経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、昨年度に引き続き100%以上であり類似団体平均値を超えているが、下水道使用料の減少が予想されるため、今後の更新投資の財源確保に取り組む必要がある。②累積欠損金比率は、累積欠損金が発生しておらず0%である。③流動比率は、流動負債に占める企業債償還金が大きく全国平均値と類似団体平均値を下回っているが昨年度より17.27ポイント改善しており、キャッシュフローは黒字であり短期的な支払能力に問題はない。④企業債残高対事業規模比率は、早くから本格的に事業に着手したこともあり全国平均値と類似団体平均値を超えているが、企業債残高は順調に減少している。⑤経費回収率は、昨年に引き続き100%以上であり適切な使用料水準である。⑥汚水処理原価は、類似団体と比較すると高くなっているが昨年度よりその差は改善している。高低差が少なく東西に長い当市の地形的要因により4つの処理施設を有している影響と考えられる。今後は効率的な施設規模や施設機能の最適化を検討する必要がある。⑦施設利用率は、晴天時の汚水最大能力に対する施設利用の効率性を示しており、類似団体平均値と概ね近い率となっている。⑧水洗化率は、昨年度より0.12ポイント増加し、全国平均値と類似団体平均値を超えており良好な数値となっている。
老朽化の状況について
管渠延長1,132㎞のうち、標準耐用年数50年が経過したものは62.14㎞に達しており、今後この延長は急速に増加していく。(なお、台帳の全件調査により布設年度不明分の管渠が減少したため、平成30年度から数値が大幅に減少している。)また、当市で最初に建設された船上浄化センターは昭和46年の運転開始から約48年を迎えている。これら膨大な施設をすべて標準耐用年数で更新することは費用面・人材面等から現実的でないため、点検・調査等によってその状態を適切に把握した上で、長期的な改築の需要見通しを検討し、計画的かつ効率的な老朽化対策を図る。
全体総括
中長期的な視点に立った計画的な経営に必要とされる基礎的情報を得ることを目的に平成28年度に地方公営企業法の一部適用を行った。公営企業会計として3年目となる分析指標は昨年に引き続き概ね良好な数値となったが、下水道使用料収入の減少や施設・設備の老朽化など、経営環境は厳しさを増している。今後は、平成30年度に策定した「長期収支見通し(経営戦略)」にもとづき、経営基盤の強化を図り、安定した事業運営を継続的に行っていく。