経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%以上で推移し類似団体平均値よりも高く良好な値を示しています。令和2年度はコロナ禍の影響から低下しましたが、令和3年度は平成30年度と同率となっています。②累積欠損金比率は、平成20年度以降欠損金を計上していません。③流動比率は、類似団体平均や全国平均を上回っている状態を保っています。④企業債残高対事業規模比率は、一時的に増加した年度もありますが、企業債の着実な償還により全体として下落傾向にあります。⑤経費回収率は、平成29年度から100%を下回っています。これは、汚水処理に要する費用を使用料で賄えていないことを表しています。⑥汚水処理原価は、全国平均や類似団体平均を上回っています。⑦施設利用率は、70%前後でほぼ横ばいの状態であり、類似団体平均や全国平均よりも高い数値であるため、施設が効率的に利用されているといえます。⑧水洗化率は、類似団体平均よりも低いですが、概ね着実に伸びているところです。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率や②管渠老朽化率は、法定耐用年数に近い資産が少ないことにより、類似団体平均や全国平均に比べて数値が低くなっています。今後は、標準耐用年数を超過する管きょ施設が年々増加することから、中長期的な視点で計画的な点検調査や改築等による維持管理の充実を図るとともに、ストックマネジメント計画に基づき、効率的な改築更新を実施する予定としております。
全体総括
平成28年熊本地震後の平成29年度以降、経営の健全性・効率性の多くの指標は回復基調にありましたが、令和2年度にコロナ禍の影響による減収から収支が悪化しました。ただ、令和3年度は収支に回復の兆しが見られました。今後も、人口減少や節水機器の高性能化に加え新型コロナウイルス感染症の影響による使用料収入の減少が危惧される一方で、老朽化施設の更新や資材価格の高騰、激甚化・頻発化する自然災害への対策経費、更には脱炭素化に向けた取組経費などが見込まれ、経営環境はより一層厳しさを増すことが予想されます。そのようななか、人口減少社会を見据え、持続可能な経営基盤を確立し、将来にわたって上質なサービスを提供するために、令和2年度から実施している「熊本市上下水道事業経営戦略」に則った事業運営に取り組んでいます。