経営の健全性・効率性について
本市の下水道普及率は、令和2年度末で50.82%、前年度より0.88ポイント増であるが、更なる普及率向上に向けて一層の努力と経営の効率化、健全化が当面の課題である。①経営収支比率は95.63%で類似団体及び全国平均値を下回っている。単年度収支が赤字であるため、経営改善に向けた取り組みが急務である。②累積欠損金比率は29.75%、対前年比で136.65ポイント減となったが、類似団体及び全国平均値を大きく上回っている。使用料収入が少ないのが要因の一つであるため、適正な使用料収入を算定し料金改定を急ぐ必要がある。③流動比率は27.45%で類似団体平均値を大きく下回っている。1年以内に支払うべき債務に対し、支払うことができる現金等が不足しており、支払能力を高めるための経営改善を図る必要がある。④企業債残高対事業規模比率は2364.75%で類似団体及び全国平均値を大きく上回っており、使用料収入に対して企業債残高の割合が高いため、適正な使用料金改定が必要である。⑤経費回収率は56.78%で類似団体及び全国平均値を大きく下回っている。使用料で回収すべき汚水処理費を半分程度しか賄えていない状況であるため、使用料の見直しが不可避な状況となっている。⑥汚水処理原価は151.25円で類似団体に近い。⑧水栓化率は90.56%で類似団体平均値をやや上回っているが、全国平均を下回っており、今後も100%を目指し取り組みを進める。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、平成5年の供用開始から29年が経過しているが、下水道施設や管渠の耐用年数は概ね50年であるため、それを経過した施設や管渠は存在していない。①有形固定資産減価償却率は31.30%で全国平均は下回っているものの、類似団体平均値を上回っており、資産の老朽化度合が類似団体より高い。
全体総括
環境意識の向上や少子高齢化による安全で暮らしやすい社会へ向けて、下水道に期待が寄せられている。限られた財源のなかで、市民の理解を得ながら事業を進めるためには、事業の目標や効果、優先度を具体的に示していく必要がある。本市の普及率は未だに約50%の状況であり、策定したアクションプランに基づき整備を進めている。また、令和元年度に公営企業会計に移行したことで、経営状況や資産の状況を正確に把握し、経営基盤の計画的な強化と財政マネジメントの向上(適正な下水道使用料の検討)に取り組み、下水道事業の健全運営に向け経営改善を図る必要がある。特に、公営企業の大原則である「独立採算の原則」に基づき、下水道使用料による自立経営を目指し、使用料の見直しを早急に行う必要がある。