経営の健全性・効率性について
単年度収支を表す「①収益的収支比率」は、黒字であることを示す100%を下回り75%前後で推移しています。これは事業規模に対し地方債償還金の割合が高いことが影響しています。なお、平成30年度は、前年度からの繰越金を財源の一部として充てたため例年に比べ低くなっています。また、令和元年度は一般会計繰入金が多かったため例年に比べ高くなっています。「②累積欠損金率」、「③流動比率」については、法非適用企業であるため該当数値がありません。当市の下水道事業は、供用開始後25年経過しましたが、国等の補助の範囲内での整備に努め、それに比例した企業債の借入れのみを行っているため、事業規模と起債に抑制がかかり、企業債残高が少なく「④企業債残高対事業規模比率」は類似団体に比べ低く抑えられています。一方、その影響で管渠整備が進んでいないことから使用料収入が伸びないため、使用料で回収すべき経費の不足分については一般会計からの繰入に依存せざるを得ず「⑤経費回収率」は低くなり、流入量も増えていないため「⑦施設利用率」が低くなっています。また、薬品などの直接的な汚水処理費は抑えられてはいますが、全体の維持管理費や処理場の資本費等は処理量の大小に関わらず必要であることから「⑥汚水処理原価」は類似団体と比べ高いものとなってます。「⑧水洗化率」は、年度末に処理区域の拡大の公示をおこなうことから算定時に接続が難しい区域が生じていることが影響し、82%前後で推移しておりますが、令和元年度は供用開始区域が例年よりも広かったため、さらに数値が低くなっています。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」、「②管渠老朽化率」については、法非適用企業であるため該当数値がありません。「③管渠改善率」は、当該年度に更新した管渠延長の割合を表した指標で、管渠の更新ペースや状況を把握できるものですが、当市の管渠については、最も古いものでも25年と新しく更新時期に至っていないため、該当数値がありません。しかし、下水道管の老朽化は年々進んでいくため、今後はストックマネジメント手法を取り入れた更新計画を策定し、施設の適正な維持管理に努めていく必要があります。
全体総括
当事業は、施設も新しく老朽化が進んでいないうえ、施設能力に対し整備が進んでいないため、施設利用率が低くなり、汚水処理原価は高いものとなっています。また、料金収入にも結びついていないため経費回収率も低くなっています。今後は、経営戦略、アクションプラン及びストックマネジメント計画に基づき、効率的かつ計画的に下水道管や処理場の整備をすすめ、自立的かつ安定的な経営を実現していく必要があります。