2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度
ここ数年の施策により、若い世代のUIターン者が増え、現在では人口の2割ほどを占めるようになってきたが、小規模離島で高齢化率(3年度末47.5%)も高く、大きな産業がないことから、財政基盤が弱く、類似団体平均(0.20)を依然として0.09ポイント下回っている状況である。また、村の基幹産業である観光業や漁業は後継者不足等により、衰退傾向にあるため、今後は村税の増収を見込める状況にはない。慢性的な職員の人材不足と同時に、庁内には行政経験年数の浅い職員が多くを占めているため、デジタル化や事務・事業の見直しなどの行財政改革を行い、身の丈に合った行財政運営を行うことで、着実に財政の健全化へつなげていきたい。
80%台で推移していた経常収支比率が令和2年度では72.7%となり、令和1年度との比較では、12.1ポイント減少した。これは、公債費償還の谷間にあたり、令和1年度と比べ大幅に減少したことや、感染症拡大によりこれまで実施していた事業等が中止となったことで臨時的な事業が大幅に増え、結果的に予算が膨れた。全体的に見ると経常収支比率が減少していたもので、一過性のものと捉えている。現に令和3年度では74.2%となり、令和2年度との比較では1.5ポイント増加に転じている。今後も事務事業の見直しを進め、行財政改革への取組を通じて義務的経費の削減にも努めていくと同時に、他の経常経費の抑制や、自主財源の確保などにも努めていく。
増加傾向にあった人口1人当たりの人件費・物件費等の決算額が、令和2年度では、主に感染症拡大の対策として事業が中止となったことなどの影響を受け、減少した。しかし、令和3年度では再び増加し、ここ5年間においても、1,603,808円と一番高い数値となっているだけでなく、類似団体で最も高い状況に陥った。これは、提案型(委託)地域おこし協力隊などを多く採用したことに加えて、有害鳥獣捕獲業務など物件費の中でも委託事業が増加した影響が高いと捉えている。今後、職員数の適正化を努めるとともに、地域おこし協力隊等も含めた人件費・物件費等の適正化をバランス良く進めていく。
前年度と比較すると±0ポイントであり、類似団体平均(95.7)と比べてもポイント差がかなりある。これは、職員数が少なく、人員構成の違いによるものや、少数でありながら毎年度、採用・退職者がいることで、大きくその影響が反映されてしまい、変動率も大きくなってしまうことにある。今後も引き続き給与の適正化に努めていくとともに、人事評価制度を推進し、職務・職責に応じた給与制度への転換を図っていく。
前年度より0.92人上回り、依然として類似団体平均(23.14人)よりもとても高い状況にある。これは、人口規模が小さい上に小規模離島であるため、地域にゴミ収集業務や保育園等の施設を民間委託できる業者がおらず、広域化も経費がかかってしまうため、ほとんど全ての事業を直営で運営しており、それにより相応の職員数が必要となり、類似団体平均をかなり上回る結果となっている。今後も定員適正化計画に基づき職員数の適正化を図っていくが、近年、雇用しても早期に退職していく職員が見受けられ、それにより人材不足が生じている。村民サービスに支障をきたさないよう、また、年齢構成に歪を生じさせないように適正化を図っていく。
地方債の元利償還金充当一般財源額は微増となったが、控除される基準財政需要額算入額の減額がより大きくなったことで、分子総額は増となる一方、普通交付税等も増加等により標準財政規模が増となり、分母総額も増となったことから実質公債費比率は6.2%(前年度比-0.7ポイント)と下降し、類似団体平均よりも1.3ポイント下回っている状況である。今後、財源不足から借入れが多くなることが予想され、公債費比率は年度を増す毎に高くなる見込みであるが、交付税算定上有利な起債を有効に活用しつつ、公債費負担の抑制・平準化を図り、引き続き健全財政の維持に努めていく。
将来負担比率については、充当可能財源(1,163897千円)が充当可能基金(579,296千円)等により、将来負担額(1,147,804千円)を上回る状態にあり、算出されない。今後も5年後10年後を見据えた長期的な行財政計画に基づき、健全な行財政運営に努めていく。
人件費は18.7となり、前年度と比較して7.3ポイント下降し、類似団体平均(23.3)より4.6ポイント低い数値となった。その主な要因としては、会計年度任用職員である地域おこし協力隊員が、任用型から提案型(委託)に異動したことや、退職者が多く生じたことで、減少となったものである。引き続き、定員管理計画を着実に遂行し、人件費の適正水準の確保に努めていく。
近年15.0ポイントから17.0ポイントの間で推移していたが、令和3年度は25.2ポイントと大きく上昇し、令和2年度と比較して8.2ポイント上昇した。また、類似団体平均(13.9)と比較しても一番高い数値となっている。この要因は、会計年度任用職員が提案型(委託)に異動したことや、提案型(委託)地域おこし協力隊を多く採用したことに加えて、有害鳥獣捕獲業務など物件費の中でも委託事業が増加したためであり、人件費と真逆の結果となった。財政圧迫の要因にならないように物件費における他の経費の抑制に努める。
