経営の健全性・効率性について
公営企業会計導入時の平成17年度は経費回収率が43.5%であったため、平成18・22・26年度の三度に渡り下水道使用料改定を行いました。この財源確保策により、平成26・27年度は⑤経費回収率が100%を上回っているほか、①経常収支比率についても一般会計より基準外の繰入金を受けることなく100%を上回り、健全経営を維持しているものと判断しています。③流動比率は100%未満ですが、他団体と同様、公営企業会計制度の変更に伴い、流動負債に1年以内に返済する企業債償還金を計上したことによります。一方、償還財源は返済期日までに確保できることから、短期的な支払い能力に問題はないものと判断しています。④企業債残高対事業規模比率は類似団体よりも高くなっています。主に、現在、総合振興計画後期基本計画により下水道普及率94.0%の達成に向け整備を進めており、整備後の供用開始当初は接続率が少ないことなどが影響していると判断しています。施設整備は中期経営計画により計画的に推進しているところですが、常に建設コストなど経費の状況を注視する必要があると考えています。一方、財源確保のみならず、水質保全の観点からも、他の類似団体よりも低い⑧水洗化率の向上を積極的に進める必要があると考えています。
老朽化の状況について
類似団体と比較すると、①有形固定資産減価償却率、②管渠老朽化率共低い状況です。一方、平成26年度までの各類似団体の公表値と比較すると、有形固定資産減価償却率が高い団体と管渠老朽化率にさほど変わりがない状況です。有形固定資産減価償却率、管渠老朽化率共、すぐに改築を促す指標ではありませんが、管渠の状態及び財源を把握したうえ、計画的な維持管理及び改築を進める必要があると考えています。③管渠改善率は工法の検討などの影響で増減が続いていますが、おおむね横ばいで推移しています。改築事業は中期経営計画及び実施計画をもとに進めています。
全体総括
現在も施設整備により新規供用を続けているうえ人口・世帯の増加を続けており、下水道普及人口及び下水道使用料収入は微増又は横ばいで推移しています。しかし、1件当たりの水需要は節水行動や高齢社会の影響により減少傾向にあり、下水道使用料は平成30年度をピークに減少が始まることを見込んでいます。一方、今後、改善を必要とする管渠やポンプ場等の施設は急速に増え続けることが見込まれ、改築事業には現在の新設整備並みの投資額が必要と見込んでいます。今後は、平成29年度を計画期間の始期とする新たな下水道事業中期経営計画により、建設改良費はこれまで以上に精査し、現在必要とする投資を年次計画で進めます。併せて、不明水対策や処理場管理業務の包括的民間委託の実施、アセットマネジメントの実践等、経営基盤の強化に積極的に取り組んでいきます。