長野県上田市：上田市立産婦人科病院の経営状況（2019年度）

地域において担っている役割

少子化や医師確保における地域偏在問題など、周産期医療を取り巻く環境は、体制の確保や経営面含め非常に厳しい状況にある。このような状況の中で、公立病院として地域のお産を受け入れるための必要規模を確保し、基幹病院の小児科や検査課など医療連携を行いながら、安全で安心な地域の医療提供を担っている。

経常収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	92.5	87.9	105.4	90.8	94.7	98.0	87.6	83.0
類似団体内平均値（％）	98.3	98.3	96.5	97.7	96.2	94.8	96.1	96.7

医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	70.1	70.3	75.0	75.2	72.5	78.7	64.9	58.6
類似団体内平均値（％）	75.4	73.2	70.5	72.2	69.5	67.7	66.8	67.8

修正医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）							64.9	58.6
類似団体内平均値（％）							62.4	62.9

累積欠損金比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	11.1	17.5	0.0	0.0	0.0	0.0	9.2	37.5
類似団体内平均値（％）	75.1	90.5	110.3	105.2	113.8	81.8	87.9	91.0

病床利用率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	49.0	59.3	63.1	68.1	61.5	63.5	47.5	40.8
類似団体内平均値（％）	67.0	65.6	63.9	64.9	63.4	62.3	59.4	61.4

入院患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（円）	50730.0	45854.0	46318.0	46376.0	49749.0	52354.0	54865.0	54549.0
類似団体内平均値（円）	21672.0	24294.0	24767.0	25920.0	24479.0	25136.0	26485.0	27761.0

外来患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（円）	7242.0	7617.0	6581.0	6549.0	6840.0	7157.0	7112.0	7625.0
類似団体内平均値（円）	6951.0	8208.0	7997.0	8159.0	8000.0	8023.0	8109.0	8307.0

職員給与費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	64.4	68.0	64.1	61.4	64.3	61.9	74.5	82.8
類似団体内平均値（％）	73.6	76.0	73.7	75.5	79.9	81.6	82.3	81.0

材料費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	9.1	9.2	8.3	8.0	7.9	7.1	7.0	7.1
類似団体内平均値（％）	18.4	20.2	19.1	19.4	17.7	17.5	16.1	16.2

経営の健全性・効率性について

・病院収益の柱である分娩取扱数が減少する中で、施設規模を維持する為の義務的経費（主に人件費）の削減が難しく、近年は累積欠損金を計上する経営状況により健全性・効率性が悪化している。・短期的な改善策として、職員体制の見直しや、医療用消耗品及び薬剤等在庫管理の徹底による経費削減に取り組んでいる。・長期的な視点として、地域の周産期医療提供体制の将来を見据えた上で、公立病院の担うべき役割を踏まえ、適正規模や経営形態の見直しなど病院のあり方への検討を進めている。

有形固定資産減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	20.6	24.4	21.9	26.4	28.9	32.6	36.3	39.6
類似団体内平均値（％）	37.1	37.9	47.3	50.2	52.7	52.8	54.2	55.4

器械備品減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	35.7	54.7	43.3	53.4	58.2	64.2	69.8	75.1
類似団体内平均値（％）	47.9	48.8	66.7	67.2	70.5	68.9	70.2	72.0

１床当たり有形固定資産

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（円）	58337778.0	58528444.0	55398778.0	55600074.0	53705111.0	53800185.0	53993815.0	54469037.0
類似団体内平均値（円）	34198617.0	34662133.0	37994115.0	42228890.0	41785853.0	44571078.0	45346697.0	44774257.0

老朽化の状況について

・施設及び設備は経過年数が浅く、しばらくの間は老朽化対策はない。・医療機器等の備品類は、定期保守により延命化を図りながら計画的な更新を行っている。・高度医療機器（手術設備、超音波診断装置、検査機器など）の保有により、一床当たりの有形固定資産額が割高となっている。・高度医療機器は一定期間で更新となるため、更新年度は一床当たりの資産割合が増加する。・医療機器の更新は、必要に応じて見直すなど計画に進めるなど、経費削減に取り組む必要がある。

全体総括

公立病院の運営体制は、少子化や医師含めた医療スタッフの確保など厳しい状況にある。業務量が減少していることから、医業収支比率などの財務指標も厳しい経営状況を示している。近年は、大幅な欠損金を計上する決算となっていることから累積欠損金を計上する経営状況となり、一般会計からの大きな財政支援により経営を維持する状態となっている。こうした背景を踏まえ、公立病院として担うべき役割を検証し、将来のあり方について検討を進めることが不可欠となっている。