経営の健全性・効率性について
矢巾町下水道事業会計は、経営状況を明確化するため、平成25年度より地方公営企業法を適用した。各年度の公共下水道事業の経営成績については、①経常収支比率の示す通り、料金収入や一般会計からの補助金等による経常収益に対し、維持管理費や支払利息等の経常支出の割合が平成25年度は上回り、平成26年度は下回った。平成26年度については新地方公営企業会計制度への移行に伴い、補助金等を充てた固定資産の減価償却分を収益として計上したことで経常利益が経常支出を上回り、②累積欠損金比率も0%となった。しかしながら、こうした現金収入を伴わない収益の割合が大きいため、③流動比率が示す通り、年内負債に対する支払い能力の向上には繋がっていない。
老朽化の状況について
現段階では、法定耐用年数を経過しただちに更新を迫られている管渠はなく、施設全体の減価償却の進行状況においても全国平均と比較するとそれほど進んでいるわけではない。しかし、今ある施設・管渠はいずれは更新するもので、老朽化問題への対応が目前に迫っているとはいえないながらも、広く将来を見越した経営が求められる。
全体総括
収益対費用、流動比率の観点からみると、現段階においても下水道事業の経営状況は必ずしも健全であるとは言い難い。今後施設の老朽化に伴う更新費用が増大することを考慮し、将来的な見込みも踏まえた事業の見直しが求められる。