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地方財政ダッシュボード

静岡県掛川市の財政状況(2020年度)

🏠掛川市

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2020年度)

財政力指数の分析欄

令和2年度の財政力指数は0.90であり、類似団体内平均値0.82を上回っている。単年度の財政力指数も、平成30年度が0.904、令和元年度が0.893、令和2年度が0.895と、類似団体内平均値より高い値で推移している。令和2年度の普通交付税算定においては、基準財政需要額が、地域社会再生事業費の項目追加などにより対前年度比536百万円の増、基準財政収入額も、法人事業税交付金の項目追加などにより対前年度比529百万円の増となった。今後も引き続き企業誘致等の市税増収施策を展開するとともに、人件費や物件費などの歳出を抑制し、財政基盤の強化に努めていく。

経常収支比率の分析欄

令和2年度の経常収支比率は88.5%であり、類似団体内平均値91.4%を下回っている。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による法人市民税の減など、経常一般財源等が対前年度比351百万円の減となり、経常経費充当一般財源も、公債費の減などにより対前年度比221百万円の減となった。しかし、減収幅に比べ歳出の減少が小さかったため、経常収支比率は対前年度比0.3ポイントの増となった。今後も、経常経費の抑制により一層努めるとともに、使用料等の見直しについて検討を行うなど自主財源確保にも努め、経常収支比率の改善を図っていく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

令和2年度の人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、対前年度比10,848円の増となった。これは、GIGAスクール構想による児童生徒1人1台端末整備に係る備品購入費536百万円の追加や、業務システムのクラウド基盤移行経費187百万円の増などが大きな要因となっている。グラフを見ると、例年、類似団体内平均値よりも高い値で推移してきており、令和2年度も4,391円上回っているため、今後も、公共施設マネジメントによる施設の適正配置の推進や、業務内容及び委託内容等の見直しにより、人件費・物件費の抑制に努めていく。

ラスパイレス指数の分析欄

当市のラスパイレス指数は、前年と同様102.2であった。給料表は国に準拠しており、昇格・昇給基準は昨年と同様である。依然高い状況となっているが、主な要因は「55歳以上職員の昇給を継続していること」が考えられる。引き続き、能力・実績主義に基づく人事評価制度のさらなる充実と、適正な昇給制度を構築し、給与の適正化を図っていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成28年度までの第2次改革プランの推進により、平成28年度末までに平成17年度比-162人の職員削減を行った。平成29年度からは多様化する行政課題の対応や職員の時間外削減に努めるため配置職員数の増加を図っているが、依然として類似団体や国県の平均職員数に比べ少ない水準となっている。今後、介護休職・離職や男性の育児休暇取得、少子化等により人材の確保が懸念されるため、働き方改革やDXの推進による業務削減と効率化、広域化とともに、企業との連携を積極的に推進し、行政サービスの維持に努めていく。

実質公債費比率の分析欄

3か年平均の実質公債費比率は8.0%(平成30年度7.9%、令和元年度8.3%、令和2年度7.8%)で、対前年度比0.2ポイント減となった。これは、公営企業等の地方債償還が進んだことにより、これに対する繰出基準額が減ったことが主な要因で、単年度比較では0.5ポイント改善した。しかし、公共施設の整備を推進するための積極的な地方債活用や、幼保園建設の債務負担行為等により、類似団体内平均値を上回っている状況であるため、今後も地方債発行額を抑制するとともに、市税収入の増収施策(企業誘致等)を展開し、自主財源の確保に努めていく。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、対前年度比5.4ポイント減の43.6%となった。これは、公営企業等の起債残高が減少したことによる公営企業等繰入見込額の減(対前年度比1,098百万円減)や、債務負担行為に基づく支出予定額の減(対前年度比593百万円減)などの影響で将来負担額が2,516百万円減少したことによるものである。当市の将来負担比率は、平成24年度から9年連続で減少しているが、依然として類似団体内平均値を大幅に上回っているため、引き続き、起債抑制など将来世代に過度な負担を残さないよう努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、令和2年度において20.7%と類似団体内平均値と比較して低い水準となっている。これは、平成17年の合併を契機に、平成28年度までの第2次改革プランの推進により162人の職員削減を行った影響によるものである。今後は、働き方改革を推進し時間外手当の縮減を図るなど、業務の効率化に取り組むことで人経費の抑制に努めていく。

