経営の健全性・効率性について
経営の健全性・効率性については、引き続き概ね良好な数値を示しています。特徴的なものとして、収支の状況を示す「経常収支比率」、水を1㎥作るのにかかる費用「給水原価」は、近年の施設更新工事の増加に伴う減価償却費、資産減耗費の増に加え、平成30年7月豪雨に起因する修繕費等の増などもあり、若干悪化しています。短期的な支払い能力を示す「流動比率」は、支出予算規模の増に伴い若干低下していますが、望ましいとされる比率200%は確保できており、現状の財政基盤は安定しているといえます。収入と借入金とのバランスを示す「企業債残高対給水収益比率」は、更新需要に伴う起債額の増により若干上昇しましたが、本市の水道事業総合基本計画の中で「企業債借入残高の縮減」を掲げ取り組んでいることもあり、政令市の中では比較的低く抑えられています。
老朽化の状況について
水道施設・管路の老朽化については、有形固定資産減価償却率は概ね政令市平均と同程度であるものの、管路経年化率は政令市平均と比較しても高く経年化が進んでいます。また、管路更新率は、政令市平均より低い状況です。これらは110年を超える本市水道の歴史の長さや政令指定都市の中では最大の給水区域をカバーする管路布設エリアの広範さ等がその要因として推察されます。老朽化した施設・管路の更新及び耐震化は、水道事業総合基本計画の中でも最重点事業と位置付け、取り組んでいるところです。引き続き、アセットマネジメント(管路機能評価)手法を用いて計画的な更新を進めるとともに、震災等における被害の軽減化にも努めていくこととしています。
全体総括
少子高齢化の進展、節水機器の普及などに伴い、配水量の大幅な増加は望みにくいことから、今後も厳しい事業運営となる状況が想定されます。一方で、老朽化した施設や管路の更新需要は高いことから、引き続き行財政改革の実行、アセットマネジメントを活用した施設・管路の整備など効率的な事業運営に努め、水道への安心と信頼を更に高めていくことが肝要です。将来にわたって安定的に事業を継続していくため、更新需要の増大に備えた事業マネジメントを進めていきます。