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静岡県掛川市の財政状況(2018年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2018年度)

財政力指数の分析欄

平成30年度の財政力指数は0.90であり、これは類似団体平均0.84を上回っている。単年度の財政力指数では、平成28年度が0.901、平成29年度が0.894、平成30年度が0.904となっている。平成30年度の普通交付税算定においては、基準財政需要額が対前年度209百万円の増となり、基準財政収入額は市民税法人割等の増により対前年度387百万円の増となった結果、単年度の財政力指数は0.01ポイント増加した。今後も引き続き企業誘致等の市税増収施策を展開するとともに、人件費や物件費の削減等、歳出削減を進め財政基盤の強化に努める。

経常収支比率の分析欄

平成30年度の経常収支比率は88.5%であり、類似団体平均89.6%を下回っている。平成30年度は前年度比0.4ポイントの減となったが、これは、経常経費充当一般財源が地方交付税及び臨時財政対策債の減により前年度比0.7%減となる一方で、経常経費一般財源は職員数の減などによる人件費の減を要因に対前年度比1.2%減となったことによる。今後は事務事業の見直し等、行財政改革への取り組みによる経常経費の抑制に努めるとともに、使用料等の見直しなどを行うことで自主財源確保にも努め、経常収支比率の改善を図る。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

平成30年度の人口1人当たりの人件費、物件費等決算額は、前年度比1,913円の減となった。これは、人件費は、支給対象人数の減により前年度比142百万円の減となった退職手当の減、選挙未実施による人件費44百万円の減、働き方改革推進による時間外手当31百円の減による。次に物件費は、老人福祉センター解体撤去事業完了による112百万円の皆減が要因となっている。しかし、類似団体比較では、平成27年度から4年連続で上回っており、平成30年度も4,515円上回っているため、今後も施設の適正配置や委託内容の見直し等により、物件費の抑制に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

平成30年度のラスパイレス指数は、前年比0.2ポイント減となった。給料表は国に準拠しており、昇格・昇給基準は昨年と同様である。よって、主な要因は「平成27.4給料表減額改定時の現給保障の影響」と「職員の経験年数階層変動の影響」が考えられる。特に給料表減額改定時の現給保障を平成31年3月31日をもって終了したことが大きく影響していると思われる。今後とも、能力・実績主義に基づく人事評価制度のさらなる充実と、適正な昇給制度を構築し、給与の適正化を図っていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

平成28年度までの第2次改革プランの推進により、平成28年度末までに平成17年度比162人の職員削減を行った。平成30年度は平成29年度に増員した職員数を維持し、多様化する行政課題の対応や職員の時間外削減に努めているが、依然として類似団体や国県の平均職員数に比べ少ない水準となっている。今後、介護離職や少子化等により人材の確保が懸念されるため、働き方改革やICTを活用した業務削減と効率化、企業との連携を積極的に推進し、行政サービスの維持に努めていく。

実質公債費比率の分析欄

3ヶ年平均では8.6%(平成28年度9.7%、平成29年度8.4%、平成30年度7.9%)となり、前年度より0.7ポイント減となった。これは、掛川市・袋井市病院企業団の元利償還が進んだことが主な要因で単年度における比較では0.5ポイント改善した。しかし、遅れていた公共施設の整備を推進するため積極的に地方債を活用してきたこと、特別老人ホームや幼保園建設の債務負担行為等により、類似団体の平均を3.6ポイント上回っている状況であるため、今後も市債発行額を出来る限り抑えるほか、市税収入の増収施策(企業誘致等)を展開し、自主財源の確保に努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、前年度比9.4ポイントの減となった。これは、掛川市・菊川市衛生施設組合の負担等見込額の減や、掛川市土地開発公社の負債額等負担見込額の皆減による将来負担額1,530百万円の減と都市計画税の増による充当可能財源530百万円の増によるものである。将来負担比率は、平成24年から7年連続で減少しているが、依然として類似団体の平均を50.9ポイント上回っているため、引き続き、起債抑制などに努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2018年度)