物件費の分析欄

物件費に係る経常収支比率は、令和2年度において16.5%と類似団体内平均値と比較して0.8ポイント上回っており、対前年度比では1.0%の増となっている。これは、業務システムのクラウド基盤への移行に伴う経費が187百万円増加したことによるものである。今後も引き続き、公共施設の適正配置などの業務改善を進め、物件費の歳出抑制を図るとともに、自主財源の確保に努めていく。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は、令和2年度において10.0%と類似団体内平均値と比較して1.5ポイント下回っており低い水準を維持している。しし、生活保護費や障害福祉サービスをはじめとする扶助費は年々増加傾向にあるため、住民の福祉の向上を図りつつも先を見据えた計画を策定するなど、可能な限り抑制を図っていく。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は、令和2年度において11.6%と類似団体内平均値と比較して1.3ポイント下回っている。主なものは繰出金10.2%で、各特別会計に対して繰出を行うものである。今後は、高齢化を背景に国民健康保険特別会計や介護保険特別会計への繰出金がさらに増加すると考えられるため、本来の独立採算性の観点から段階的な料金の見直しや保健事業における保険税の適正化を図ることにより、歳出抑制に努めていく。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、令和2年度において10.6%と類似団体内平均値と比較して1.0ポイント下回っているが、対前年度比では2.4ポイントの増となっている。これは、掛川市・菊川市衛生施設組合負担金の増(57百万円)や、天竜浜名湖鉄道に対する補助金の追加(34百万円)などによるものである。今後、市単独補助金に関しては、対象団体の決算状況や補助金交付による行政効果等を勘案しながら、見直しを進めていく。

公債費の分析欄

公債費に係る経常収支比率は、令和2年度において19.1%と類似団体内平均値と比較すると例年高い値で推移している。これは、公共施設の整備を推進するため積極的に地方債を活用してきたこと、地方債償還期間を短く設定したことなどの影響によるものである。令和2年度は、過去の利率の高い地方債の償還終了などにより、対前年度比0.3ポイントの減となった。今後も事業の選択と集中により公債費の抑制に努めていく。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率は、令和2年度において69.4%と類似団体内平均値と比較して6.6ポイント下回っており低い水準を維持している。今後は、公共施設マネジメントの推進により物件費等の抑制に努めるとともに、企業誘致等の市税増収施策の展開や受益者負担の見直しなど自主財源比率の高い収入構造を構築し、突発的な財政需要にも対応できるよう安定した財政基盤を築いていく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

総務費は、住民一人当たり142,345円となっており、類似団体内平均値と比較して11,206円低い水準となっている。また、対前年度比は104,789円の増となっており、これは市民1人あたり一律10万円を支給する「特別定額給付金給付事業」実施の影響などによるものである。民生費は、住民一人当たり129,704円となっており、類似団体内平均値と比較して15,922円低い水準となっている。また、対前年度比は8,981円の増となっており、これは認定こども園建設に係る施設整備補助金の増や、幼児教育・保育無償化に伴う扶助費の増などによるものである。商工費は、住民一人当たり18,783円となっており、類似団体内平均値と比較して4,306円高い水準となっている。また、対前年度比は8,610円の増となっており、これは新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済対策として、市内企業への応援給付金などを実施したことによるものである。土木費は、住民一人当たり47,493円となっており、類似団体内平均値と比較して4,547円高い水準となっている。また、対前年度比は2,534円の増となっており、これは海岸防災林強化事業の事業進捗による事業費増や、下垂木地区まちづくり事業における用地買収費の増などによるものである。教育費は、住民一人当たり60,913円となっており、類似団体内平均値と比較して4,770円高い水準となっている。また、対前年度比は6,734円の増となっており、これはGIGAスクール構想による児童生徒1人1台端末整備に係る備品購入費及び通信環境整備費用の追加などによるものである。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費は住民一人当たり59,781円となっており、類似団体内平均値と比較して3,564円低い水準となっている。また、対前年度比は7,357円の増となっており、これは令和2年度から会計年度任用職員給料分が算入されたことなどによるものである。扶助費は住民一人当たり80,975円となっており、類似団体内平均値と比較して8,055円低い水準となっている。対前年度比は6,226円の増となっており、これは幼児教育・保育無償化による私立保育園等運営費や私立幼稚園等施設型給付費の増などによるものである。補助費等は住民一人当たり159,334円となっており、類似団体内平均値と比較して8,766円高い水準となっている。また、対前年度比は122,350円の増となっており、これは市民1人あたり一律10万円を支給する「特別定額給付金給付事業」実施の影響などによるものである。普通建設事業費は住民一人当たり62,885円となっており、類似団体内平均値と比較して6,469円高い水準となっている。また、対前年度比は4,957円の増となっており、これは認定こども園建設に係る施設整備補助金の増や、海岸防災林強化事業の事業進捗による事業費増などによるものである。繰出金は住民一人当たり31,998円となっており、類似団体内平均値と比較して2,264円低い水準となっている。対前年度比は10,423円の減となっており、これは公共下水道事業会計など4つの特別会計が公営企業会計に移行し、これらの会計への繰出金が補助費等へ分類されたことによるものである。

