経営の健全性・効率性について
○財政計画期間中(平成25~29年度)の累積収支の均衡を図り,そのうえで水道管更新の財源(資産維持費)を確保するため,平成25年10月に料金改定(平均改定率+9.6%)を実施したため,平成26年度以降「①経常収支比率」,「⑤料金回収率」共に類似団体平均値を上回っているが,平成29年度から財政状況が厳しい山間地域の水道事業を統合したため,対前年比ではそれぞれ低下している。○水需要の減少を踏まえ,施設規模の適正化を図っているため,「⑦施設利用率」は類似団体平均値を上回っている。平成29年度においても一部施設を廃止したことにより,対前年度比で約3ポイント向上した。また,事業運営の効率化を進めることで,「⑥給水原価」は類似団体平均値を下回っているが,平成29年度は山間地域の水道事業統合による影響で,対前年比では上昇している。○一方,これまで建設財源の大部分を企業債で賄っていたため,「④企業債残高対給水収益比率」が類似団体平均値を大きく上回っており,平成29年度は山間地域の水道事業統合による影響で更に上昇した。「⑧有収率」は類似団体平均値を下回っているものの,鉛製給水管の取替え等の推進により改善傾向であったが,平成29年度は有収率の低い山間地域の水道事業統合により,横ばいとなっている。「③流動比率」は類似団体平均値を下回っているが,資金については予算において措置しているため,資金不足が発生するものではない。
老朽化の状況について
○「①有形固定資産減価償却率」は,比較的新しい固定資産が多い山間地域の水道事業統合の影響により,対前年度比で改善している。○「②管路経年化率」は,平成28年度までは類似団体平均値並みとなっていたが,29年度からは補助配水管(口径75mm以下の配水管)の布設年度別延長のデータ精査ができたことから,それらを含めて算出した指標へと見直した結果,大きく上昇した。○「③管路更新率」は平成28年度までは類似団体平均値を下回っていたが,配水管更新のスピードアップに努めてきたことにより,平成29年度は上回った。
全体総括
○企業債残高対給水収益比率と管路経年化率が他都市と比べても高い水準にあるため,企業債残高の削減と管路更新率の更なる向上が課題となっている。○今後も節水型社会の定着や人口減少等により水需要の減少が見込まれるほか,昭和40年代~50年代以前に布設した大量の配水管が順次更新時期を迎えるなど厳しい経営環境が続くことが見込まれる。○これらを踏まえ,平成30年度からの新たなビジョン・プランに基づき,長期的な視点に立った取組を着実に進めながら,計画的な改築更新を進める。財政計画に基づき,企業債の発行を抑制するとともに配水管の更新率を向上させるため,業務執行体制の効率化等を進め,必要な利益(資産維持費)を確保する。