人件費の分析欄

人件費に係る経常収支比率は、平成30年度において20.7%と類似団体平均と比較して低い水準となっている。退職手当の減並びに職員数の減及び時間外の減等により前年度比0.8ポイントの減となった。定員適正化計画に基づく職員削減も落ち着いたため、今後は、働き方改革を進めるなど業務の効率化に取り組み、人経費の抑制に努めていく。

物件費の分析欄

物件費に係る経常収支比率は、類似団体平均と比較では1.3ポイント上回っている。また、前年度比較では0.1ポイントの増とほぼ横ばいとなっている。今後も引き続き、公共施設の適正配置など業務改善による物件費の歳出抑制を図るとともに財源確保に努める。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は、類似団体と比較して2.1ポイント下回っており低い水準を維持しているが、国の公定価格の増などにより私立保育園等運営費が1.06%伸びたことにより前年度比0.2ポイントの増となった。当市は「子ども・子育て」日本一を掲げており、その重要施策である待機児童対策などの課題があり増加しやすい経費だが、住民の福祉の向上を図りつつも先を見据えた計画を策定するなど、可能な限り抑制を図っていきたい。

その他の分析欄

その他に係る経常収支比率は、類似団体平均と比較して0.7ポイント上回っている。その他14.3%のうち主なものは繰出金12.9%で、公共下水道事業特別会計、介護保険特別会計、国民健康保険特別会計等である。今後は、繰出金に対しては、本来の独立採算性の観点から段階的な料金の見直しや保健事業における保険税の適正化を図ることにより、一般会計の負担額を減らしていくよう努める。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は、類似団体平均と比較して1.1ポイント下回っている。また、前年度比較では0.1ポイントの減となった。これは、大東・大須賀区域ごみ処理委託料の減、償還の終了による大井川広域水道企業団補助金の減によるものである。今後は市単独補助金に関しては、事業内容、対象団体の決算状況、補助金交付に係る行政効果等を勘案する中で、事業ごとに見直しを進め、歳出抑制を図る。

公債費の分析欄

遅れていた公共施設の整備を推進するため積極的に地方債を活用してきたこと、合併特例債の償還期間を短く設定したことなどから比較的高い比率で推移してきており、類似団体と比較して4.0ポイント上回っている。利率見直しや過去の利率の高い地方債の償還終了により、利子償還金が減少したが、経常一般財源が減少したことにより前年度比0.2ポイントの増となった。今後も事業の選択と集中により公債費を抑制していく。

公債費以外の分析欄

公債費以外の経常収支比率は、類似団体平均と比較して5.1ポイント下回っており、低い水準を維持しており、対前年度比較でも0.6ポイントの減となった。これは、職員給や退職手当などの人件費、一部事務組合等に対する補助費等、各施設に対する維持補修費の減によるものである。今後は、企業誘致や労働人口の増による税収の増額を図るとともに、公共施設マネジメントを進めるなど物件費の抑制等に努める。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2018年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

教育費は、住民一人当たり56,526円となっており、類似団体平均を11,545円上回っている。市内全幼稚園、小・中学校への空調設備設置や認定こども園化への補助金等の事業費が多大となっているが、給食センター建設事業や小学校校舎改築事業といった大型事業完了により前年度比8,213円の減となっている。土木費は、住民一人当たり43,564円となっており、類似団体平均を172円下回っている。下垂木地区まちづくり事業の事業が進捗したことや市の重点施策に位置付けられている海岸防災林強化事業費の増により前年度比3,953円の増となっている。民生費は、住民一人当たり116,141円となっており、類似団体平均を16,400円下回っている。認定こども園化推進に伴う補助金の増、介護施設改修事業費補助金の増等により前年度比3,215円の増となっている。総務費は、住民一人当たり35,581円となっており、類似団体平均を7,562円下回っている。前年度は4つの選挙が行われたこと、支給対象人数が減ったことによる退職手当の減により前年度比2,259円の減となっている。農林水産業費は、住民一人当たり11,499円となっており、類似団体平均を4,023円上回っている。前年度は森林建設組合事務所建設への補助があったことや、経営体育成基盤整備事業への負担金の減等により前年度比1,452円の減となっている。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2018年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

