経営の健全性・効率性について
鳴門市の公共下水道事業(汚水)については平成21年より供用を開始し、管渠築造等の建設投資を毎年行っている。また、令和2年度より公営企業法を適用したことで、以前より詳細に財務状況を分析可能となった。令和3年度末現在の水洗化率は44.73%であり、年々上昇しているものの、依然として低水準にあり、処理区域内の下水道への接続率向上が課題となっている。そのため、現時点では使用料収入が少なく、維持管理費が使用料収入を上回っているが、他会計繰入金により、経常収支比率は100%を超えている。また、事業開始から日が浅いため、企業債残高が多く、企業債残高対事業規模比率はあまり芳しくないが、今後、管渠築造工事が完了すれば改善が見込まれる。経費回収率及び汚水処理原価についても、現在の使用料収入では平均値より劣る数値であるが、こちらも供用開始区域の拡大や水洗化率の増加に伴い改善する見込みである。上記のとおり、経営の健全性・効率性については、使用料収入が今後上昇する見込みから、徐々に改善していくと考えられるが、各指標が示すとおり、当面厳しい経営状況は続く見込みである。
老朽化の状況について
公共下水道事業(汚水)については平成13年より事業を開始し、経過年数も少ないため、更新や修繕等が必要な管渠の老朽化は見られない。公共下水道事業(雨水)については、更新や維持補修が必要な管渠等が多数あるため、長寿命化計画を策定し、平成24年度より計画的に更新や維持補修を行っているが、今後、老朽化率は上昇する見込みである。
全体総括
公共下水道事業(汚水)については、事業開始からの経過年数が少ないため、管渠等の老朽化の問題は発生していないが、新設に係る建設改良費が大きいことや高額な企業債元利償還金の負担で、経営状況は厳しい状況が続いている。今後は接続率向上による使用料収入の増収が課題である。公共下水道事業(雨水)については、管渠等の老朽化が進んでいるため、計画的に更新や維持補修を行っているが長期の年数が必要となる見込みである。