経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は平成27年度に引き続き100%を越え、収益的収支では黒字となった。しかし、過去からの累積赤字が非常に大きく、②累積欠損金比率では55.89%と、高い水準にある。また、支払能力を示す③流動比率については10%以下と、非常に低い水準である一方で、債務残高を示す④企業債残高事業規模比率は1847.8%と、良化しているものの、依然として高水準であり、資金がなく借金が多い、という状況から脱却できていない。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価については平成26年度に実施された会計制度改正により、算定方法が変更された影響から、グラフ内でデータの断絶があるため分析が困難であるが、経費の圧縮により回収率が高い水準となっている、という状況にある。⑧水洗化率については100%を目指し、普及啓発に取り組んでおり、着実に上昇しているものの、伸び幅としては鈍化している。同じ方法ではこれ以上の良化は困難であるため、平成28年度からは下水道に関する専門知識を有する嘱託職員が直接未接続世帯を訪問して啓発を行うことで、水洗化率の向上を図っている。
老朽化の状況について
昭和58年に事業認可され、平成2年から供用開始している。市内の下水道整備は平成10年~15年頃が最も多い。また、全量流域下水道へ接続しており、市単独では処理施設などを有していないため、有形固定資産の99%以上は、耐用年数50年の管渠や汚水ますである。下水道整備は近年著しく進んだ事業であり、老朽度合いを示す①有形固定資産減価償却率は全国平均も低水準であり、当市も平均値の範囲である。また、管渠の耐用年数は50年であり、平成28年度現在、城陽市内には耐用年数を超過した管渠はなく、②管渠老朽化率、③管渠改善率は0%となっている。
全体総括
当市は下水道整備を企業債に依存して短期間で行ったため、現在企業債償還額が多大となっており、資金不足が常態化している。市域の下水道整備がほぼ完了しているため、昨今の単年度建設投資額は多くないものの、短期間で整備したということは、更新時期も短期間に集中することが容易に予想されるため、下水道管渠の老朽度合いが低い今の時点から、下水道管路の効率的な維持管理を行い、更新費用の軽減を図るなど、長期的な視野で事業運営を行う必要がある。※1.経営の健全性・効率性①②③、2.老朽化の状況①②の各グラフについて、平成28年度は類似団体区分中、法適用(企業会計適用)事業が城陽市のみであるため、平均値を算出していない。