実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)

分析欄

令和2年度当初予算は過去最大規模であり、新型コロナウイルス対策や、高齢化を背景とした社会保障給付費の増などに対し、財政調整基金を取り崩して対応したことで、財政調整基金残高は対前年度比3.82%減となった。今後は、実質収支の黒字幅を大きくするとともに、実質単年度収支の赤字解消を図るため、経常経費の増加を抑え、財源確保にも努めていく。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)

分析欄

全ての会計において黒字を維持している。水道事業会計は、令和2年度の純利益が大口使用者の使用水量減などにより減少したが、標準財政規模が大きくなったことから標準財政規模比は対前年度比0.83ポイント増となった。一般会計は、法人事業税交付金の追加などにより標準財政規模が大きくなったことから、標準財政規模比は対前年度費0.45ポイント増となった。国民健康保険特別会計は、標準財政規模比が横ばいとなっているが、一般会計からの繰入が前年度より増加しているため、今後は国保税の徴収率向上に努めるとともに効率的な運営に努め、繰入額の抑制を図っていく。介護保険特別会計は、給付費関連支出が増加していることから標準財政規模比は対前年度比0.44%減となった。今後は介護予防に注力することで介護給付費の抑制に努めていく。後期高齢者医療保険特別会計は、標準財政規模比が横ばいとなっているが、一般会計からの繰入が前年度より増加しているため、今後は効率的な運営に努め、繰入額の抑制を図っていく。今後も各会計において適正な財政運営に努めたい。

実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

令和2年度は、前年度と比較して元利償還金(公営企業債を含む)や組合等が起こした地方債の元利償還に対する負担金等が減少したため、実質公債費比率の分子の数値は減少した。普通会計の元利償還金については、過去の利率の高い起債の償還終了などにより159百万円の減、公営企業債は、公共下水道事業の分流式下水道経費に係る元利償還金の減などにより125百万円の減、組合等についても償還が進み90百万円の減となった。今後も新規発行地方債の抑制に努めるなど、プライマリーバランスの黒字幅を大きくし、比率の改善を図っていく。

将来負担比率(分子)の構造(2020年度)

分析欄

令和2年度は、一般会計等に係る地方債現在高の減少に加え、幼保園建設等に係る償還が進んだことにより債務負担行為に基づく支出予定額も減少した。さらに、公営企業等の地方債現在高の減少により公営企業債等繰入見込額も減少したことで、全体として将来負担額が2,516百万円の減となった。一方、充当可能財源等については、財政調整基金取崩額の増などによる充当可能基金の減少等により、全体として1,514百万円の減となった。結果、将来負担額の減少幅が、充当可能財源等の減少幅を上回ったため、将来負担比率の分子としては1,002百万円の減となった。今後も、新規発行地方債の抑制に努め将来負担額の減少を図るとともに、計画的に基金への積立を行い、充当可能財源を確保することで、将来負担比率の改善を目指していく。

基金残高に係る経年分析(2020年度)

基金全体

(増減理由)令和2年度の基金残高は、前年度と比較して931百万円の減となった。これは、必要な財政需要に対応するため、財政調整基金の取崩額が大きかったことに加え、文化振興事業の開催や待機児童解消対策、職員の退職手当支給などに対応するため、その他特定目的基金の取崩を行ったことによるものである。(今後の方針)財政調整基金については、企業誘致等の市税収入増収施策を展開し自主財源の確保に努めることで、市税収入の20%を目処に基金残高を確保したい。また、その他特定目的基金についても、将来を見据えた積立を行うことで、今後起こり得る突発的な財政支出や急激な税収の減などに備えたい。

