経営の健全性・効率性について
○直近の5年間においては,各経営指標で類似団体平均値と比べて概ね良好な状況にある。○処理能力に対する1日の平均処理水量の割合を示した「⑦施設利用率」が約57%となっているが,雨水時の最大処理水量を用いた「1日最大稼働率」は90%を超えており,施設規模は適正といえる状況である。○「③流動比率」は,流動負債が増加したものの,建設改良積立金を積み立てたことにより,現金預金が増加したことから,令和元年度は前年度比で上昇している。また,類似団体平均値を下回っているが,資金不足は発生していない。○なお,平成29年度から公共下水道事業と特定環境保全公共下水道事業との経営統合を行い,一体的な運営を行っている。
老朽化の状況について
○「①有形固定資産減価償却率」,「②管渠老朽化率」が類似団体平均値を上回っており,管渠においては,令和元年度末時点で標準的な耐用年数(50年)を超過しているものが17%を超えている状況にある。○そのような状況において,老朽化した管路等の管更生や布設替えを進めたことで,令和元年度の「③管渠改善率」は,類似団体平均値は下回ったが,前年度比では上昇しており,引き続き,改築更新を進めていく。○本市では,昭和50年代~平成初期に布設した大量の管路が順次更新時期を迎えることから,老朽化対策にこれまで以上の財源の確保が必要となる。
全体総括
○管渠老朽化率が他都市よりも高い水準にあり,また,管渠改善率は低い水準となっており,効率的な改築更新により更新を進める必要がある。○今後も節水型社会の定着や人口減少等により水需要の減少が見込まれるほか,昭和50年代~平成初期に布設した大量の管路が順次更新時期を迎えるなど厳しい経営環境が続くことが見込まれる。○これらを踏まえ,「京都市上下水道事業経営ビジョン(2018-2027)京(みやこ)の水ビジョン-あすをつくる-」及びその前期5箇年の計画である「京都市上下水道事業中期経営プラン(2018-2022)」に基づき,長期的な視点に立った取組を着実に進めながら,計画的な改築更新を進めていく必要がある。財政計画に基づき,業務執行体制の効率化等を進め,将来的に増加する更新需要に備えた利益(積立金)を確保する。