人件費は住民一人当たり52,347円となっている。類似団体平均と比較して3,692円低い水準となっている。職員数が定数に達しなかったことや働き方改革による時間外が抑制されたことにより、前年度比2,268円の減となっている。繰出金は住民一人当たり40,243円となっている。類似団体平均と比較して1,754円高い水準となっているが、国民健康保険特別会計への繰出金の減等により前年度比1,839円の減となっている。補助費等は住民一人当たり36,320円となっている。類似団体平均と比較して1,395円低い水準となっているが、大型の施設整備が行われた掛川市・菊川市衛生施設組合への負担金等の増により前年度比1,535円の増となっている。普通建設事業費は一人当たり60,647円となっている。類似団体平均と比較して14,245円高い水準となっているが、給食センターの建設や小学校の校舎改築などの大型事業が完了したことにより前年度比1,161円の減となっている。扶助費は一人当たり69,805円となっている。類似団体平均と比較して9,978円低い水準となっているが、年々増加傾向にあり、私立保育園等運営費、放課後等デイサービス給付費、子ども医療扶助費などの増により、前年度比632円の増となっている。

実質収支比率等に係る経年分析(2018年度)

分析欄

平成30年度の財政調整基金残高は、前年度と比べて0.65ポイント減となった。これは、平成30年度の取り崩し額は、前年度比較で205百万円減少したものの、前年度末の基金残高が減少していることによる。しかし、実質収支及び実質単年度収支は緊縮予算を編成した結果、実質収支額で0.65ポイント、実質単年度収支で0.73ポイント改善した。今後、適正な予算執行を行い、入札差金等の不用額の留保に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2018年度)

分析欄

全ての会計において黒字を維持している。一般会計については、景気回復などによる法人税割の増により標準財政規模比が増加した。水道事業会計については4年連続で改善した。これは、給水量の増による給水収益の増と平成29年度からの受水単価の引き下げにより当年度収支が改善し、標準財政規模比は増加した。国民健康保険特別会計は、平成30年度からの広域化に伴い、静岡県が責任主体となることで、財政運営の方法が大きく変わり共同事業交付金が皆減になったこと等により標準財政規模比は減少したが、引き続き黒字となっている。今後も各会計において適正な財政運営に努める。

実質公債費比率(分子)の構造(2018年度)

分析欄

平成30年度は前年度と比較して元利償還金や組合等が起こした地方債の元利償還に対する負担金等が減少したため、実質公債費比率の分子の数値は減少した。平成30年度の元利償還金については、過去の利率の高い起債の償還の終了や10年利率見直しによる利子の減により24百万円の減となり、また、組合等については、平成25年度に設立した掛川市・袋井市病院企業団の償還が進んだことにより194百万円の減となった。今後も新規発行地方債の抑制に努めるなど、プライマリーバランスの黒字化に配慮し、比率改善を図る。

将来負担比率(分子)の構造(2018年度)

分析欄

将来負担額では、一般会計の地方債残高の減に加え、幼保園建設に係る償還が進んだことにより、債務負担行為に基づく支出予定額も減少したことや掛川市土地開発公社への負債額等負担見込み額の皆減などの影響で、全体としては1,530百万円減少した。一方で、充当可能財源については、都市計画税のうち充当可能額の増により、全体として530百万円の増額となった結果、将来負担比率の分子としては2,060百万円の減となった。今後も、起債発行額の抑制に努め将来負担額の減少を図るとともに、計画的に基金への積立を行い、充当可能財源を確保することで、将来負担比率の改善を目指す。

基金残高に係る経年分析(2018年度)

基金全体

(増減理由)平成30年度の基金残高は、前年度と比較して232百万円の減となった。これは、必要な財政需要に対応するため、財政調整基金の取崩額が大きかったことや、市内幼稚園、小学校及び中学校への空調設備整備事業や職員の退職手当支給に対応するため、その他特定目的基金の取崩を行ったことによるものである。(今後の方針)財政調整基金については、企業誘致等、市税収入の増収施策を展開し、自主財源の確保に努めることで市税収入の20%を目処に基金残高を確保することで、今後の財政需要等や急激な税収減などに備える。また、その他特定目的基金についても、将来を見据えた積立を行うことで健全な財政運営に資する。

