経営の健全性・効率性について
平成30年度より地方公営企業会計へ移行し、2年が経過しました。そのため、数値は2年度分のみとなっています。経常収支比率は、類似団体や全国平均より低いが、100%を超えており収支の均衡は保たれています。流動比率は、類似団体や全国平均より下回っています。要因は、流動負債の企業債償還金が流動資産の現金を上回っているためで、令和4年度の償還金のピークを過ぎるまでは、20~30%で推移する見込みです。企業債残高対事業規模比率は、類似団体や全国平均を上回っており、使用料収入に対する企業債残高の割合が高いことを表しています。今後は、当該値を抑えるために使用料水準の適正化を検討します。経費回収率は、類似団体や全国平均を下回っており、汚水処理にかかる費用が使用料以外の収入(一般会計からの繰入金)により賄われていることを表しています。今後は、安定的な使用料収入を確保するため、使用料水準の適正化を図り100%を目指します。汚水処理原価は、類似団体や全国平均と比べて汚水処理に要するコストが高いことを表しています。事業計画に基づき未整備区域の解消を進め、有収水量の増加を図ります。施設利用率は、流域下水道による広域処理であり市単独施設を有していないため当該値は「-」です。水洗化率は、類似団体と全国平均の間に位置しています。水洗化率の向上は、使用料収入の確保につながるため、引き続き未接続世帯への普及啓発活動を実施します。
老朽化の状況について
裾野市下水道事業は、平成3年度から資本費投資を開始しており、老朽管(法定耐用年数に近づいている管)は現時点ではありません。有形固定資産減価償却率については、公営企業会計移行2年目であり、事業計画の概成に至るまで償却対象資産の取得及び減価償却を重ねていくため、数値は上昇していきます。また、老朽化の対象となる管渠は現時点では存在しないが、今後策定予定のストックマネジメント計画を基に管路施設の改築事業を進めていきます。
全体総括
下水道事業は、平成30年度より公営企業会計に移行し2回目の決算となり、前年度の数値と比較・検証が可能になりました。主な課題として、経費回収率が低いことや一般会計からの繰入金に依存している割合が高いことが挙げられます。これらの厳しい経営環境を改善するため、令和元年度末に経営戦略(投資・財政計画)を策定しました。令和2年度以降は、外部委員会を交えた上で経営戦略の計画値と当該年度の決算値を比較・検証し、PDCAサイクルを継続することで将来に向けた持続可能な経営を図ります。また、事業計画に基づく計画的な管路の整備やストックマネジメント計画に基づく管路等の改築を進めると共に、使用料水準の適正化を検討し、安定的な使用料収入を確保することで、健全な下水道経営を目指します。