今後は数値が上昇すると考えている。
老朽化の状況について
現在も下水道管渠の整備に取り組んでいることから、本市で整備した管渠は新しいものが多く、法定耐用年数を経過した管渠は対象がない。一方で開発等に伴い民間で整備され、のちに本市で引き取った管渠については老朽化したものが多く、これらの更新・修繕が必要となっている。本市は比較的新しい管渠が多いこともあり、当面は管渠整備を優先しつつも、老朽管の更新・修繕に取り組んでいく。なお、有形固定資産減価償却率は、比較的新しい資産が多いこともあり、低い値となっている。
全体総括
現時点でも下水道建設に取り組み、多額の設備投資及び公債費の償還を行っており、類似団体と比較して現時点での経営分析は、経費を多く要する状況である。他方、使用料単価は1㎥あたり170円を超えており、20㎥あたり下水道使用料3,026円と同じく一定の水準に達している。また、建設費及び公債費を除く維持管理費は、人口密度が高いこと・老朽化が進んでいないことから、低い水準にあり、整備が完了すれば、各指標は好転するものと考えられる。整備完了に向けて今後も整備の推進が必要であるため、現状の経営がしばらくの間は続くことになるが、法適化による経営内容の明瞭化により、一層の正確な経営状況の把握・分析を進め、適正な経営となるように努める。