財政調整基金

(増減理由)平成30年度の財政調整基金残高は、前年度と比較して168百万円の減となった。これは、職員給や退職手当等の人件費等の減少により経常経費充当一般財源は288百万円減少したものの、地方交付税及び臨時財政対策債の減少により経常一般財源も減少したため、財政調整基金を取り崩したことによる。(今後の方針)今後も企業誘致等、市税収入の増収施策を展開し、自主財源の確保に努める。また、リーマンショックのような急激な税収の減など不足の事態に対応するため、市税収入の20%を目処に基金残高の確保に努める。

減債基金

(増減理由)減債基金については、これまで積立を行っていない。(今後の方針)現時点で積立を行う予定はない。

その他特定目的基金

(基金の使途)その他特定目的基金の主なものは、掛川市を応援するために寄せられた寄附金を活用し、寄附者の思いを実現するための事業に要する経費に充てるために設置した「ふるさと応援基金」や、地震・津波対策の整備に要する経費に充てるために設置した「地震・津波対策整備基金」、幼稚園・小学校・中学校等の教育施設の整備に要する経費に充てるために設置した「教育施設整備基金」等である。(増減理由)平成30年度のその他特定目的基金残高は、前年度と比較して64百万円の減となった。これは、「教育施設整備基金」を市内全幼稚園、小学校及び中学校の空調設備整備事業に充てるための取り崩しを行ったこと、認定こども園化推進事業費に充てるため「子ども希望基金」を取り崩したこと、職員の退職手当に充てるために「職員退職手当基金」を取り崩したことなどが主な要因となっている。(今後の方針)今後、「教育施設整備基金」においては、小学校及び中学校の再編による需要が考えられる。また、「公共施設整備基金」においても、公共施設マネジメントを推進していくことで再配置に伴う需要に備えていく必要がある。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2018年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

本市の平成30年度の有形固定資産減価償却率は57.6%であり、類似団体の平均より2.6ポイント低く、静岡県平均や全国平均も下回っている。本市では、平成28年に公共施設等総合管理計画を策定し、財政負担の軽減や年度毎の平準化を目指して施設の長寿命化を進めている。そのため、今後も有形固定資産減価償却率は増加していくと考えられる。

債務償還比率の分析欄

本市の平成30年度の債務償還比率は563.8%となり、類似団体や静岡県平均より高いが、全国平均より低い値となっている。本市の将来負担額については、掛川市・菊川市衛生施設組合の負担等見込額が減少したこと等により減少した。今後は、中長期の財政見通しの策定及び定期的な見直しを行い、債務の削減を進めることで、将来負担額の低減に努める。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

本市の将来負担比率は類似団体平均を上回っている一方、有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っている。過去、積極的にインフラ整備を行ってきたが、その更新が滞っているために、有形固定資産減価償却率は増加を続けている。今後は公共施設等総合管理計画に基づき、長寿命化を推進していく。一方で、将来負担比率については、減少しているが、まだまだ高い水準にある。公共施設の維持修繕について計画的に進める等、起債を抑制し、長期的な視点に立った負担抑制に努める。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率・実質公債費比率について、どちらも前年度と比較して減少している。しかし、どちらも類似団体と比較して、高い割合となっており、特に将来負担比率については50.9ポイント上回っている。今後も、無駄な経費を見直し、起債抑制に努めるなど引き続き財政の健全性の確保を図る。

施設類型別ストック情報分析表①(2018年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

一人あたりの道路延長が類似団体の中では2番目に多いが、有形固定資産原価償却率は平均を下回っており、比較的償却期間は残っていると言える。反面、橋りょう・トンネルについては、一人当たり有形固定資産(償却資産)額が類似団体中1位であるうえ、減価償却も進んでおり、今後の更新負担が懸念される。認定こども園・幼稚園・保育園については、有形固定資産原価償却率が類似団体より高くなっているが、市立幼稚園を近隣の私立保育園と合わせて私立認定こども園への建て替えを進めており、今後は減少することが予想される。児童館・公民館についても、有形固定資産原価償却率が類似団体より高くなっており、また、1人当たり面積も低い。今後は公共施設再配置計画の策定を進める中で、長寿命化・複合化が検討されている。公営住宅については、有形固定資産原価償却率が類似団体より低くなっている。1人当たり面積は少ないが、増設はせずに長寿命化に努める。

