経営の健全性・効率性について
平成27年度から地方公営企業法の全部を適用したため、平成26年度以前のデータはない。経常収支比率が100%を下回り、累積欠損金比率及び流動比率ともに類似団体と比べて厳しい数値となっている。これは、現時点の普及率が90.42%であり、今なお下水道建設に取り組んでいることから、多額の設備投資・公債費の償還を要する状況であり、早期に整備を完了した類似団体と比較して、企業債残高対事業規模比率、汚水処理原価は高く、経費回収率、水洗化率は低い状況となっている。一方、下水道使用料水準は平成18年の料金改定以後、使用料単価は1㎥あたり170円を超えており、20㎥あたり下水道使用料3,026円と同じく一定の水準に達している。施設利用率に関しては、類似団体平均値よりやや低い値となっているが、現在も下水道整備中であり、今後の流量増加が見込まれることから、今後は数値が上昇すると考えている。
老朽化の状況について
現在も下水道管渠の整備に取り組んでいることから、本市で整備した管渠は新しいものが多く、法定耐用年数を経過した管渠は対象がない。一方で開発等に伴い民間で整備され、のちに本市で引き取った管渠については老朽化したものが多く、これらの更新・修繕が必要となっている。本市は比較的新しい管渠が多いこともあり、当面は管渠整備を優先しつつも、老朽管の更新・修繕に取り組んでいく。なお、有形固定資産減価償却率は、当該年度からの企業会計導入のため、減価償却実績がなく、低い値となっている。
全体総括
現時点でも下水道建設に取り組み、多額の設備投資及び公債費の償還を行っており、類似団体と比較して現時点での経営分析は、経費を多く要する状況である。他方、使用料単価は1㎥あたり170円を超えており、20㎥あたり下水道使用料3,026円と同じく一定の水準に達している。また、建設費及び公債費を除く維持管理費は、人口密度が高いこと・老朽化が進んでいないことから、低い水準にあり、整備が完了すれば、各指標は好転するものと考えられる。なお、本市は、平成33年度を整備完了目標年度としており、今後も整備の推進が必要であるため、現状の経営がしばらくの間は続くことになるが、法適化による経営内容の明瞭化により、一層の正確な経営状況の把握・分析を進め、適正な経営となるように努める。