経営の健全性・効率性について
特定地域生活排水処理事業は、生活環境の改善、公衆衛生の向上を目的として、地域の実情に応じた効率的・効果的な生活排水処理施設の整備を積極的に推進していくものとして、主に山間部において家屋が点在する地域について合併前の各町村(旧戸隠村、旧鬼無里村、旧信州新町、旧中条村)により整備を開始し、平成7年度から供用開始しました。本市が行う下水道事業の一本化を図るため、平成21年度に公営企業法を適用し、上下水道局が経営する公共下水道事業等と統合し、整備及び維持管理を行っています。特定地域生活排水処理事業における使用料収入は、新規設置による増加はあるものの、人口減少に伴う汚水排除量の減少により大幅な増収は見込めないため、経常収支は更に厳しいものになります。また、維持管理費も使用料収入で賄えていないため、今後も赤字が続く見込みです。これに伴い累積欠損金比率は上昇しますが、公共下水道事業の利益により欠損金を補填しており、下水道事業会計としては累積欠損金はありません。企業債残高対事業規模比率は、多額の整備費用に対して使用料収入は他の下水道事業と格差を設けていないため、類似団体と比較しても高い水準にあります。なお、公共下水道に接続が困難な地域の水洗化を図るため、整備費用の財源として新たに企業債を発行しているため、残高は概ね横ばいで推移する見込みです。収益性が著しく低く、経営が困難な状況にありますが、下水道事業全体として包括的な経営を行っています。
老朽化の状況について
浄化槽の標準的な耐用年数は25年とされており、公共下水道管路の50年よりも短いため、老朽化は早く進みます。①有形固定資産減価償却率:資産の老朽化度を表す指標です。平成26年度から会計制度の見直しの影響により増加しました。
全体総括
公共下水道事業等との統合により、下水道事業全体として経営しているため、本事業単独の指標をもって経営状況を判断することは困難です。市内における下水道使用者の負担の公平を図るため、他事業と同じ料金体系を採用していることにより、採算性は低い状況にありますが、公共下水道への接続が困難な地域の水洗化を実施するための事業として重要な役割を果たしています。施設は比較的新しい状況にありますが、今後は施設の更新に対する財源の確保が大きな課題となるため、徹底した維持管理費の削減により下水道事業全体として安定した経営が持続できるよう努めていきます。