施設類型別ストック情報分析表②(2018年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館について、類似団体平均より有形固定資産減価償却率は少し低いものの、一人当たり面積では1位となっている。今後は利用状況を勘案しながら統合を検討する。一般廃棄物処理施設について、類似団体平均より有形固定資産減価償却率は少し高く、施設の老朽化に対しては改修等による長寿命化を検討している。市内ではごみ減量が進んでおり、有形固定資産額は少ない。体育館・プールについて、類似団体平均より有形固定資産減価償却率はかなり低いが、一人当たり面積は平均的な値である。個別に老朽化した施設もあり、利用状況や利用圏域を勘案しながら統合を検討している。保健センターについて、類似団体平均より有形固定資産減価償却率は少し低いが、一人当たり面積はかなり大きい。老朽化が進んでいる福祉施設とともに統合や複合化を検討している。消防施設について、中央消防署を建設したため、有形固定資産減価償却率は少し低いが、一人当たり面積は少ない。今後は西分署を改修するなど、長寿命化を進める。市民会館は老朽化が進んでおり、複合化を検討している。庁舎は類似団体平均は有形固定資産減価償却率はも一人当たり面積も平均的であるが、今後の老朽化に対しては本庁舎・南館の統合や支所の複合化を検討している。

財務書類に関する情報①(2018年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等の資産総額は237,047百万円で、前年度末と比べ2,972百万円の減となった。金額の変動が大きいものは事業用資産とインフラ資産であり、事業用資産は、横須賀城跡や富士見台霊園の土地取得、さんりーなの天井改修や桜木西分団センターの建設等の土地・建物資産の取得に対し、減価償却による資産の減少が大きかったことから1,086百万円の減、インフラ資産も同様に、市道高御所久保線や市道梅橋吉岡線の供用開始や新規着工工事等に伴う工作物や建設仮勘定などの資産取得に対し、減価償却による工作物資産の減少が大きかったことから、1,766百万円減少した。一方、負債総額は52,894百万円で、前年度末と比べ275百万円の減となった。これは、固定負債における地方債及び退職手当引当金で813百万円減少したことと、1年以内償還予定地方債等の流動負債で330百万円増加したこと等の影響によるものである。資金化が比較的容易と考えられ、負債の返済に充てることができる資産(基金+現金預金+未収金)は10,398百万円となっており、負債総額と相殺しても負債が残ることになってしまうため、引き続き、負債の主な要因である地方債現在高の削減を重要課題と位置づけ取り組んでいく。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

平成30年度中の行政活動に要した経常費用は、連結会計87,731百万円、一般会計等42,525百万円(前年度比連結会計282百万円増、一般会計等310百万円増)となった。また、経常収益は連結会計18,145百万円、一般会計等2,253百万円(前年度比連結会計673百万円増、一般会計等90百万円増)で、費用から収益を引いた純経常行政コストは連結会計69,586百万円、一般会計等40,273百万円(前年度比連結会計391百万円減、一般会計等220百万円増)となった。経常費用を目的別の構成比でみると、連結会計では社会保障給付費が占める割合が40.6%と最も高く、次いで物件費16.7%、人件費15.9%の順となっている。一般会計等においても社会保障給付費が占める割合が19.3%と最も高く、次いで物件費17.7%、補助金等17.0%の順となっている。今後、高齢化を背景に社会保障給付費、国保や介護など特別会計への繰出金は益々増加すると考えられるため、この財源確保のために経費構成の傾向に注意しながら、業務の効率化・生産性の向上により職員数の適正化を図るとともに、公共施設管理の合理化による物件費の削減、使用料・手数料など受益者負担のあり方を見直していく。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