財政調整基金

(増減理由)令和2年度の財政調整基金残高は、前年度と比較して995百万円の減となった。新型コロナウイルス感染症の影響による景気の後退を見越し、6月時点で既決予算の見直し(事業の中止、延伸に伴う減額補正)や、需用費等の内部留保などを進めており、税収など歳入額の減少はあったものの、財政調整基金残高の減少幅を抑えることができた。(今後の方針)今後も企業誘致等の市税収入増収施策を展開し、自主財源の確保に努める。また、今回の新型コロナウイルスのように、突発的な財政支出や急激な税収の減など不測の事態に対応するため、引き続き、市税収入の20%を目処に基金残高の確保に努めていく。

減債基金

(増減理由)減債基金については、これまで積立を行っていない。(今後の方針)現時点で積立を行う予定はない。

その他特定目的基金

(基金の使途)その他特定目的基金の主なものは、掛川市を応援するために寄せられた寄附金を活用し、寄附者の思いを実現するための事業に要する経費に充てるために設置した「ふるさと応援基金」や、風水害・地震・津波対策の整備に要する経費に充てるために設置した「地震・津波対策整備基金」、幼稚園・小学校・中学校等の教育施設の整備に要する経費に充てるために設置した「教育施設整備基金」等である。(増減理由)令和2年度のその他特定目的基金残高は、前年度と比較して65百万円の増となった。これは、子育て世帯のための三世代同居応援事業や待機児童解消対策事業実施のために「こども希望基金」を取り崩したこと、職員の退職手当に充てるために「退職手当基金」を取り崩したことなどの減額要因に対し、それを上回る「ふるさと応援基金」への積立ができたことが主な要因となっている。(今後の方針)今後、「教育施設整備基金」については、小学校及び中学校の再編による需要に対応するため、計画的に取り崩していく予定である。また、「公共施設整備基金」についても、公共施設マネジメントを推進していくなかで発生する再配置に伴う需要等に対応するため、計画的に積立をしていく。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の令和2年度の有形固定資産減価償却率は60.2%であり、類似団体内平均値よりも1.7ポイント低い値となっているが、上昇傾向にある。大規模施設としては、平成7竣工の市役所本庁舎や平成15竣工の総合体育館、各小中学校など、公共施設の老朽化に伴い今後も有形固定資産減価償却率は上昇していくと考えられる。既存施設の長寿命化と併せて、公共施設再配置方針の推進などにより施設の総量を減らすことで、上昇し続ける有形固定資産減価償却率を抑えるよう努める。

債務償還比率の分析欄

本市の令和2年度債務償還比率は537.6%であり、類似団体内平均値や静岡県平均及び全国平均よりも低い値となっているが、前年度から5.7ポイント増加し、若干の悪化が見られる。これは、新型コロナウイルス関連経費で一時的な支出の増加があったことが原因であり、地方債残高は減少している。今後、社会保障給付費や国保・介護特別会計などへの繰出金増加が予想され、さらなる債務の削減を進める必要があり、債務償還比率及び将来負担額の低減に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

本市の将来負担比率は類似団体内平均値を上回っている一方、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を下回っている。将来負担比率については、年々低下しているが、まだまだ高水準にある。プライマリーバランスを意識し新規地方債の発行を抑制するなど、長期的な視点で負担抑制に努める。一方、過去、積極的なインフラ整備を行ってきたが、その更新が滞っているために有形固定資産減価償却率は上昇を続けている。今後は、公共施設等総合管理計画に基づき、既存施設の長寿命化を推進していくとともに施設の総量を減らすことで、数値の改善を図る。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率・実質公債費比率については、どちらも前年度と比較して低下している。しかし、どちらも類似団体内平均値と比較して高い割合となっており、特に将来負担比率については、37.7ポイント上回っている。これは、類似団体内において道路や橋りょうの保有量が多く、それらの整備に多額の地方債を発行してきたためと考えられる。今後は、さらなる必要経費の見直しを行っていくとともに、新規地方債の発行抑制に努めるなど、引き続き、財政の健全性確保を図る。

