経営の健全性・効率性について
あま市公共下水道事業は、先行投資型の事業で、平成16年度に事業着手し、整備済みの区域から平成21年度に供用を開始し、現在も下水道施設(管きょ等)の整備を進めており、整備途上にある。そのため、一般会計からの繰入金、国庫補助金及び下水道整備に伴う企業債に依存している状況にある。毎年度供用開始面積を拡大しているものの、近年においては財源確保が厳しいことから単年度の整備及び供用開始面積は縮小傾向にある。令和元年度より企業会計に移行し、経営分析を行ったところ、①「経常収支比率」は単年度で赤字の結果となっている。これは、減価償却費の財源不足によるものである。②「累積欠損金比率」③「流動比率」⑤「経費回収率」⑥「汚水処理原価」については、先行投資型の事業で下水道普及率が約33.8%と整備途上にあり、接続率も低いことから、十分な使用料収入の確保が可能な事業規模に達していないことが、数値の要因と考えられる。④「企業債残高対事業規模比率」については、企業債の元金償還は一般会計が負担することとなっているため、数値は0となっている。⑦「施設利用率」については、該当する施設がないため、数値はない。⑧「水洗化率」については、水洗便所設置人口は増加しているが、年度末に供用開始区域を拡大するため、年度末の水洗化率は低くなっている。今後も、供用開始区域を拡大していくため、水洗化率は横ばいに近い形で推移していくと推測される。
老朽化の状況について
供用開始から時間が経過しておらず、法定耐用年数を経過した管路が無いため、現在のところ、老朽化の状況分析は特に行っておりません。
全体総括
分析結果より、いくつかの課題がある中、重点的に取り組まなければならないことは、下水道接続人口の増加による下水道使用料収入を向上させることである。そのために、令和2年度に策定した経営戦略に沿り、維持管理業務や事務の効率化と低コスト技術の導入による建設費のコスト縮減に取り組み、整備及び供用開始面積の拡大に努める。また、供用開始区域内の下水道未接続者への接続促進を行い、使用料収入・経費回収率・水洗化率の向上に取り組み、積極的な経営改善を進める。当面の目標として、将来人口の見通しや投資効果を鑑み、「あま市公共下水道重点アクションプラン」に基づき、効率かつ迅速に未整備区域を優先し整備を行い、下水道接続人口の増加による下水道使用料収入を向上させる。なお、現経営戦略については進捗管理等に努め、令和6年度に、計画と実績の乖離及びその原因分析を含めた見直しを行う。