経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、類似団体値を下回っているが100%を上回っており、健全な経営状態にある。③流動比率は207.9%となり、前払金(流動資産)の増加により、前年度から2.1ポイント上昇した。短期的な資金繰りについては相対的に余裕があると言える。④企業債残高対給水収益比率は、昨年度と比較し減少した。本指標は、施設の更新や災害に備えた投資による企業債残高の増加や水需要の減少により、緩やかに増加傾向にある。長期的には企業債の新規発行額を抑制するなど適正な管理に努める。⑤料金回収率は100%を上回っていることから、現状は給水に要した費用を料金収入で賄えている。⑥給水原価は過年度と同水準で推移している。今後は、水道施設の更新や災害に備えた投資に伴い、減価償却費や支払利息増加、給水原価の上昇が想定される。管材料の見直しや、未利用資産の活用などの収支改善に取組むことで、給水原価低減に努める。⑦施設利用率は、1日平均給水量が減少したため前年度値を下回った。将来的に人口減少が進んだ場合は、施設能力の余剰が想定されるため、施設の更新に合わせたダウンサイジングや広域連携による施設統廃合を進めていく。⑧有収率は、計画的な経年管路の更新工事に加え、漏水調査実施サイクルの見直しや対象範囲の拡大のほか、IoT技術を活用した監視型のセンサーの設置などの不明水削減の取組により、令和元年度より3年連続で向上している。引き続き、計画的な漏水調査や管路更新などを進めるとともに、給水量の監視や分析などにより、さらなる不明水の削減に取り組む。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体を下回っている。②管路経年化率について、本市の法定耐用年数(40年)を超える水道管路は約470kmとなった。本市は高度経済成長期に布設された管路の大量更新時期を迎えており、多額の投資が必要となるため、アセットマネジメント手法を用いた超長期の投資計画を策定した。管路の調査結果などを踏まえた目標耐用年数を定め事業量を平準化することで、老朽化に対する投資と財源のバランスを確保する。なお、目標耐用年数は法定耐用年数を上回るものであるため、長期的に①と②の指標値は上昇傾向で推移する見通し。③管路更新率は、本市の値は類似団体と同水準であり、計画的な更新が行えていると言える。今後とも、年平均で配水支管を約1%、幹線管を約2%更新することで健全度を保ちつつ施設を維持管理していく予定である。
全体総括
経営の健全性・効率性に関して、本市の事業経営の状況は、他市と比較して概ね良好と言える。しかし、長期的な課題として人口減少による給水収益の減少や施設の老朽化に対する更新投資が必要となる。そのため、令和5年度から開始する新たな経営戦略では、人口減少や施設の老朽化など長期的課題に対する方向性に基づいた8年間の具体的取り組みと目標値を定めた。経営戦略に基づき経営基盤を強化することで、長期の投資と財源のバランス確保する。