施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

一人あたりの道路延長が類似団体の中では2番目に長いが、有形固定資産原価償却率は類似団体内平均値を下回っており、比較的償却期間は残っていると言える。反面、橋りょう・トンネルについては、一人当たり有形固定資産(償却資産)額が類似団体中1位であるうえ、減価償却もかなり進んでおり、今後の更新に際し大きな財政負担があると予想される。認定こども園・幼稚園・保育所や学校施設については、有形固定資産原価償却率が類似団体内平均値より高くなっているが、市立幼稚園を近隣の私立保育園と合わせて私立認定こども園とする事業を進めており、これにより建物の総数が減ることで、今後は有形固定資産減価償却率についても低下することが予想される。児童館、公民館は、有形固定資産原価償却率が類似団体内平均値より高くなっているが、公営住宅は下回っている。ただし、減価償却率の推移は例年と同程度の水準で上昇し続けていることから、将来的な更新に係る財政負担等を考慮し、いずれも増設はせず、公共施設再配置方針の中で長寿命化・複合化を検討している。

施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館については、類似団体内平均値とほぼ同水準の有形固定資産減価償却率であるものの、一人当たり面積では2番目の大きさとなっている。今後は利用状況を勘案しながら施設の統合を検討する。一般廃棄物処理施設の有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値を13.5ポイント上回る66.0%であり、一人当たり有形固定資産(償却資産)額は低くなっている。施設の老朽化が著しいことから施設の規模や運営方式を含め建替を検討している。体育館・プールについては、類似団体内平均値より有形固定資産減価償却率はかなり低いが、一人当たり面積は平均的な値である。施設の保有量としては適正な範囲内であると判断できるが、老朽化した施設もあるため、利用状況や利用圏域を勘案しながら統合を検討している。保健センターについては、類似団体内平均値より有形固定資産減価償却率は高く、一人当たり面積もかなり大きくなっている。同じく老朽化が進んでいる福祉施設とともに統合や複合化を検討している。消防施設については、平成27年度に中央消防署が完成したばかりであるが、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値に比べ少し高くなっている。一人当たり面積は大きくないが、消防施設の増設はせず、老朽化が進む施設も含め、既存施設の長寿命化を進めていく。市民会館については、いずれも老朽化が進んでおり、複合化を検討している。庁舎については、有形固定資産減価償却率も一人当たり面積も類似団体内平均値と大差ないが、今後の老朽化に備え、本庁舎と南館の統合や支所の複合化を検討している。

財務書類に関する情報①(2020年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

令和2年度末時点の資産総額は、連結会計326,887百万円、一般会計等230,153百万円(前年度比連結会計4,629百万円減、一般会計等3,825百万円減)となった。金額の変動が大きいものは事業用資産とインフラ資産であり、事業用資産については、養護老人ホームききょう荘や生涯学習センター音響設備の改修工事、市内小中学校の通信ネットワーク設備増設工事などの建物や建物の付属設備などの資産が増加する一方、減価償却による資産の減少が大きかったことから一般会計等で1,554百万円の減、インフラ資産も同様に、市道掛川駅梅橋線や長谷大池線、ゆうゆうパークの用地取得や市道掛川高瀬線などの新規着手工事を建設仮勘定に計上したことに伴う資産取得に対し、減価償却による資産の減少が大きかったことから一般会計等で1,518百万円減少した。一方、負債総額は、連結会計122,662百万円、一般会計等52,535百万円(前年度比連結会計18,444百万円増、一般会計等37百万円減)となった。これは、連結会計については、その他の固定負債が増加、一般会計等は地方債や退職手当引当金などの固定負債が減少したことなどによるものである。資金化が比較的容易と考えられ、負債の返済に充てることができる資産(基金+現金預金+未収金)は一般会計等で9,721百万円となっており、負債総額と相殺しても負債が残ることになってしまうため、引き続き、負債の主な要因である地方債現在高の削減を重要課題と位置づけ取り組んでいく。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

令和2年度中の行政活動に要した経常費用は、連結会計103,056百万円、一般会計等58,257百万円(前年度比連結会計13,293百万円増、一般会計等15,446百万円増)となった。また、経常収益は連結会計16,178百万円、一般会計等1,899百万円(前年度比連結会計3,292百万円減、一般会計等164百万円減)で、費用から収益を引いた純経常行政コストは連結会計86,878百万円、一般会計等56,358百万円(前年度比連結会計16,585百万円増、一般会計等15,609百万円増)となった。経常費用を目的別の構成比でみると、連結会計では社会保障給付費が占める割合が36.0%と最も高く、次いで補助金等20.3%、物件費15.3%の順となっている。一般会計等においては補助金等が占める割合が35.1%と最も高く、次いで社会保障給付費15.7%、物件費14.9%の順となっている。特別定額給付金や子育て世帯への臨時特別給付金、新型コロナウイルス感染症対策のための抗原検査キットや医療資機材の整備により前年度と比較して増加している。今後、高齢化を背景に社会保障給付費、国保や介護など特別会計への繰出金は益々増加すると考えられるため、この財源確保のために経費構成の傾向に注意しながら、業務の効率化・生産性の向上により職員数の適正化を図るとともに、公共施設管理の合理化による物件費の削減に努めていく。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

