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大阪府堺市:公共下水道の経営状況

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経営比較分析表(2023年度)

経常収支比率

累積欠損金比率

流動比率

企業債残高対事業規模比率

経費回収率

汚水処理原価

施設利用率

水洗化率

経営の健全性・効率性について

①経常収支比率は、令和5年度が105.08%となり、前年度よりやや悪化した。③流動比率は、100%を上回る方が望ましいが、下水道事業を行うには、多くの施設の保有が前提となり、財源に企業債を活用するため、必然的に値が低くなる。類似団体も同様に低い水準にあるため、下水道事業の構造上の問題となる。次年度も安定的に使用料収入を確保できるため、支払能力を超える負債を抱えているものではない。④企業債残高対事業規模比率は、明確な数値基準がない指標であるが、一般的に値が低い方が望ましいとされている。平成初期に急速に下水道整備を行った際に借入れた多額の企業債の影響で、他市に比較して指標値が高い。⑤経費回収率は、113.50%(前年比△1.7ポイント)となった。有収水量の減少により下水道使用料収入が減少したことに加え、物価やエネルギー価格の高騰により、汚水処理原価が増加したことが影響している。高利率の企業債の償還が進んだことや、これまでの経営努力の結果、経費回収率は類似団体よりも高い水準に位置するようになった。⑦施設利用率は、63.12%(前年比+0.09ポイント)となった。⑧水洗化率は、一般的に値が高い方が効率的と言える。本市の値は、比較的早くから整備を進めていた類似団体と比べて下回るものの、年々改善している。

有形固定資産減価償却率

管渠老朽化率

管渠改善率

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率は類似団体を下回っている。②管渠老朽化率は令和5年度は20.40%となり、管きょ延長約3,148kmに対し、法定耐用年数を超える管きょは約642kmになった。本市の汚水整備は、昭和40年代から昭和50年代前半にかけてと、昭和60年代から平成初期にかけての2度のピークがあるが、前者について近年耐用年数を迎えている。今後はアセットマネジメント手法を活用し、老朽管調査の結果に基づき目標耐用年数を定め、年間25kmのペースで更新することで、投資額を平準化しながら老朽化対策を進める。なお、目標耐用年数は法定耐用年数を上回るものであるため、長期的に①と②の指標値は上昇傾向で推移する見通し。③管渠改善率は類似団体平均より低くなっている。現在、本市では計画的に老朽管調査を行っており、今後調査データを活用しながら計画的・効率的な老朽化対策を進める。

全体総括

本市は平成初期に急速に下水道整備を進めたため、企業債の元利償還や減価償却費の負担が経営を圧迫している。これまでの経営改善の取組により、平成19年度以降は毎年純利益を確保できており、令和元年度には累積欠損金を解消できた。しかし、人口減少や世帯規模の縮小により、下水道使用料収入は減少する見込みである。一方で、安全安心の確保に向けた施設の老朽化対策等への投資が必要となる。「堺市上下水道事業経営戦略2023-2030」を開始して2年が経過したが、この間にも物価や金利の上昇、自然災害の激甚化・頻発化など下水道事業経営を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。このような状況においても、企業理念である「都市活動を支え、健康と暮らしを守る」を体現するため、経営戦略に基づく着実な事業推進はもとより、新たな課題にも臨機に対応し、市民が安心して利用できるサービスを提供し続ける。

出典: 経営比較分析表,

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