経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、昭和53年度に全体計画を策定し、その後順次事業認可を受け、処理場建設工事、幹線工事、面整備を実施してきた。現在も整備を進めている途中であり、普及率は依然として低い状況である。経営状況については、料金収入が乏しいことから、①収益的収支比率は100%を下回っていること、普及率や水洗化率が低い状況が続き⑦施設利用率が低迷していることから、経営状況は依然として健全とは言えない状況である。また、⑤経費回収率が前年に比べて低くなっているが、⑥汚水処理原価が増加しているところを見ても、汚水処理費が増加したことが主な原因としてあげられるが、公営企業会計に移行したことにより、官庁会計の5月末までの出納閉鎖期間が無くなり、3月末での打切り決算となったことから、使用料収入の集計期間が令和元年度に限り短くなり、料金収入が集計上減少したことにも起因するものである。なお、④企業債残高対事業規模比率、⑤経費回収率及び⑥汚水処理原価の数値は、平成29年度から大きく変動しているが、これは平成29年度分の決算統計において分流式下水道等に要する経費算定について国から指針が示され、それまでと一部異なる集計を行ったことによるものである。
老朽化の状況について
現在、整備を進めている状況であり、現時点では老朽化した施設はない状態である。しかし、今後の管渠の老朽化に備えて、将来を見据えた計画的な老朽化対策が必要となる。
全体総括
人口減少や少子高齢化による地域社会構造の変化に対応するとともに、健全な下水道事業経営を目指すため、平成28年度に策定した「三条市汚水処理施設整備構想」を基に着実に整備を進めていく。また、供用開始済の地区においては、戸別訪問等により下水道接続を促進し、水洗化率の向上に努め収益を確保していく必要がある。また、予算の弾力条項規定の適用や建設改良費予算の繰越手続の簡素化など予算執行の弾力化を図るとともに、ストックやコスト情報を明確にし、下水道事業会計の実態をこれまで以上に把握するため、令和2年度から財務会計部門に地方公営企業法を適用している。