令和2年度末の純資産残高は、連結会計が204,225百万円、一般会計等が177,618百万円であった。前年度末の同残高は、連結会計が227,298百万円、一般会計等が181,406百万円であり、比較すると連結会計で23,073百万円の減、一般会計等で3,788百万円の減となっている事業用資産やインフラ資産の取得を上回る減価償却の進行により、純資産額の減少に歯止めをかけることは難しくなっているが、行政コスト計算書で分析したとおり、今後、社会保障関係経費が経常費用を増加させることが予想される一方で、この費用に充てる税収や国県補助金などの大幅増は難しいと考えられるため、人件費や物件費の増加の抑制に努めていく必要がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

令和2年度末の資金残高は、連結会計が8,866百万円、一般会計等が2,313百万円であった。前年度末の同残高は、連結会計が8,217百万円、一般会計等が2,159百万円であり、比較すると連結会計で649百万円の増、一般会計等で154百万円の増となっている。また、業務活動収支と投資活動収支を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、連結会計で2,490百万円の黒字、一般会計等でも652百万円の黒字であった。前年度末の同収支は、連結会計で2,117百万円の黒字、一般会計等で804百万円の黒字となっている。これは、連結・一般ともに基本的な行政サービスを提供するため毎年度継続的に収入・支出する「業務活動収支」が黒字となっており、「投資活動収支」の赤字額を上回っているためである。今後、このプライマリーバランスの黒字幅をさらに大きくするため、人件費や物件費の増加を抑制し、財源確保に努めるとともに、地方交付税や補助金など外部からの収入に依存しない自主財源比率の高い収入構造を構築していくよう努めていく必要がある。

財務書類に関する情報②(2020年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額及び歳入額対資産比率は、合併前に旧市町毎に整備した重複する公共施設が多いため、保有する施設数が非合併団体よりも多いことや、市域が広いためインフラ整備に多くの投資をしてきたことから、類似団体平均値を上回っている。また、合併以前に整備した施設やインフラが多いため、有形固定資産減価償却率は類似団体の平均値よりも高く、老朽化が進んでいる。公共施設マネジメントを確実に実行し、施設の総量の見直し、長寿命化、運営手法の見直し、改修資金の確保などに取り組んでいく。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均値を上回っており、将来世代負担比率は類似団体平均値を下回っているため、類似団体と比較すると将来への負担が少ない状態である。しかし、純資産比率は77.2%で前年度と比べ0.3%減少している。これは、事業用資産やインフラ資産の取得を上回る減価償却の進行によるものである。地方債残高の削減等に努めるとともに、引き続き比率を注視し、将来への負担を残さないよう取り組んでいく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値より高い値となっており、前年度末より13.6万円増加している。令和2年度に関しては、新型コロナウイルス対策の各種補助金の影響が大きいが、今後は、社会保障給付費や国保・介護保険などへの特別会計繰出金が増加する中で、人件費、物件費の増加抑制に取り組むように努めるとともに、経常収益が低下しないよう自主財源の拡充に努めていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民1人あたり負債額は類似団体平均値より高い値となっている。引き続き、将来世代に負担をかけないために地方債などの負債額削減を重要課題と位置づけ取り組む必要がある。基礎的財政収支は、類似団体平均値より高い状態となっている。基礎的財政収支について、経常的収入には国県補助金や地方交付税などの依存財源も含まれており、依存財源の割合が大きいほど外部影響を受けやすくなる。従って、自主財源比率を高めるとともに、引き続き本値を重視し黒字幅を大きくしていくよう努めていく。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均値と同等の数値であるが、今後、国県補助金や地方交付税などの依存財源は現状の水準を維持できるか不透明である。自主財源の確保は重要課題であり、受益者が直接負担することが求められる費用については、類似団体の受益者負担比率の値に注視しながら、適切に見直しを行っていく必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,