経営の健全性・効率性について
収益的収支比率では100%を上回っており、単年度収支は黒字状態である。経年比較では平成29年度に減少したが、平成30年度は再び増加に転じた。平成27年度に使用料単価を下げ、料金収入は減少したが、経費削減により黒字幅は増加している。今後も状況の推移を慎重に見極める必要がある。企業債残高対事業規模比率は、起債償還のピークを過ぎて現在は減少傾向にあり、類似団体平均値との比較ではよい状況にあるが、それは事業着手時期が早かったこと、また初期費用に対して長期的観点で使用料水準を設定してきたことによると考える。汚水処理原価は類似団体平均値より安い。奈良県では平野部に人口が集中し、広い範囲で流域下水道による集約処理を進めていること及び経費削減に努めていることから効率的な汚水処理がなされている。施設利用率は、流入水量の増減もあるが経年では65%を超える水準で推移しており、近年は上昇傾向にある。類似団体平均値と比べ上回っている状況にある。水洗化率が平均値より下回っているのは、流入人口が少ないためであるが、近年、集中浄化槽から公共下水道への切り替えが進んだことなどにより、伸び率は類似団体と比べ上回っている状況にある。
老朽化の状況について
下水管に異常がないか管渠管内調査を実施し、緊急性の高い箇所については、緊急対策を実施する。
全体総括
概ね各項目の数値は類似団体平均値以上であり、水洗化率については、類似団体平均値との比較では下回っているが、増加傾向である。今後の人口減少による需要減少とそれに伴う収入減や、施設・設備の老朽化による更新費用の増大に対し、経営や資産状況を正確に把握するため、令和2年度から公営企業会計を導入し、同年度中に経営戦略を策定予定。県・市町村が一体となって、中長期的な観点から収入と支出の課題を把握し、対応について研究、実行することが必要と考えており、ストックマネジメント計画を令和元年度策定するほか、今後、対象資産を拡大して投資の平準化など計画的取組を進めていく予定。また、今後の需要減を踏まえた施設のダウンサイジングや、管理運営の効率化、下水汚泥の有効活用、広域化・共同化の取組なども市町村と一体的に推進・検討していくこととしている。