経営の健全性・効率性について
①対前年度比11.04%減となっており、使用料収入より事業費等の支出が多い現状を示している。④上記①と同様に供用開始間もないことから使用料収入に対する起債残高の割合が未だに高く、減少傾向にあるものの類似団体平均値を大きく上回っている。⑤平成30年10月に使用料増額改定を行い前年度より改善しているが、類似団体平均値には及ばない。⑥前年度に比べると接続率の向上により有収水量が増加し、類似団体平均値とほぼ等しくなっている。⑦⑧処理区域内人口の増加と接続率の向上により共に前年度より改善されており、水洗化率については類似団体平均値よりも高い値となっている。以上が各指標の分析である。当事業は、従来の小規模処理区1箇所に加え、平成29年度から新たに大規模処理区の供用開始を行ったことから、接続率が低く使用料収入及び有収水量が少ない状況であることが各指標の数字に表れている。当該事業の整備は令和2年度が最終年度となる予定であり、その後は徐々に地方債残高の減少が見込まれるが、より健全な経営を行うために、早期接続促進による使用料収入の確保に努めなければならない。併せて、効率的な施設運用を目指し、広域化・共同化を視野に入れた施設の統合や既存処理区の公共下水道区域への編入等について、今後検討作業に着手する必要がある。
老朽化の状況について
現在稼働している二施設は、それぞれ平成16年度(小山田処理区)及び平成29年度(薦野・米多比処理区)に供用開始している。いずれも供用開始から20年未満であり老朽化には至っておらず、管渠の改築・更新は行っていない現状であるが、小山田処理施設の機械・電気設備等については、近い将来更新を検討しなければならない。今後も適正な維持管理を行い、単年度の突出した費用計上が生じないようにして経費削減を図り、効率的な経営に努める必要がある。
全体総括
現在、順次管渠整備を行っている薦野・米多比処理区について、供用開始後に早期の接続を促して使用料収入の確保に努め、健全な経営を目指していく。また、平成31年度からの地方公営企業法の適用により、経営状況の的確な把握を行い、資産の効率的な管理・運用を進め、経営基盤の強化を図っていくと共に、施設の改築・更新に備えて財源の確保や経営に与える影響等を見据えて分析を行う必要がある。そして、使用料の適正化も含めた投資計画等の見直しと、効率的な施設運営と汚水処理を実施するための事業計画等の見直しを踏まえた経営戦略の改定を検討する必要がある。併せて、当事業を含めた下水道事業に係る事業内容と経営状況について、これまでの経緯及び今後の計画などを中心に市民に対しわかりやすく説明・啓発を行い、市民の理解を深められるように努める。