経営の健全性・効率性について
令和2年度においては、新型コロナウイルスの影響により、下水道使用料が対予算で7.1%の減収となったことを受け、特に①経常収支比率、③流動比率及び⑤経費回収率が減少しているものの、欠損金は生じておらず、事業に必要な資金は確保していることから、経営の健全性は維持できている。③流動比率については100%を下回るが、流動負債の半分以上は翌年度に償還する企業債であり、償還に係る資金は下水道使用料等から確保することができるため、支払能力に問題はない。また、この企業債を除いた流動比率は、約188%であり、経営の健全性についても問題ない。⑤経費回収率についても100%を下回っている。下水道施設の老朽化の進行により、経費が増加していることから、当該比率は減少傾向で推移しているため、計画的な修繕で施設の長寿命化を図り、経営の効率化に努めていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率が類似団体平均値と比べて高くなっているが、これは下水道施設(特に機械・電気設備)の延命化を図っていることによるものである。②管渠老朽化率は類似団体平均値と比べて低くなっているが、本市の場合、昭和40年代から50年代に集中的に下水道の整備を進めており、その際に整備した管路が、今後、標準耐用年数を迎えることから、管渠老朽化率は高くなっていく見込みである。③管渠改善率が類似団体平均値と比べて低くなっているが、今後、管渠の老朽化が進んでいく見込みであることから、可能な限り延命化を図りながら、効率的かつ計画的に管渠の改築等を進める必要がある。
全体総括
現在の下水道事業の経営の効率性・健全性はおおむね良好であると考えているが、今後、下水道施設の老朽化が進んでいくことから、施設の更新費用等が増大し、経営の効率性・健全性を悪化させる恐れがある。このため、令和3年度~7年度の事業計画と財政計画を定めた「札幌市下水道事業中期経営プラン2025」に基づき、事業を計画的に進めるとともに、安定した経営に努めていく。