扶助費は、前年度に比べ0.4ポイント下降し、類似団体平均(2.6)と比較しても1.9ポイント下回っている。要因として、医療費助成等の社会福祉費及び保育や児童手当等の子ども・子育て関連の児童福祉費に係る対象者が元々少なく、さらにしおかぜ留学事業の児童生徒の人数もほぼ横ばいになり、増加傾向にあった扶助費が一定してきたことによるものである。今後も社会保障関連経費に係る扶助費が、財政を圧迫しないよう努めていく。
その他は、令和2年度に比べ0.2ポイント減少し、4年連続で減少している。また、依然、類似団体平均(10.3)よりも低い水準にある。その内容においては、特別会計への繰出金が多くを占めており、年々増加傾向にあった介護保険特別会計や、後期高齢者医療広域連合への療養給付費負担金が、やや減少気味であるが、今後も高齢者の介護や医療費の増加に注視しつつ、介護保険特別会計や後期高齢者医療特別会計、国民健康保険特別会計等において保険料の適正化により財政基盤の強化を図り、普通会計からの繰出金を縮減していくように努めていく。
補助費等は、令和2年度に比べ、3.3ポイント上昇したが、これは、過去最大の赤字経営となった三セクへの経営改善計画に沿った支援として、離島航路運航維持補助金を行った影響である。類似団体平均(12.2)と比較すると3.5ポイント下回っているが、依然として三セクへの経営環境は厳しいため、今後の支援として上昇を見込んでいる。その一方で、過剰とならないよう財務状況等を精査しながら、補助・交付金の適正化も図っていく。
上昇傾向にあった公債費は、令和2年度は18.0ポイントとなり、令和3年度は15.9ポイントと、令和2年度に比べ2.1ポイント下降し、類似団体平均(17.1)と比較しても1.2ポイント下回っている。要因として、一部の辺地債及び過疎債等の償還が終了したことで一時的な谷間に入ったためである。今後も、村にとって有利な普通交付税の基準財政需要額への算入といった地方財政措置がなされる地方債を適切に選択することで、公債費負担が過剰にならないようにしながら、村債の発行規模を適切に維持するとともに、健全化判断比率の状況を踏まえて健全な財政運営に努めていく。
公債費以外に係る経常収支比率は、前年度に比べさらに3.6ポイント上昇したが、依然、類似団体平均(62.3)より4ポイント下回っている。主に人件費、物件費が主なものであり、今後も引き続き適正な定員管理による人件費、物件費の適正化等により各費目の歳出削減に努める。
(増減理由)平成30年度・令和1年度は、投資的経費の増大等に伴い、財政調整基金を充てたことにより同基金は240百万円に減少したが、令和2年度は、過疎ソフト事業により積立金として20.8百万円を同基金に積立て、令和3年度も40百万円を同基金に積み立てるなど、基金全体では、前年度と比較し、42百万円増加している。(今後の方針)毎年度、財政調整基金への積立てを行いながら、基金規模を維持すると同時に、ふるさと納税における寄附金を増やし、それをふるさと粟島応援基金へ適切に積立てを行うことで、その他特定目的基金の全体的な底上げを行っていく。また、使途の明瞭化に努め、基金の各目的に沿った活用を図る。
(増減理由)地方創生の単独事業が増加する中で、不足する一般財源を補うために平成29年度に110百万円、平成30年度に100百万円の基金を取崩したが、その後過疎ソフト事業を活用し、令和2年度は20.8百万円を積立て、令和3年度は40百万円を積立てて、令和3年度末で301百万円となった。(今後の方針)第4次総合計画において、令和5年度までに300百万円とする目標を掲げており、更なる積立てを行う。
(増減理由)資金の活用なし。(今後の方針)借金返済に充てていく。
(基金の使途)・開発整備基金:村の開発整備事業の資金に充てる。・ふるさと創生基金:歴史や伝統及び文化や産業の振興並びに人材育成、後継者対策等の事業により、地域の活性化に充てる。・地域福祉基金:地域における保健福祉活動の推進に充てる。・ふるさと粟島応援基金:ふるさと納税による寄附金で、村づくりのための様々な施策の財源に充てる。・災害救助基金:災害救助に必要な費用の財源に充てる。(増減理由)・ふるさと創生基金:令和1年度に温泉事業に充てるため、11百万円を取崩し、令和3年度末には残高50百万円となっている。・ふるさと粟島応援基金:令和3年度に2百万円を積立て、令和3年度末には残高8.5百万円となっている。(今後の方針)・ふるさと創生基金:交流活性化事業特別会計(温泉事業)への資金として充てていく。・ふるさと粟島応援基金:今後も地域活性化のための事業に充てていく。ふるさと納税による寄附金の増額を図る。
有形固定資産原価償却率は、類似団体より低い数値となっている。現在、個別施設計画を策定中であり、引き続き計画に基づく施設の維持管理がなされるよう整備を進める。※令和3年度については精査中
今後の推移を注視するとともに、将来負担額の抑制につながるよう適正な財政運営に今後も努めていく。※令和3年度については精査中
実質公債費比率は、令和2年度以降減少傾向にある。また、令和5~6年度にかけて「第5次総合計画」を策定予定であり、その中で今後の事業の組立て等の方向性を定めていく予定であるが、補助金や優良債等をうまく活用しながら、適正な財政運営に努めていく。
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