経営の健全性・効率性について
○直近の5年間においては,全ての経営指標で類似団体平均値と比べ概ね良好な状況にある。○財政計画期間中(平成25~29年度)の累積収支の均衡を図るため,平成25年10月に使用料改定(平均△3.0%)を行ったところである。○処理能力に対する1日の平均処理水量の割合を示した「⑦施設利用率」が約60%となっているが,雨水時の最大処理水量を用いた「1日最大稼働率」は90%を超えており,施設規模は適正といえる状況である。○平成26年度以降「③流動比率」が大幅に低下しているが,これは地方公営企業会計制度が見直され,1年以内に返済期限が到来する企業債等を流動負債に分類したことによるものであり,経営実態に変化はない。また,100%を下回っているが,資金については,予算において措置しているため,資金不足が発生するものではない。○なお,平成29年度から公共下水道事業と特定環境保全公共下水道事業との経営統合を行い,一体的な運営を行っている。
老朽化の状況について
○「①有形固定資産減価償却率」,「②管渠老朽化率」が類似団体平均値を上回っており,管路においては,平成29年度末時点で標準的な耐用年数(50年)を超過しているものが15%を超えている状況にある。○そのような状況において,老朽化した管路等の管更生や布設替えを進めたが,平成29年度の「③管渠改善率」は,工事の進捗の遅れ等により類似団体平均値を下回り,全国平均とほぼ同じ結果となっており,今後,改築更新のペースアップを図る。○本市では,平安建都1200年(平成6年)での市街化区域における整備完了を目指して布設を進めてきた膨大な管路施設が順次更新を迎えることから,老朽化対策にこれまで以上の財源の確保が必要となる。
全体総括
○管渠老朽化率が他都市よりも高い水準にあり,また,管渠改善率は低い水準となっており,効率的な改築更新により更新を進める必要がある。○今後も節水型社会の定着や人口減少等により水需要の減少が見込まれるほか,昭和50年代~平成初期に布設した大量の管路が順次更新時期を迎えるなど厳しい経営環境が続くことが見込まれる。○これらを踏まえ,平成30年度からの新たなビジョン・プランに基づき,長期的な視点に立った取組を着実に進めながら,計画的な改築更新を進めていく必要がある。財政計画に基づき,業務執行体制の効率化等を進め,将来的に増加する更新需要に備えた利益(積立金)を確保する。