平成30年度末の純資産残高は、連結会計が230,105百万円、一般会計等が184,154百万円であった。前年度末の同残高は、連結会計が232,793百万円、一般会計等が186,850百万円であり、比較すると連結会計で2,688百万円の減、一般会計等で2,696百万円の減となっている。事業用資産やインフラ資産の取得を上回る減価償却の進行により、純資産額の減少に歯止めをかけることは難しくなっているが、行政コスト計算書で分析したとおり、今後、社会保障関係経費が純経常費用を増加させることが予想される一方で、この費用に充てる税収や国県補助金などの大幅増は難しいと考えられるため、人件費や物件費の増加を防ぐよう努めていく必要がある。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

平成30年度末の資金残高は、連結会計が8,551百万円、一般会計等が2,129百万円であった。前年度末の同残高は、連結会計が7,323百万円、一般会計等が1,756百万円であり、比較すると連結会計で1,228百万円の増、一般会計等で373百万円の増となっている。また、業務活動収支と投資活動収支を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、連結会計で3,791百万円の黒字、一般会計等でも975百万円の黒字であった。前年度末の同収支は、連結会計で1,360百万円の黒字、一般会計等で327百万円の黒字となっている。連結一般ともに基本的な行政サービスを提供するため毎年度継続的に収入・支出する、業務活動収支の黒字幅増加(旧板沢老人福祉センター解体撤去工事皆減、大坂小学校、千浜小学校屋内運動場解体撤去工事皆減など)及び、基金の取り崩しなどによる投資活動収支の赤字幅減少(財政調整基金取崩額増など)の影響でプライマリーバランスの黒字幅が増加している。今後、このプライマリーバランスの黒字幅をさらに大きくするため、人件費や物件費の増加を防ぎ、財源確保に努めるとともに、地方交付税や補助金など外部からの収入に依存しない自主財源比率の高い収入構造を構築していくよう努めていく必要がある。

財務書類に関する情報②(2018年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額(歳入額対資産比率)は、合併前に旧市町毎に整備した重複する公共施設が多いため、保有する施設数が非合併団体よりも多いことや、市域が広いためインフラ整備に多くの投資をしてきたことから、類似団体平均値を上回っている。また、合併以前に整備した施設やインフラが多いため、固定資産減価償却率は類似団体平均値よりも高く、老朽化が進んでいる。公共施設マネジメントを確実に実行し、施設の総量の見直し、長寿命化、運営手法の見直し、改修資金の確保などに取り組んでいく。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は類似団体平均値を上回っており、将来世代負担比率は類似団体平均値を下回っているため、類似団体と比較すると将来への負担が少ない状態である。しかし、純資産比率は77.7%で前年度と比べ0.1%減少している。これは、事業用資産やインフラ資産の取得を上回る減価償却の進行によるものである。地方債残高の削減等に努めるとともに、引き続き比率を注視し、将来への負担を残さないよう取り組んでいく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値より高くなっており、前年度末と同水準となっている。今後、社会保障給付費や国保・介護保険などへの特別会計繰出金が増加する中で、人件費、物件費の増加抑制に取り組むように努めるとともに、経常収益が低下しないよう自主財源の拡充に努めていく。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

基礎的財政収支は、プラス値かつ類似団体平均値より高い状態となっており、健全な財政運営が行えている。平成30年度については、旧板沢老人福祉センター解体撤去工事の皆減や、大坂小学校、千浜小学校屋内運動場解体撤去工事の皆減等の影響で、業務活動収支の黒字幅が増え、投資活動収支については、財政調整基金取崩額の増等の影響で赤字幅が小さくなっている。基礎的財政収支について、現状は黒字であるが、経常的収入には国県補助金や地方交付税などの依存財源も含まれており、依存財源の割合が大きいほど外部影響を受けやすくなる。従って、自主財源比率を高めるとともに、引き続き本値を重視し黒字幅を大きくしていくよう努めていく。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均値と同等の数値であるが、今後、国県補助金や地方交付税などの依存財源は現状の水準を維持できるか不透明である。自主財源の確保は重要課題であり、受益者が直接負担することが求められる費用については、類似団体の受益者負担比率の値に注視しながら、適切に見直しを行っていく必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,