経営の健全性・効率性について
②累積欠損金比率が類似団体平均値を大きく上回っているが、接続率の向上等により使用料収入を確保し、段階的な縮減を図る必要がある。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値の約1.5倍となっているが、これは下水道未整備区域の10年既成を国が後押しするうちに、国費を最大限活用し、整備率の向上を図るために積極的な整備を進めているためである。今後も上昇を続け令和14年度にピークを迎えるため償還財源の確保が課題となっている。⑤経費回収率⑧水洗化率について、経費回収率が100%を下回っているということは、汚水処理にかかる費用が使用料で賄いきれないことを意味しており、維持管理のコスト削減に取り組むだけではなく、水洗化率の向上に向けた取り組みや、将来的な使用料の見直しを検討し、収入の確保を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形資産固定資産減価償却率は全国平均を下回っている。これは本市の下水道が供用開始から13年しか経過していないためであるが、2つの雨水ポンプ場については、機械電気設備の更新時期が近づいており、今後は、ストックマネジメント計画に基づき、計画的な改築更新を行っていく。
全体総括
本市の汚水事業を取り巻く経営環境は、高い人口密度や平坦な地形であるため、整備率や水洗化率が向上すれば経費回収率は上昇し、安定的な経営が可能となる条件が揃っている。しかしながら、積極的な整備に伴い累積した地方債の償還は順次始まっており、償還財源の確保が課題となっている。一方、雨水事業についても近年多発する浸水被害への対策として雨水貯留施設の整備計画が控えており多大な地方債の発行が見込まれる。以上のような状況では、一般会計からの繰入金に依存せざるえないが、同時に自立した経営に向けた計画的な整備計画や受益者負担の原則に基づく使用料の見直しについて検討する必要がある。なお、経営戦略については、令和2年度に策定しており、社会情勢や景気の動向を事業経営に適宜反映し、収支状況や施設更新事業等の進捗管理を的確に行っていくため、5~10年ごとに見直しを行っていきます。