経営の健全性・効率性について
・総収益で、総費用をどの程度賄えているかを表す「収益的収支比率」では、過去5年間平均で96.36%となっており、経営改善に向けた取組の成果が若干ではあるが現れてきていると思われますので、今後もより一層、改善事項の検証を行い健全経営に取り組む必要があります。・使用料収入に対する企業債残高の割合である「企業債残高対事業規模比率」及び使用料で回収すべき経費を、どの程度使用料で賄えているか表した指標である「経費回収率」では、類似団体と比較して大幅に安定した結果となっております。これまで、施設規模に合った改築更新計画や将来世代の負担軽減を図るための費用の平準化を図った取組の成果であると考えられます。・有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用である「汚水処理原価」についても、類似団体と比較して大幅に改善されており、これまで投資の効率化や維持管理経費の削減、接続率の向上による有収水量の増大となる取組の成果であると考えられます。・現在処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合である「水洗化率」では、昭和40年代後半から積極的に施設整備を実施したことにより、類似団体と比較して大幅に高い結果となっおります。しかし、平成18年度以降、水洗化率は約97%と横ばい傾向が続いていることから、今後も引き続き、公共下水道への接続に関する周知・啓発に努めてまいります。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、昭和40年代以降の人口の急増への対応や普及促進に重点を置いて整備した多数の施設を保有しています。また、供用開始から33年が経過していることから、施設の老朽化が顕著になっており、今後は、高度経済成長期に集中して整備した施設が一斉に更新時期を迎えます。そのため、平成26年度から管渠の経年劣化による老朽化を調査するとともに、不明水対策として地下水位の高い地域を対象に長寿命化修繕計画の策定に取り組んでいます。しかし、施設の改築更新には多額の費用と長い時間が必要なことから、平成30年度から10年間の管渠施設等の整備方針と経営状況の整合を図るため、下水道事業経営戦略の策定に取り組みます。
全体総括
本市の下水道事業は、平成28年度より地方公営企業法を適用することにより、一般会計との経費負担や使用料対象原価を明らかにし、期間損益計算書や貸借対照表などの財務諸表に基づく事業の経営成績や財務状況を示すことにより、使用者に対する説明責任や情報公開など、経営上の諸課題を解決するための条件整備の徹底が図られます。今後、大規模な施設整備や更新により、資金需要が高まることが見込まれるのに対し、収益は下水道普及率が高いことや節水意識が定着していることを踏まえると大幅な増加は期待できません。このような中、これまで以上に使用者へのサービスの向上や経営の効率化を図るとともに、下水道使用料収入の確保に努め、将来にわたり地方公営企業本来の目的である福祉の増進が図られるよう、経営基盤強化へのより一層の取り組みを進めます。